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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

富士見町の道祖神②

2020-01-17 23:24:23 | 民俗学

富士見町の道祖神①より

 

乙事沢の道祖神

 

「石橋七ケ所供養」

 

 県道茅野北杜韮崎線の乙事にある十一面観音堂の南の辻に道祖神が祀られている。向かって左側面に「宝暦九卯十一月吉日」と銘文があるもので、1759年造立のもの。道路拡幅のため現在地に移されたというが、もとはもう少し西側の現在では道路になってしまったところにあったという。富士見町の道祖神祭祀空間は、ほかの地域のものと異なり、広い空間を有している。ここ乙事沢の道祖神も奥行5メートル、幅4メートルほどの空間に道祖神が祀られており、前面には幟立ての石柱が2本立ち、石祠型道祖神と灯篭が並んで安置されている。内包されている双体像は、無かつて左が男神、右が女神だとわかる。男神は笏を持ち、女神は徳利を持つ。

 実はこの祭祀空間には、道祖神とは関係のない石造物が立っている。「石橋七ケ所供養」というもので、「文政四辛巳年」(1821年)に建てられたもの。この辻のところに、かつて橋があったという。現在も交差点の下を用水路が横断しているから、この用水路の上に掛かっていたものなのだろう。「七ケ所」の橋がどれだったのかはわからないと言うが、いずれにしてもここにあった橋が代表的なものだったに違いない。「五月大安 西林中」とある。橋供養塔については以前本日記でも触れた。

続く


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