Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

獣道

2006-09-24 12:56:47 | 自然から学ぶ
 今年は盛んに熊の被害が報じられている。飯田市の伊賀良から山本まで走っている西部山麓線という農免農道沿いにも最近熊が出没しているという。山の麓ではあるが山中ではない。ずいぶん住宅も多い。そんなことで、おちおち山にキノコ採りに行くのも危険含みである。

 先ごろ「ヨケの観音さん」に触れだが、天竜川左岸の山間の県道からこの観音さんの場所まで登る道沿いには、明らかに獣道とわかる跡がたくさんあった。県道から観音さんまでは距離にして300メートルあるかないかである。その間の坂道は幅3メートル弱の幅で、その道から山側は傾斜地となっている。その傾斜地は草や低木が生い茂っているが、そうした草むらに人が分け入ったような筋が何本もある。ひとつや二つではない。数メートルしか離れていないのにそうした道筋ができていたりする。いったい何をしたんだろう、と思うほどその数が多い。近寄ってその道筋を観察するが、人の足跡らしきものはない。しかし、どう見てもここ1日ほどの間に分け入ったことはすぐにわかる。人の足跡がないのだから獣の道としか考えられない。足跡はあまりはっきり残っていないが、よく見ると小さいが足跡がところどころ残っている。イノシシかニホンジカなのだろう。ちょっとイノシシにしては足跡が小さいし、傾斜地にしては足跡の残影が弱い。印象としてはニホンジカっぽいが、爪あとが開いている感じもするのでイノシシかもしれない。

 この道沿いに一軒の人家があるが、そんな立地ではあるがおびただしく山の中に向って道筋がつけられている。県道から上がる道の進入路の北側は、岩場となっていて県道上に落石防護ネットが設置されている。そのネットを抑えているアンカーが県道から10から20メートルほどの直上に設置してあって、山へ登る道の脇からこのアンカーが設置してある場所へ人が歩く程度の幅で入ることができる。その道を横にたどって行くと、獣道というよりはそこいらじゅうが獣が歩いたように土が起きているのである。まるでネットを張る工事を最近したような、工事現場のありさまなのだ。

 観音さんまで上る道の上にも傷をつけたような跡がいくつも見える。足跡とは明確には言えないが、いったい何が起きているのだろう、そう思うほどあたりには生々しい土の色が見えている。人通りもまずないそんなところにひとりたたずんでいると、熊でも出てきたら・・・などとちょっと気になってしまう。

 先ごろ妻の実家へ向う広域農道を走っていたところ、道の真ん中をつがいのニホンジカが歩いていた。わたしと目が合って、しばらくこちらを見ていたが、車をゆっくり近づけていったら山の方へ逃げて行ってしまった。車を止めて山の様子をうかがっていたら、ゴソゴソと藪が揺れる音がして、さらに奥へと入っていってしまった。この道、車が通らないからシカたちも安全な道なのかもしれない。近くに家があるのだがそんなことはおかまいなしだ。天竜川左岸には、明らかにニホンジカが多いという印象がある。

 撮影 2006.9.18
 写真は獣道、右下は足跡であるが、これは横にふくらみがあるからタヌキとかキツネ系のものかも。
 
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