12/27
朝、目覚めると頭が痛い。
身体が重い。
これは…
二日酔いか…?
二日酔いになって当然だ。
泡盛、日本酒、ビールを深夜の1時まで飲んでいたのだ。
大して飲めないくせに調子にのるからこうなる。
しかしまぁ昨日は楽しかったからいいのだ。
とりあえず頭痛薬を飲む。
ホストの彼は今日も仕事のため、今日でお別れだ。
朝、ガンガンと痛む頭をさすりながら、彼に別れを告げる。
最後の場面でこんなどうしょうもない姿なんて…
なんて私はポンコツなんだろうか…
自己嫌悪を感じながらも、彼にお礼と別れを告げた。
「ゆっくりしてってね、まだ寝てていいから」
私が二日酔いなのを察したのか、彼はこう言ってくれた。
彼に出会えていなければ、この旅はこんなに楽しめなかっただろう。
彼に本当に心から感謝だ。
家を出る彼を見送りながら、感謝の気持ちで一杯になった。
彼のお言葉に甘え、再び寝ることに。
ウトウトしていると、物音がして目が覚めた。
お父さんが何かしているようだ。
頭痛が引いてきたので、お父さんに挨拶をする。
「おはようございます」
「おはよう。今日は何時頃出るの?」
「多分お昼前には出ます」
「そっか、私はこれから出かけるから、ゆっくりしててね。お腹が空いたら冷蔵庫にあるものを勝手にとっていいから」
え?
出かけるの?
つまり私が留守番…??
というわけで、ご両親が帰ってくるまでお留守番をすることにした。
荷造りをしながら、お父さんが出してくれたカステラを食べる。
お昼ちょっと過ぎに、お父さんが帰って来た。
「ケンタッキー買って来たから、食べて」
いただきます!!!
頂いたケンタッキーを食べながら、お父さんとお話しをする。
沖縄が大好きなこと、来て本当に良かったことなど…
「こんなに暖かいと、寒い関東に帰るのが嫌になりますね」
「沖縄は12月じゃまだ暖かいからねぇ。」
確かに。曇りの日でも20度近くあるのだ。
続けてお父さんは、
「沖縄の人は、10度を下回ると死ぬからね」
こう真顔で言っていたのに、思わず吹き出してしまった。
しかしホストの彼も、
「10度より下がったらもう無理」
と、しょっちゅう言っていた。
確かに沖縄に住んでいたら、10度より下だと極寒に感じるんだろうなぁ…
お母さんもやってた。
ここのお家は本当に居心地が良かった。
たった三泊しかしていないのに、のびのびと過ごすことができた。
フレンドリーで面白いホストの彼。
優しくてのんびりとした彼のご両親。
そしてかわいい飼いぬこ。
素敵なお家に泊めさて頂き、本当に本当に感謝の気持ちで一杯だ。
そろそろ家を出るため、ご両親にお礼を言う。
「本当にお世話になりました。本当に楽しかったです。」
「またいつでもおいでね」
益々沖縄が好きになった。
また必ずここに来よう。
荷物を引っ張りながら、ゆいレールへ。
今日の帰りの飛行機は夜の7時のため、時間に余裕があった。
どこに行こうかな…
本当は今日は一日慶良間でシュノーケルツアーに参加する予定だったのだが、今朝方の頭痛で諦めていたのだ。
首里城にでも行こうかな。
ゆいレールの終点の首里城。
空港までも帰りやすいし、距離的にも丁度いい。
しかしそこまで心が踊らない。
沖縄に来たんだから、海に行こう!
そう思い、初日に行った那覇市内にあるビーチに行くことにした。
ゆいレールで県庁前駅で降り、ビーチを目指す。
初日に歩いた道を再び歩く。
那覇市内にある唯一のビーチ、波の上ビーチに到着した。
ビーチの入り口にある地図を見ていると、ここから3キロ先に「ダイビング・シュノーケル専用ビーチ」があることを知った。
ダイビング・シュノーケル専用ビーチ…!?
