Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ひっくり返った“足神”

2018-05-04 23:27:43 | 農村環境

 

 引き続き大鹿村での話である。分杭峠から南下すると高安に至る手前に儀内路という集落がある。集落というほど現在は家がないが、黒沢川に面した尾根の上に石碑がいくつか並んでいる。ここに儀内路の「道祖神」文字碑が建つが、その横に「足神」という石碑も並んでいる。「午年女」と刻まれているが、飯田風越高校郷土班が1985年に発行した『風越山 下伊那の道祖神』には、道祖神として記載されている。現地調査をしたうえで作成された報告書であり、地元の詳しい方に案内してもらったようだから、地元でもこれを道祖神と認識していたのだう。「道祖神」には「文政七年」とあり、1824年のもの。おそらくそれより新しいものなのだろうが、この周囲にある石碑、こぶりなものはみな字の彫りが浅い。近くにある小さな社の横に並んでいる石碑の中には、高さにして20センチほどという小さな石神もあって、どれも素人でも彫れそうなほど浅い彫りだ。とはいえ文字の風格からして、石屋が刻んだものなのだろうが、地域にすぐに彫ってくれる石屋がいたのかもしれない。

 さて、写真は尾根の頭に並ぶ石碑を撮したものであるが、松の根元にある「甲子」から右へいくつか並んでいるのだが「甲子」と「道祖神」の間に窪みができている。よく見ると、石碑下の歩く道にひとつ石が転がっている。これが「足神」なのである。わたしが初めてここを訪れたのは、もう30年ほど前のこと。以後何度か足を運んでいるが、「足神」がひっくり返っていたのは今回が初めてである。先ごろ「生坂村小立野泥沢の道祖神」について触れたが、廃村と化した集落の道祖神は、やはり尾根から転げ落ちてひっくり返っていた。今や信仰対象部の現状はこんな感じなのである。ちなみに、歩く道の下の方に見えている道路は、黒川牧場につながる村道である。


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2 コメント

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Unknown (AK)
2018-05-05 09:59:49
儀内路から黒川牧場へ登る道はほとんど通ったこともないのですが、「足神」様がひっくり返ってると伺うと気になります。近くの方に聞いて、見に行ってみたいです。
Unknown (trx_45)
2018-05-05 10:06:04
Aki様
国道152号と、牧場に向かう道のT字路のすぐ上の尾根です。

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