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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

富士見町の道祖神⑲

2020-06-05 23:13:04 | 民俗学

富士見町の道祖神⑱より

富士見町葛窪の道祖神

 

 甲六川の上流域には別荘地が展開する。そうした開発地を除くと、葛窪が集落としては最上流の集落にあたる。葛窪集落の上方に神明社がある。参道となっている階段の上り口に道祖神が祀られている。

 葛窪は以前触れた平出一治さんの暮らした集落である。“どんど火”で紹介したものは、平出さんが葛窪の行事を紹介されたものだ。昭和63年1月15日の夜に行われた同名行事のレポートで、復活されたものと言うが、復活以前の行事を知る人がいないため、もともとの行事名はわからないという。

 石祠型の道祖神が1基祀られているもので、銘文はなく建立年は不祥だ。しかし、比較的新しい(江戸後期か)ものかもしれない。側面には桐や菊花が彫られ、装飾が多い。屋根を支える支柱が左右どらも損傷しており、向かって右側は欠損している。正面には逆卍が上部に彫られ、左右には酒樽を意図しているのだろうか、装飾がある。そして、ここの石祠内にも双体像が内包されている。背丈はともに同じで、向かって左側の神像が徳利を持ち、右側の像に向かってお酌しようとしている。どちらが女でどちらが男かはっきりしないが、服装から、やはりお酌しようとしている左側が女神だろうか。風化による磨耗で表情ははっきりしないが、ふくよかでにこやかな雰囲気が漂う。

続く


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