ダイビングやシュノーケルに向いているということは、魚が見れるかもしれない。
3キロくらい、歩くに決まっている❤️
来た道を引き返し、そちらのビーチへ向かうことにした。
この日は風が強かった。
気温が高いので寒くはないのだが、強風で髪の毛がめちゃくちゃになる。
のんびりと周りの風景を楽しみながら、ビーチを目指す。
しばらく歩くと、ビーチが見えて来た。
奥に行くと、ダイビング向けのビーチらしく、海に向かって手すりがついた階段がある。
よく見ると、機材を背負ってウエットスーツを着ている二人組がいる。
ダイビングを終えたんだろうか?
海の周りの遊歩道を歩いて海の中を覗くが、風が強いため波が高い。
こんなん天気じゃ、シュノーケルなんて無理だろうな…
今日は行かなくて正解だったな!!
(↑自分で自分の決断を無理やり正当化する。)
海の周りを歩きまわっていると、ウォーキング中のおじさんがいたので、声をかけた。
「ここでダイビングする人って多いんですか?」
「うーん、いるっちゃいるけど、今日はちょっと無理かもね。寒いし波が高いし。」
だよね!!!!
やっぱり今日はシュノーケルに行かなくて正解だったのだ\(^^)/
(↑再び自分で自分の決断を無理やり正当化する。)
勝手に自己満足したところで、元来た道を戻る。
途中で神社を見つけたので、行ってみることにした。
ここの名前は波上宮。
朱塗りの建物が美しい。
お賽銭を入れ、お祈りをする。
沖縄へ感謝の気持ち。
出会えた人たちへの感謝の気持ち。
自分を支えてくれる家族、友達への感謝の気持ち。
しばしベンチに座ってのんびり。
ここには沖縄戦で亡くなられた人たちへの慰霊の碑があった。
何の罪もない多くの人たちが、沖縄戦によって命を落とした。
慰霊の碑に祈りを捧げ、波上宮を後にする。
初日に行った対馬丸記念館の裏手に公園があるらしいので、そこへ行ってみることにした。
ここには大きなガジュマルの木が生えていた。
沖縄によく生えているこの木である。
(写真はネットから引用)
枝から根が伸び、地に根をはる。
巨大なガジュマルはとても美しかった。
太い幹は生命力に満ち溢れ、思わず手を触れた。
この木はどのくらい、ここで沖縄の姿を見て来たんだろう。
戦火をくぐり抜け、こんな立派な姿を留めているのだろうか。
ガジュマルの木を眺めていると、いろんな思いが頭を駆け巡った。
彼はここで、流れる沖縄の歴史を眺め続けているんだろうな…
そう思うと、物言わぬガジュマルの木に尊敬と敬意の気持ちが湧いて来た。
ここの奥には、対馬丸以外の船舶撃沈による犠牲者を祀った、「海鳴りの像」があった。
女性が赤ん坊を抱いている像だ。
(写真はネットから引用)
慰霊碑には犠牲者の名前が刻まれている。
戦時中の日本は、このように船舶が撃沈をされていても戦況の悪化を示すことになるといって、軍事機密とされていたそうだ。
なので対馬丸が撃沈されたことも、すぐには沖縄市民には伝えられなかったため、自分の子供や家族がどうなったかわからなかったそうだ。
情報だけが錯綜し、ただひたすら家族の安否を祈る日々だったんだろう。
東京の靖国神社、広島の原爆ドーム、鹿児島の知覧特攻隊記念館。
そして沖縄。
戦争に関する場所や記念館へ何箇所か訪れたが、何故戦争が起こるのかわからない。
