Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

いも干し

2005-12-12 08:18:25 | 農村環境
 妻の実家でいも干しをさかんに作るが、今まではそのおおかたをわたしが食べていた。けっこういも干し好きである。一般には干しいもという人の方が多いかもしれないが、わたしは昔からいも干しといっていた。ここらではいも干しというのが一般的だと思う。いも干しに使われるのはサツマイモである。このサツマイモであるが、昔からこのあたりで作られたものではない。下伊那郡喬木村で聞いた話では、昭和15年ころから作られるようになったという。いわゆる戦時中の食べ物が不足しているとき、盛んにサツマイモが広がったようである。戦後間もないころは、どこでも沢山作ったもので、仲買人が集めて豊橋で塩と交換してきてくれたという。当時は自家でいも干しを作るということはなかったようである。戦後になってしばらくすると、いも干しを購入して食べるようになったといい、そのうちに自家で干して食べるというようになったようである。
 わたしも子どものころ、盛んにいも干しが好きで、自家で年寄りが作ってくれたものを食べた覚えがある。当時のいも干しというと、とても硬くなかなかあごを使う訓練になるほどのものであった。また、干す際に藁でつくられた莚の上に置いたこともあって、いもにその藁がこびりついて乾いてしまうというのは通常のことであった。だから食べる時に藁を取り除いて食べるのだが、場合によっては細かい藁はついたまま食べてしまうということもよくあった。
 そんないも干しも、家でサツマイモをあまり作らなくなったということもあって、冬場に購入して少し食べる程度であったが、結婚後は自家製のいも干しをたくさん食べられるようになった。割合甘党のわたしは、お菓子を食べるのもけっこう好きであるが、いも干しがあれば最高なのである。日本茶にはもちろんであるが、けっこうブラックのコーヒーなんかによくあう。
 ところで、昔の硬いいも干しとは違い、妻の実家で作るいも干しは軟らかい。長い時間干すと硬くなるようで、やわらかい方が年寄向きということで、軟らかいいも干しにしている。サツマイモを茹でてから干すのだが、けっこう干すのも出したりしまったりと手はかかるようだ。いわゆるご存知の赤紫色をしたサツマイモで作ることはあるが、その場合日もちがしないということで、いも干し用の白いサツマイモを使う。いも干し用のものは生食では美味しくないようで、イノシシが食べにやってくると、赤いサツマイモしか採らない。白い方には目もくれないようだ。
 軟らかく甘いということもあって、2歳を迎えた双子の甥たちが食べるようになり、食べるのにも競争率が上がってしまった。たくさん作るので冷凍庫に保存しておくと長く食べられるのだが、冷凍庫に保存するほど残らないかもしれない。
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