Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

久しぶりの調査

2023-04-22 23:13:03 | つぶやき

 自治体誌の集団調査に久しぶりに参加した。半年ほど前にも別の自治体の調査があったが、調査だけを目的にして集まって特定の地域を対象にして実施する調査は、ほぼ20年ぶりである。記憶をたどると「もうそんなに昔の事か」と思うほど、わたし自身も空白の多い、手探りのような調査であった。事前に自分なりに用意をしていったつもりだったが、「失敗」と思うようなこともいくつかあった。

 仕事がら図面を用意することは慣れたものだ。とりわけふだん仕事をしているエリアだけに、図面は業務上で得たものが使える。いわゆる地形図である。それだけではどこが誰の家か、そんなことを訪ねると地形図だけでは判明しないので、住宅地図も用意する。対象エリアの集落部分と少し周囲も含めて印刷していったのだが、「ヤマはもっと上の方にあった」とか「畑はもっと南の山の方にあった」と言われた空間は、用意していった図からはみ出していた。過去の調査では空間的情報がまったくない中で聞き取りをして、頭の中で空想するしかなかったのだが、図を用意していけば具体的に周辺も含めた空間情報が即時にイメージできる。そう思って図を用意するようになったのは、そう昔のことではない。集団でなくとも、個人的にあらかじめ場所を抑えての調査では、図を用意するのは必須になった。とはいえ、どこの図でも手に入るわけではないし、その図も縮尺がさまざまで、市町村図レベルでは情報を把握しづらい。今回も地形図はデジタルデータだったので、そこそこの姿が実際に現地を知らなくともイメージできたが、さすがに枠外では不測の事態である。仕事の上で2次元の図面は当たり前に見ているから、その世界から空間をイメージすることは慣れている。ほかの人たちにくらべれば空間イメージを地形から判断することはできる方かもしれない。その上で「誰それの家はどこ?」と聞く際には、やはり住宅地図である。それもいわゆるページめくりの本物の住宅地図では扱いづらいので、一定の地域を集合化した図面を用意していったわけである。これもまた、地形図の枠と近似したものだったから、「山の上の方」は枠外だった。もちろん住宅地図に「山の上の方」は描かれていないし、曖昧なものだから、地形図で用意するべきだったのだろう。とりわけ今回の「山の上の方」という話をお二方から耳にして思ったのは、林班図も用意すると良いのかもしれない。

 今日はなしをうかがったお二方とも「山の上の方」に土地をお持ちのよう。そしてその山にはもうしばらく足を運んだことはないという。山の恵みを求める趣味でもない限り、持山でももはや「どこにあるかもはっきりしない」状態である。嫁に来られたばかりの頃には、舅に連れられて山仕事によく行かれたという女性は、かなり広く山を所有されていたよう。しかし、もう「どこにあるかはまったくわからない」とのこと。もう30年以上前のことという、山に足を運んでいたのは・・・。

 良い話者に恵まれて、教えられることの多い調査であった。感謝!


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