戦争が起こるには理由がある。
根底にあるのは、人間の欲だろう。
蒼く輝く美しい沖縄の海。
夏場は観光客で埋め尽くされる海は、70数年間前、米軍の船で埋め尽くされた。
戦後を生き抜いた人たちが懸命に復興のために立てた建物は、開発の名の下にどんどんとたて壊されていく。
「日本は平和な国だよね。」
海外で知り合った人に何度も言われた言葉だ。
本当にそうだろうか。
歴史は何度も繰り返す。
今でも米軍が起こす事件や事故は後を絶たない。
(一方的にアメリカを非難しているわけではないが)
以前、沖縄の離島を旅したとき、夜に一人で島にあるバーに飲み行ったことがある。
そこで島のおじさんと隣になり、沖縄と米軍の関係について話し込んだ。
おじさんは、
「米軍を悪く言う人や、嫌いな人はいるけどね。けどそれによって利益を得ている人がいるのも事実だから、何とも言えないよね」
と、少し酔って赤くなった顔で私に話してくれた。
本当の平和とは何なんだろうか。
沖縄に来るたびに考えるが、未だに答えは出ない。
公園を歩き回り、波の上ビーチに戻って来た。
さっきまで吹いていた風もおさまり、暖かい日差しがビーチに降り注いでいた。
邪魔なスーツケースを階段脇に置き、砂浜へ。
暖かな日差しに誘われ、多くの人がビーチにいた。
小さな子供を連れたお父さん。
自撮りを楽しむカップル。
賑やかな外国人のグループ。
私のような1人の女性。
適当な場所に腰を下ろし、ザックを枕にして砂浜に寝転んだ。
サラサラの砂浜が気持ちいい。
目をつぶり、あっという間の今回の旅を振り返る。
楽しかったなぁ…
ウトウトしていると、冷たい風に目が覚めた。
時計を見ると四時を過ぎている。
そろそろ行くか。
階段脇に置いておいたスーツケースを取りに戻り、ゆいレールを目指す。
せっかくだし、沖縄を離れる前に沖縄そばを食べよう。
この近くに定食屋があるらしいのだ。
ビーチから徒歩五分ほどの定食屋さんは、量が多くて有名らしい。
せっかくだし、たくさん食べよう!!
食い意地が張っている私は、沖縄そばとカツ丼のセットを購入した。
めっちゃ多い\(^^)/
これで600円だよ?
安いでしょwwwww
あれだけ食べると意気込んでいたのに、全然食べれなかった…
残してごめんよ…おばちゃん…
パンパンのお腹をさすりながら、空港に戻るためゆいレールへ。
空港行きのゆいレールには、同じようなスーツケースを持った人たちが沢山いた。
みんなどんな沖縄時間を過ごしたんだろう。
空港に到着し、荷物を預けて準備は完了。
あとは出発を待つのみだ。
那覇空港の三階から、海に沈む夕陽を眺めた。
真っ赤な夕陽が光の線を放ち、周りの雲を明るく染める。
夕陽が沈み、明るかった空に陰を落とした。
夕陽を1時間近く眺め続け、出発ゲートへ向かった。
機内は満席だった。
これからまた寒い成田に戻る。
寒いの嫌だな…
しかし行きの飛行機のときとは違い、帰りの機内の自分は晴れやかな気分だった。
突発的な旅だったが、多くの人のおかげで素晴らしい旅にすることが出来た。
機内の照明が落とされ、気づくとウトウトしていた。
成田到着まであと少しだ。
すっかりと夜も更けた九時過ぎに、飛行機は成田空港に着陸した。
機外に出た途端、吹きすさぶ冬の風が頰にあたり、眠気が一気に覚めた。
戻ってきたんだなぁ。
