Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

賑やかに飛ぶツマグロヒョウモン

2006-09-20 08:09:04 | 自然から学ぶ


 地球温暖化の影響で北上しているといわれるツマグロヒョウモン。自宅のあたりではまだ未見だが、妻の実家のあたりにはたくさんこのチョウが飛んでいる。ちょうど一年前にもこの「ツマグロヒョウモン」について触れたが、そのころはチョウのことはよく知らなかった。ブログを始めて何が一番変わったかといえば、身の回りの出来事や、環境に対して敏感になったということだ。仕事に追われ、変化のない毎日を絶えず繰り返すとともに、銭もなくよそへ出ることもない我が家にとって、せめて身の回りの出来事、あるいは環境に目を向けるぐらいがブログのネタ、いや日記のネタなのだ。公開もしてない従来の日記なら、誰も見はしないから、どんなにてきとうであろうと、3日坊主に毛が生えた程度でも、気にもしなかったが、一応見る人は少なくとも、公開しているから身の回りのことを気にとめるようになった。せめてもの「効果」というところなのだろう。

 さて、ウドの花にツマグロヒョウモンが盛んにやってきている。メスのほかオスが何匹も飛んでいる。オスはほかのヒョウモンチョウと似ていて、ヒョウ柄である。この手のチョウはいろいろいる。ただ、ツマグロヒョウモンは後翅の縁が黒いので他の種類と区別できる。いっぽうメスは斑点の柄はほぼ同じだが、前翅の先端部表面が黒色地で白い帯が入る。チョウにあまり関心がなければ、同じ種だとは思わないくらい雄と雌は異種に見える。

 世界ではアフリカ北東部、インド、インドシナ半島、オーストラリア、中国、朝鮮半島といった温暖な地域で生息し、日本では南西諸島、九州、四国、本州の南西部に生息していた。1980年代まで本州では近畿地方以西でしか見られなかったというが、徐々に生息域が北上し1990年代以降には関東地方南部、富山県・新潟県の平野部で観察されるようになった。長野県では以前より確認はされていたものの、越冬はできなかったという。しかし、最近では越冬したという事例も報告されている。今まで珍しかったということもあって、貴重なチョウなんていう認識があったようだが、生息域を広めるとともに、そんな認識も変化してきている。このチョウ同様に、北へ生息域を広げているチョウがあるという。クロコノマチョウやナガサキアゲハなどもそうしたチョウの一種と言う。ちなみに信州昆虫学会が『信濃の蝶』を発行した際の長野県の蝶は146種だった。1972年から1979年にかけてまとめられたものだが、すでにその際に、それまでは信濃の蝶として仲間に入っていなかったアオスジアゲハやモンキアゲハも仲間入りしたという。そしてクロコノマチョウが確認されたのが1980年のことといい、こうした温暖化の影響は最近始まったことではなく、もうずいぶん前から進行しているのだと気がつく。

 撮影 2006.9.16
 右側がメス、左側がオス
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