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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

六道地蔵尊の祭り 中編

2018-08-08 23:35:04 | 民俗学

六道地蔵尊の祭り 前編より

 

 

 

 4時半ころになっても写真のようにお参りする人が途絶えることも珍しくなかった。かつては線香に火を点けるためのローソク立ては、祭壇の前に置かれていたが、今は祭壇に向かって左側、鉦の置かれている側に置かれている。流れとして、御札を買い求めると左側のローソク立てで線香に火を点け、祭壇の前、両側に置かれている大きな線香立てに線香を立て、そして祭壇右手の口を出て賽の河原にお参りの人たちは流れていく手順だ。

 現在どの範囲からお参りに来ているのかたずねてみようと思ったが、多くの人たちは世話をされている下川手老人会の方たちと顔見知りのようにも見えた。ようは、六道まで仏様を迎えに来るのは、近在の人たちに今は限られてきているようにも感じる。

 午前6時になると、洞泉寺の住職とその婦人会の人たちによって和讃が行われる。三つある和讃を次の順に行うが、和讃の合間に洞泉寺の住職お経が入る。

三宝御和讃
一、
こころのやみをてらします
いともとうときみほとけの
ちかいをねごうものはみな
南無消え物ととなえよや
二、
うきよのなみをのりこえて
きよきめぐみにゆくのりの
ふねにさおさすものはみな
なむきえほうととなえよや
三、
さとりのきしにわたるべき
みちをつたえしもろもろの
ひじりにたよるものはみな
なむきえそうととなえよや

地蔵菩薩御和讃
つゆもしげきののみちに
ほほえむすがたあたたかく
みてらのもんのあるところ
えがおあかるくおわします

追善供養御和讃
一、
たまとむすびてはちすばに
おきたるつゆのひとしずく
ながきはひとのねがいにて
みじかきものはいのちなり
二、
きのうのありしはきょうはゆめ
うつつにみゆるみすがたは
こころのなかのかげにして
あわせるてこそまことなる

 これらの和讃は地蔵堂の壁に貼りだされている。

 午前5時半から和讃が行われた6時半ころまでが、最もお参りの人たちが賑わっただろうか。

 

祭壇前の混雑がよくわかる(平成2年)

 

 お札と松の枝をセットで買い求める(平成2年)

続く


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