Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ノウサギが消えた

2007-01-22 06:57:40 | 自然から学ぶ


 「アニマルトラックから解ること」で触れた足跡を訪れてから2週間。さすがに雪は多かったものの、長野県南部の雪は暖かさのせいもあって解けが早い。長野市近郊の3倍くらいあった雪は、同じくらいまで解けてきている。山林の日当たりのよい場所は、地肌も出て動物の足跡の跡形もない。それでも日照時間によって解け具合はだいぶ異なり、残っている場所には十分なほどにまだ雪は多い。そんな雪の様子をのぞいてみた。前回も触れたように、ノウサギの足跡が見られない。ちょっと場所を変えてあちこち見てみるが、まったくその跡を見ることができないのである。

 そんななかで、そう古い足跡ではない足跡を撮影したものが左側のものである。足跡の大きさとして5センチ弱のもので、足跡が二つ重なるようについていっている。イヌ科の動物の足跡はほぼ一定している。この足跡もその系統であり、おそらくタヌキではないかと想像するが、イヌかもしれない。タヌキは足跡の大きさからしても、子ギツネやネコの足跡に似ている。第3指は人間でいう中指で、イヌ科のものは第1指が地に着かないため、足跡の内側から2つ目の指跡が第3指になり、最も長いという。

 という具合にイヌ科系の足跡は雪上に残るが、ほかの獣の足跡は確認できない。もっといえば、全体的に足跡が少ないように感じるのは思い過ごしだろうか。右側の写真は3年前のものである。ノウサギの写真であるが、この年はノウサギの足がおびただしく見られた。その数は足跡が大きいこともあるのだろうが、イヌ科の動物よりは明らかに多いように感じられたものだ。その足跡が皆無というのだからどういうことなのだろう。

 写真家宮崎学さんのブログに「貴重なノウサギ」を探した。そこには「長野県中南部では、ここ30数年のあいだにノウサギが激減している。とにかく、雪の上に足跡を見つけることすら困難になっている。そのくらいノウサギが減少してきているのである。」とある。「久しぶりに、ノウサギの足跡にであった」といって掲載している写真は木曽谷で撮ったものだが、そのブログそのものが、2005年12月のもので1年ほど前のものである。宮崎さんの最近のブログにないかと探ってみたら、「うれしい事件」といって自宅の裏庭で今年になって発見したノウサギの足跡のことに触れている。「伊那谷では、ここ20年ばかりノウサギが激減していて足跡を見つけるのも難しかった。その足跡があったのだから、これはニュースである。ひょっとしたら、ノウサギ復活の兆しなのかもしれない。」と語っている。宮崎さんのように山の生き物を捉えている写真家だから、そこらの自然の先生方よりも動物の様子は詳しい。そして、この二つのブログ記事から察するに、ノウサギが姿を消してきていることは確かなようだ。しかし、わたしがおびただしい足跡を見たのはつい3年ほど前のことである。そこからくらべると、今年の様子を見る限り復活の兆しどころではないのだが、どうしてだろう。残り短い冬期間に、もう少しノウサギの足跡を追ってみることにする。
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