しみじみと感じた。
スマホをオンにすると、ホストの彼からメッセージが届いていた。
「今回はありがとう!楽しかったよ。
またいつでも帰ってきてね!」
楽しかった沖縄での日々を思い出し、思わず笑顔になった。
悲しいことや辛いことがあったとき、人はどうやってそれを乗り越えるだろうか。
堪え切れない悲しみ、やり場のない怒りなど、多くのネガティヴな感情が自分を支配し、自分でどうすることもできない。
沖縄に行く前の私はそんな状態だった。
行きの飛行機の中で無意識のうちに涙が溢れたり、自分で自分の感情がコントロール出来なくなっていた。
このままじゃダメだ。
そう思い、本当に衝動的に沖縄行きの航空券を買った。
沖縄にくる前、ひどく落ち込み、精神的にボロボロだった。
しかし沖縄に訪れ、すっかりと元気になった自分に気がついた。
沖縄の青い空、美しい海、暖かな空気。
沖縄の人の優しくてひょうきんな人柄。
カウチサーフィンのホストの彼に出会い、毎晩のように大笑いをした。
ローカルなスポットに連れて行ってもらい、沖縄のディープなところを教えてもらった。
彼との出会いは本当に大きい。
彼と出会えていなければ、ここまで沖縄を楽しむことは出来なかった。
人によって傷つき悲しんでも、人の優しさに触れ、立ち直る力をもらう。
今回の旅で、このことを心から感じた。
沖縄は本当に私にとって特別な素晴らしい場所だ。
来るといつも元気になれる、そんなところだ。
大好きな沖縄、本当にありがとう。
滞在中、世話になりっぱなしだったホストのKくん。
本当に本当にありがとう。
また必ずここに来よう、
沖縄の景色に会いに、そして出会った人たちにまた会いに行くために。
朝、目覚めると頭が痛い。
身体が重い。
これは…
二日酔いか…?
二日酔いになって当然だ。
泡盛、日本酒、ビールを深夜の1時まで飲んでいたのだ。
大して飲めないくせに調子にのるからこうなる。
しかしまぁ昨日は楽しかったからいいのだ。
とりあえず頭痛薬を飲む。
ホストの彼は今日も仕事のため、今日でお別れだ。
朝、ガンガンと痛む頭をさすりながら、彼に別れを告げる。
最後の場面でこんなどうしょうもない姿なんて…
なんて私はポンコツなんだろうか…
自己嫌悪を感じながらも、彼にお礼と別れを告げた。
「ゆっくりしてってね、まだ寝てていいから」
私が二日酔いなのを察したのか、彼はこう言ってくれた。
彼に出会えていなければ、この旅はこんなに楽しめなかっただろう。
彼に本当に心から感謝だ。
家を出る彼を見送りながら、感謝の気持ちで一杯になった。
彼のお言葉に甘え、再び寝ることに。
ウトウトしていると、物音がして目が覚めた。
お父さんが何かしているようだ。
頭痛が引いてきたので、お父さんに挨拶をする。
「おはようございます」
「おはよう。今日は何時頃出るの?」
「多分お昼前には出ます」
「そっか、私はこれから出かけるから、ゆっくりしててね。お腹が空いたら冷蔵庫にあるものを勝手にとっていいから」
え?
出かけるの?
つまり私が留守番…??
というわけで、ご両親が帰ってくるまでお留守番をすることにした。
荷造りをしながら、お父さんが出してくれたカステラを食べる。
お昼ちょっと過ぎに、お父さんが帰って来た。
「ケンタッキー買って来たから、食べて」
いただきます!!!
