Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ため池を見に行こう

2006-10-22 09:44:38 | 自然から学ぶ


 ため池というものは、本当に興味深い施設であるということを、あらためて実感している。近在にあるため池を三つほど廻ってみた。この時期ともなると、水を落としているため池がほとんどである。普段なら水面が高く、あまり目の届かないような空間を観察すると、意外な一面が見えたりする。飯島町本郷にある本郷堤も、斜樋の最低部にある栓が抜かれ、ため池内に足を踏み入れることができる。当然満水面から上にしか草花は咲いていないのだが、そのすぐ上あたりにセンブリの姿が何株もあるのだ。先ごろセンブリのことに触れたが、意外にも人家が近くにあるようなため池でその姿を見ることができた。あまり長い間姿を見なかったこともあって、世の中から消えてしまったのかと思うと、そうでもないということを知り、しっかり探してみるとけっこうまだまだ生育している場所があることを知った。とくにこの堤にはまだ丈は小さいが、株の数はけっこう多い。思わず採りたい、なんて思ったが、控えた。

 ため池を廻ってみて驚いたのは、どのため池にもワレモコウが咲いているのである。本郷の堤からそう遠くない針ケ平の堤は、堤体の上が道路になっていて、そこそこ自動車が通る。そんな道端のため池法面にも、ワレモコウが数は多くないが咲いていて意外であった。その近くにはセイタカアワダチソウが賑やかに咲いていて、どうみても外来種が目立っているのだが・・・。ワレモコウそのものも巷から姿を消している。いや、これもまたわたしの認識不足で、実は観察力の低さなのかもしれない。

 三つのため池に共通して見ごろの花は、このワレモコウとヤマラッキョウである。こちらもまたそれほどどこにでも咲いているというものではない。ため池に、なぜこうも田んぼの土手では少なくなってしまった植物が残っているかということが気になるのだが、明らかに管理の仕方にあるのだろう。田んぼの場合は、草の丈を伸ばしていると稲が病気になったりしてしまう。そういうことを回避するためにも伸びれば刈るということを繰り返す。そしてその刈りかたも、草刈機を利用するから丸坊主に近い。あまりに管理しすぎれば、植物相は単一化してくる。仕方のないことではあるが、そんな環境の差が、ため池との違いになる。ため池の土手草が刈られるのは、年に2、3回程度だろう。その程度の草刈が、植物を多様にするにはちょうど良いのかもしれない。

 写真は左から本郷堤のマツムシソウ・同ヤマラッキョウ・針ケ平堤のワレモコウである。
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