Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

1人で稲刈り

2006-09-23 10:09:58 | 農村環境
 先週のことである。「わが専用道路」で触れた広域農道を走って妻の実家に向っていた際、道の脇の田んぼでおじさん(歳からいけばおじさんというよりはおじいさんになるだろうが)が1人で稲を刈っていた。ほ場整備された田んぼだからそんなに小さい田んぼではない。飯田下伊那地域では、まだまだ刈ってハザ干しする家が多い。とくに天竜川左岸の山間地域となれば、ハザ干しが一般的だ。だからおじさんも、1人でバインダーで刈って、干す準備をしていた。

 話は変わって同じ日、妻の実家のある周辺の田んぼも、あちこちで稲刈りをしている家があった。そんななか我が家も稲刈りを一部したわけだが、妻と息子、妻の弟と父と5人での作業であった。刈った田んぼはというと、せいぜい5畝程度の小さな田んぼ1枚だが、5人でやるから2時間もあればハザ干しまで終わる。周辺でも稲刈りをしていて、高台にある我が家の田んぼからは下の方にある田んぼの様子がよくわかる。子どもたちも加わって賑やかに稲刈りをしている家が多い。どこも小さな田んぼだか、家によっては10人くらいが集まってやっている。みるみるうちに稲刈りは終わり、ハザができ上がって行くのだ。山間地とはいえ、これだけ人出があって賑やかだと、楽しいものだ。普段はあまり手伝わなかった息子も、この日は2時間程度ではあるが、よく働いた。自らでき上がったハザに稲を架け始めたの。ぬかって排水性の悪い田んぼだったから稲が畦の上に置かれている。ちょっとハザまで遠い。そうでなければ違う場所からわたしも架けはじめるところだったが、息子の架ける稲をとってやった。息子もわたしがハザ掛けのプロだと知っている。だから意識してか、素早く架ける。わたしは架けやすく稲を割って架ける方向に向けて取ってやる。わたしが普段1人で架けるよりは遅いが、それに近いくらいの速さで架け終わっていく。久しぶりの親子の共同作業だった。

 妻の実家に約4時間くらいいたのだろうか、再び来た道と同じ道を自宅に帰っていく。するとさきほどの広域農道沿いの田んぼで、相変わらずおじさんが1人で稲を刈っている。よくみると、すべてを刈り倒してあるのではなく、田んぼの一部を刈り倒してあるだけだ。それを見て、おそらく自分ひとりでその日に片付けられるだけを刈り倒したのだと気がつく。この田んぼの周辺も天竜川左岸だから、それほど平らでもなく山間ではあるが、すぐ近くに宅地造成がされて何軒か新しい家が建っている。だから割合この広域農道沿いの中では家が多い集落である。しかし、おじさんは1人なのだ。家族はいないのか、手伝う人はいないのか、そんなことを思うのだが、いずれにしても1人で稲刈りをしている姿に複雑な思いを抱いた。
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