頂いたケンタッキーを食べながら、お父さんとお話しをする。
沖縄が大好きなこと、来て本当に良かったことなど…
「こんなに暖かいと、寒い関東に帰るのが嫌になりますね」
「沖縄は12月じゃまだ暖かいからねぇ。」
確かに。曇りの日でも20度近くあるのだ。
続けてお父さんは、
「沖縄の人は、10度を下回ると死ぬからね」
こう真顔で言っていたのに、思わず吹き出してしまった。
しかしホストの彼も、
「10度より下がったらもう無理」
と、しょっちゅう言っていた。
確かに沖縄に住んでいたら、10度より下だと極寒に感じるんだろうなぁ…
お母さんもやってた。
ここのお家は本当に居心地が良かった。
たった三泊しかしていないのに、のびのびと過ごすことができた。
フレンドリーで面白いホストの彼。
優しくてのんびりとした彼のご両親。
そしてかわいい飼いぬこ。
素敵なお家に泊めさて頂き、本当に本当に感謝の気持ちで一杯だ。
そろそろ家を出るため、ご両親にお礼を言う。
「本当にお世話になりました。本当に楽しかったです。」
「またいつでもおいでね」
益々沖縄が好きになった。
また必ずここに来よう。
荷物を引っ張りながら、ゆいレールへ。
今日の帰りの飛行機は夜の7時のため、時間に余裕があった。
どこに行こうかな…
本当は今日は一日慶良間でシュノーケルツアーに参加する予定だったのだが、今朝方の頭痛で諦めていたのだ。
首里城にでも行こうかな。
ゆいレールの終点の首里城。
空港までも帰りやすいし、距離的にも丁度いい。
しかしそこまで心が踊らない。
沖縄に来たんだから、海に行こう!
そう思い、初日に行った那覇市内にあるビーチに行くことにした。
ゆいレールで県庁前駅で降り、ビーチを目指す。
初日に歩いた道を再び歩く。
那覇市内にある唯一のビーチ、波の上ビーチに到着した。
ビーチの入り口にある地図を見ていると、ここから3キロ先に「ダイビング・シュノーケル専用ビーチ」があることを知った。
ダイビング・シュノーケル専用ビーチ…!?
ダイビングやシュノーケルに向いているということは、魚が見れるかもしれない。
3キロくらい、歩くに決まっている❤️
来た道を引き返し、そちらのビーチへ向かうことにした。
この日は風が強かった。
気温が高いので寒くはないのだが、強風で髪の毛がめちゃくちゃになる。
のんびりと周りの風景を楽しみながら、ビーチを目指す。
しばらく歩くと、ビーチが見えて来た。
奥に行くと、ダイビング向けのビーチらしく、海に向かって手すりがついた階段がある。
よく見ると、機材を背負ってウエットスーツを着ている二人組がいる。
ダイビングを終えたんだろうか?
海の周りの遊歩道を歩いて海の中を覗くが、風が強いため波が高い。
こんなん天気じゃ、シュノーケルなんて無理だろうな…
今日は行かなくて正解だったな!!
(↑自分で自分の決断を無理やり正当化する。)
海の周りを歩きまわっていると、ウォーキング中のおじさんがいたので、声をかけた。
「ここでダイビングする人って多いんですか?」
「うーん、いるっちゃいるけど、今日はちょっと無理かもね。寒いし波が高いし。」
だよね!!!!
やっぱり今日はシュノーケルに行かなくて正解だったのだ\(^^)/
(↑再び自分で自分の決断を無理やり正当化する。)
勝手に自己満足したところで、元来た道を戻る。
途中で神社を見つけたので、行ってみることにした。
ここの名前は波上宮。
朱塗りの建物が美しい。
お賽銭を入れ、お祈りをする。
沖縄へ感謝の気持ち。
出会えた人たちへの感謝の気持ち。
自分を支えてくれる家族、友達への感謝の気持ち。
しばしベンチに座ってのんびり。
ここには沖縄戦で亡くなられた人たちへの慰霊の碑があった。
何の罪もない多くの人たちが、沖縄戦によって命を落とした。
慰霊の碑に祈りを捧げ、波上宮を後にする。
初日に行った対馬丸記念館の裏手に公園があるらしいので、そこへ行ってみることにした。
