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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

六道地蔵尊の祭り 前編

2018-08-06 23:46:44 | 民俗学

今年は行列をなすようなことはなかった

 

六道の森

 

 昨日「シンボンを迎える」を記したところだが、今朝、昨日も記した六道地蔵尊へお参りに行ってきた。伊那市美篶の六道原にある地蔵尊の森は、大きさにして1町歩ほどだろうか。松の木が生い茂った森であるが、かつては地蔵尊に参ると、ここの松の枝をとって仏様を迎えてきたという。このことはかつて「新盆の迎え」の中で「六道地蔵尊の祭り」に記した。この記録は平成2年のもの。28年前の調査記録である。お参りというよりも、以前から今の六道地蔵尊の様子を見てみたいと思っていたが、なかなか実現できないでいた。足を向かわせたひとつの理由が、昨日も記したように我が家では新盆が3件あるからだ。妻の母、わたしの実母、そして義理の姉の母。もちろん六道までお迎えに行くエリアではないが、昔は六道まで、遠くは飯田あたりの人まで来たという言い伝えもあることから考えれば、今でこそエリア外であるが、その昔のことはわからない。

 会社にこの祭りを担っている美篶上川手の方がいて、「何時ごろからお参りの人は多くなるのですか」と聞くと、3時から4時ごろと聞いたので、3時を目安に行ってみた。ちらほらとお参りに来ている人はいるが、まだまだ賑わっているというふうでもない。聞けば、今年は最も早い人で前日の午後11時半だったという。その後午前零時を過ぎると50人くらいはきたという。世話をされている今年の当番である下川手の老人会の方に聞くと、午前零時を過ぎたころにやってくるのは「新盆の人たち」だという。そしてこれからやってくる人たちは新盆以外の人たちではないか、と言うが、実際に聞き取りをしてみたわけではない。1時間ほど経過した午前4時になっても、訪れる人は少ない。かつての調査記録によれば、「午前4時から5時ごろが参拝者の最も多い時間」と記しているが、なかなかお参りする人は多くならない。

 

 

 賑わう前に、と思い我が家ともう2軒分の御札をもらい、お参りをして仏様を迎えた。ところがこの日、大失敗をしてしまう。いただいた御札を車の中に入れたままにして夕方まで置いた。実は現在御札は千円でいただけるわけだが、袋の中には御札2枚と、説明書き、それと本来仏様が乗ってお帰りになると考えられている松の枝がセットで入っている。さらにもうひとつ、ロウソクも一緒に入っているのだが、このロウソクが車の中で溶けてしまって御札に滲みてしまったのだ。写真はいただいた御札である。右端が六道地蔵尊の御札。真ん中がその御札と一緒に入っている地蔵尊像を象ったもの。左端は、本堂でお参りした後、順路に沿って南側に出ると屋外に祀ってある賽の河原地蔵尊の御札である。この御札は水子供養のためというから、誰もがいただいていく御札ではないだろうが、一緒に買い求めて行く人も多い。

 さて、2時間ほど経った午前5時を過ぎると、ようやくお参りする人が多くなるが、とはいえ、かつてのように堂の外まで列が繋がるような光景にはなりそうもない。あらためてかつての写真も添えてみよう。

平成2年8月6日午前5時ころの様子

 

続く

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