Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ホウキグサ

2006-09-19 06:08:17 | ひとから学ぶ
 妻の実家の畑の隅にあるホウキグサが赤くなり始めた。我が家ではホウキグサと呼んでいるが、和名はホウキギというらしい。また、コキアとも呼ばれ、宅地の庭木として植えられている場合はこのコキアと呼ばれるのが一般的なのかもしれない。ホウキグサじゃオシャレじゃないかもしれない。

 アカザ科の一年草で、中央・西アジアの原産という。古い時代に中国を経て日本に入ってきたようだ。高さ約1メートル余になり、種が落ちるから毎年同じところに芽を出している。夏の間は緑色で円錐状に茂っていて、まさしく庭木のように見える。ホウキギと言われるのも木のように見えるからかもしれない。雰囲気として似ているものにハーブがある。ハーブが紫色なら、こちらは見事な赤い色である。紅葉し始めると、緑色に混じって赤い色が点々と現れ、完全に赤くなるホウキグサよりも、緑色に赤色が点在するホウキグサの方が、わたしには美しく見える。

 ホウキグサというように、箒にされた。「ホウキグサ」で検索すると、「昔は箒として利用された」なんて書かれているが、今でも我が家では箒にしている。畑の隅を利用してずいぶん昔に植えられたもので、10月末にとって2週間くらい干して束ねておき、必要なときに箒にしたという。この箒の先にホウキグサの実がついていて、使ったあとに箒をはたくと一緒に実も落ちて翌年に芽を出すという。植えたのは一度だけなのだろうが、毎年ホウキクザが芽を出して箒として利用されていたわけだ。まさしく自然とそこに循環の世界があった。

 ホウキグサで作った箒は、箒に実がついていて最初のうちはちょっとゴミっぽい感じはする。しかし、土の上を掃いたり、あるいはコンクリートなど舗装面を掃くのにちょうどよい。竹ボウキなんかにくらべれば、ずっと扱いやすいし奇麗になる。今ではホームセンターなどでコンクリートなどの土間用の箒を買うのが当たり前になっているが、一度ホウキクザで箒を作ってみるとよい。実がごみごみして嫌なら、よく実を取ってから作ればよいだけのことだ。

 さて、以前ホームページでホウキグサを扱ったことがある。久しぶりにその記事をあらためて読んでみたら、かつてのホウキグサは赤くならなかったと書いてある。すると、現在畑の隅にあるホウキグサは、その後再度蒔いたものかもしれない。まだ妻の実家には大昔のホウキグサを干したものが屋根裏に置いてあって、箒を作ろうとすればそれを利用する。HPで紹介している写真は、息子が小学校5年ころに自ら箒を作った際のものである。束ねたホウキグサを専用の束ねる台に載せて元を締め、針金で縛っている。このとき作った箒が、今でも我が家でいくつか使われている。犬のウンチを取る際にも、この箒を使う。利用価値は高い。でもこんな箒を近所で使っている人はいない。
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