先日紹介したLoewen博士の本はゆりさんがすでにご自分のブログで何度も取り上げられたそうである。うかつでした。
毎日天気が悪いので気持ちがふさぐ、気もちが塞ぐと仕事もはかどらない。 こちらで指導しているカペラにも今度からルネサンスの記譜法で取り組んでいってもらおうということでこの間話し合いをし、皆さん承諾してくださった。
何から始めるかにあたって、まずは手短に素朴で簡単で有名な曲ということでビクトリアのO magnumとバードのAve verumの2曲にすることに決めた。これで視覚的にも徐々に記譜法に慣れていってもらう。モーダル歌唱法はモダン譜では実現するのはほんとうに難しい。相手がアマチュアだからと最初は一般的な現代記譜法で練習、演奏を進めていったのだけどもう5年も経ったし、わたし自身現代譜で中世やルネサンスを歌う事の限界をすごく感じている。 小節線と拍子のお陰でテンプスやプロポーションへの感覚が無視されてしまう。全声部がスコア上に記譜されているというのもよくない、対位法を自分の耳で聴き感ずる事を助長しないのだ。
先日ゆりさんとある特定の調律にこだわることは宗教にのめり込んでしまうのと同じというようなメールを交わしたんですが、この記譜法に関しても同じことかも知れませんね。
これは私の問題であって、現代譜使ってるグループの演奏はよくないということを言っているのではないです。単に私が目指している歌の世界の実現には写本を読むことが音楽作りにとても密接なものであるからです。
写真はビクトリアのカントゥス・パート譜。1572年のもの。