Chanterai por mon corage 

(私の心のために歌いましょう)

思ったこと。

2013年11月29日 16時09分20秒 | ひとりごと・コラム

先日紹介したLoewen博士の本はゆりさんがすでにご自分のブログで何度も取り上げられたそうである。うかつでした。

 

毎日天気が悪いので気持ちがふさぐ、気もちが塞ぐと仕事もはかどらない。 こちらで指導しているカペラにも今度からルネサンスの記譜法で取り組んでいってもらおうということでこの間話し合いをし、皆さん承諾してくださった。

何から始めるかにあたって、まずは手短に素朴で簡単で有名な曲ということでビクトリアのO magnumとバードのAve verumの2曲にすることに決めた。これで視覚的にも徐々に記譜法に慣れていってもらう。モーダル歌唱法はモダン譜では実現するのはほんとうに難しい。相手がアマチュアだからと最初は一般的な現代記譜法で練習、演奏を進めていったのだけどもう5年も経ったし、わたし自身現代譜で中世やルネサンスを歌う事の限界をすごく感じている。 小節線と拍子のお陰でテンプスやプロポーションへの感覚が無視されてしまう。全声部がスコア上に記譜されているというのもよくない、対位法を自分の耳で聴き感ずる事を助長しないのだ。 

先日ゆりさんとある特定の調律にこだわることは宗教にのめり込んでしまうのと同じというようなメールを交わしたんですが、この記譜法に関しても同じことかも知れませんね。

これは私の問題であって、現代譜使ってるグループの演奏はよくないということを言っているのではないです。単に私が目指している歌の世界の実現には写本を読むことが音楽作りにとても密接なものであるからです。

 

写真はビクトリアのカントゥス・パート譜。1572年のもの。


Music in Early Franciscan Thought

2013年11月28日 14時12分03秒 | ひとりごと・コラム

先日ユトレヒト大学で行われた公開講義に顔を出した。中世音楽というと、どこでもそうかもしれないがここでもやはり世間が狭くて知った顔ばかりが揃う。でもいつも言えることは演奏者はこういうのに来ない。大体学者さんとか、マニアの人達ばかり。

テーマはMongols Howling, Latins Barking: Voice and Song in Early Musical Encounters in Precolonial Eurasia

中世時代におけるユーラシア大陸での声の発見。中世時代にフランシスコ会士達が戦況のために新境地へと旅をし、現地の原住民たちの音、音楽に対する習慣や伝統をヨーロッパ人である修道僧達がどう感じたか。

中世にはベスティアリ‐、日本語言う動物寓意譚というものがあるが、そこでも多くの動物達の吠えたり、泣いている音声をいろんな喩えを持って描写している。同時フランシスカンたちは遠くはモンゴルまで出かけたそうだ、それも裸足で!

講師はオーストラリア人でオックスフォードの先生をしておられるジェイソン・ストウセル博士。まだまだお若い気さくな方だった。 スペインにもホアン・カルロス・アセンシオ、アメリカにもロブ・ウェッグマンやテオドル・ディミトレスク、など若い世代の優秀な音楽学者が中世音楽のスペシャリストとして新しい研究をどんどん薦めており、世界的にも注目を浴びている。大御所という方々はすでに引退されておられるわけだし、世代交代というかこういう若い有能な人達の研究にとても期待をしています。

話が戻るけど、ジェイソン氏が講義中に面白そうなご本を紹介してくださった。

 

Peter Loewen博士の著書

Music in Early Franciscan Thought

 

フランシスコ会の音楽的な側面を中心に追求した研究だ。先ほどの宣教修道士についてもだが、ジェイソン氏はフランシスコ会では他の修道会と比べてもいちばん音楽への関心と重要度が高かった。だからこそ行く旅先で彼らが耳にした音に対して非常に敏感かつ繊細に興味を示したのだ、ということを述べられた。

ご紹介された本にはフランシスコ会はもちろんだが、創始者の聖フランシスコの音楽家としての一面にもかなり触れているらしい。ゆりさんはじめ、フランシスコ会に興味をもつ方はぜひ読まれたらいいでしょう。

 

 

 

 


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2013年11月28日 01時36分22秒 | ひとりごと・コラム
ちょっとの間更新しないうちにブログのシステムもいろいろ変わっていて面白くなってる。
自分のブログをフェイスブックやミクシイにつないだりとすることも出来るようになってる。私は両方やってるけど、目的というかそれぞれ違った環境で楽しんでるので、全部をつなげるのは好きでないし、それにこのブログは期待人だけがふらっといらしてくれたらいいので、とくに宣伝などしたくない。

最近またノートルダム楽派のオルガヌムを歌い出した。やっぱりものすごい作曲様式だと思う。最近はMagnus Liberもオンラインで簡単にダウンロードとか出来るし、元になってるグレゴリオ聖歌も当時本当にノートルダムで使われていた聖歌集もオンラインに出ているので、以前みたいに図書館に行って時間に追われながら血眼になってカタログを探す必要もなくなった。こういうのをゆとりの時代と言っていいですよね。おまけにダウンロードした楽譜をコンピューターのフォトプログラムで画像にして、インクの染みや汚れなど綺麗にお掃除もできちゃう。今までコピーして元の写本が暗いので真っ黒になって出てきて、判断不明なリガトゥーラや音などとてもわかり易くなった。これも現代文明の賜物。

現在存在しているオルガヌムの現代譜のほとんどは古い解釈で信用出来ない。最近のグループはじかに写本を読む人達が多くなってきている。テノールとドゥプルムのつじつまを合わせるのはいろいろ知識と経験ないと大変だけど、数年ほど地道にやっていれば、自然にわかってくると思う。

ところでWilli Apelの記譜法の本もオンラインに出ている。オルガヌムに関する記譜法も詳しくでてます。オルガヌムを写本で歌いたい人はきちんと読むべきです。ただ書かれていることもかなり古いので、そのまま鵜呑みにして島はよくない。常に最近の上にも注意しておきましょう。