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梅田コマ劇場公演(S39年10月)

2006年08月11日 | 舞台公演
(「演劇界」より引用)

「雪夫人絵図」「ある浪人の物語 日々平安」

梅田コマは特別公演として木暮実千代を迎えて『雪夫人絵図』を出した。
終戦後いくばくもなく大当たりした映画の夢を舞台に結ぼうという企画だが、まんまと外れた。

木暮は舞台の経験も浅いので、映画で生かされた官能的な美しい肢体も舞台では生きて来なかったのだが、それは彼女の罪というよりも、成沢昌茂の脚色・演出の責である。斜陽華族の令嬢で美しい雪夫人が、家を外にして遊蕩している婿養子に悩み、幼なじみの舞踊家に心を傾けながら、肉体は夫にひかれている。そうした面白さが一向に盛り上がって来ないのだ。相手役には夫に河津清三郎、舞踊師匠には天知茂を配しているが、こうした企画には、芝居の実体を固める演技陣を整えねばどうにもならぬことを証明した。

もう一つの出し物は映画『椿三十郎』の原作である山本周五郎の『ある浪人の物語・日々平安』を天知茂・長門勇とに共演させている。原作では一人の主人公を二人の人物に分けて活躍させるところに劇化の術に長けた竹内伸光の成功がある。街道で空腹に耐えかねた長門が、通りかかった天知に狂言切腹の介錯を頼み、刺客に追われた若侍人見きよしを助けてから、悪家老のために乱れた藩の危機を救うというチャンバラになるのだが、天知は『雪夫人』での大人ぶりよりも固い演技で、専ら長門の持味の軽いユーモアに支えられている。面白く、気安く見られるが、これも低俗に終わってしまった。[終]

*芝居の世界ではまだまだ青い(固い)天っちゃんのようだ
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