ここには大きなガジュマルの木が生えていた。
沖縄によく生えているこの木である。
(写真はネットから引用)
枝から根が伸び、地に根をはる。
巨大なガジュマルはとても美しかった。
太い幹は生命力に満ち溢れ、思わず手を触れた。
この木はどのくらい、ここで沖縄の姿を見て来たんだろう。
戦火をくぐり抜け、こんな立派な姿を留めているのだろうか。
ガジュマルの木を眺めていると、いろんな思いが頭を駆け巡った。
彼はここで、流れる沖縄の歴史を眺め続けているんだろうな…
そう思うと、物言わぬガジュマルの木に尊敬と敬意の気持ちが湧いて来た。
ここの奥には、対馬丸以外の船舶撃沈による犠牲者を祀った、「海鳴りの像」があった。
女性が赤ん坊を抱いている像だ。
(写真はネットから引用)
慰霊碑には犠牲者の名前が刻まれている。
戦時中の日本は、このように船舶が撃沈をされていても戦況の悪化を示すことになるといって、軍事機密とされていたそうだ。
なので対馬丸が撃沈されたことも、すぐには沖縄市民には伝えられなかったため、自分の子供や家族がどうなったかわからなかったそうだ。
情報だけが錯綜し、ただひたすら家族の安否を祈る日々だったんだろう。
東京の靖国神社、広島の原爆ドーム、鹿児島の知覧特攻隊記念館。
そして沖縄。
戦争に関する場所や記念館へ何箇所か訪れたが、何故戦争が起こるのかわからない。
戦争が起こるには理由がある。
根底にあるのは、人間の欲だろう。
蒼く輝く美しい沖縄の海。
夏場は観光客で埋め尽くされる海は、70数年間前、米軍の船で埋め尽くされた。
戦後を生き抜いた人たちが懸命に復興のために立てた建物は、開発の名の下にどんどんとたて壊されていく。
「日本は平和な国だよね。」
海外で知り合った人に何度も言われた言葉だ。
本当にそうだろうか。
歴史は何度も繰り返す。
今でも米軍が起こす事件や事故は後を絶たない。
(一方的にアメリカを非難しているわけではないが)
以前、沖縄の離島を旅したとき、夜に一人で島にあるバーに飲み行ったことがある。
そこで島のおじさんと隣になり、沖縄と米軍の関係について話し込んだ。
おじさんは、
「米軍を悪く言う人や、嫌いな人はいるけどね。けどそれによって利益を得ている人がいるのも事実だから、何とも言えないよね」
と、少し酔って赤くなった顔で私に話してくれた。
本当の平和とは何なんだろうか。
沖縄に来るたびに考えるが、未だに答えは出ない。
公園を歩き回り、波の上ビーチに戻って来た。
さっきまで吹いていた風もおさまり、暖かい日差しがビーチに降り注いでいた。
邪魔なスーツケースを階段脇に置き、砂浜へ。
暖かな日差しに誘われ、多くの人がビーチにいた。
小さな子供を連れたお父さん。
自撮りを楽しむカップル。
賑やかな外国人のグループ。
私のような1人の女性。
適当な場所に腰を下ろし、ザックを枕にして砂浜に寝転んだ。
サラサラの砂浜が気持ちいい。
目をつぶり、あっという間の今回の旅を振り返る。
楽しかったなぁ…
ウトウトしていると、冷たい風に目が覚めた。
時計を見ると四時を過ぎている。
そろそろ行くか。
階段脇に置いておいたスーツケースを取りに戻り、ゆいレールを目指す。
せっかくだし、沖縄を離れる前に沖縄そばを食べよう。
この近くに定食屋があるらしいのだ。
ビーチから徒歩五分ほどの定食屋さんは、量が多くて有名らしい。
せっかくだし、たくさん食べよう!!
食い意地が張っている私は、沖縄そばとカツ丼のセットを購入した。
めっちゃ多い\(^^)/
これで600円だよ?
安いでしょwwwww
あれだけ食べると意気込んでいたのに、全然食べれなかった…
残してごめんよ…おばちゃん…
パンパンのお腹をさすりながら、空港に戻るためゆいレールへ。
空港行きのゆいレールには、同じようなスーツケースを持った人たちが沢山いた。
みんなどんな沖縄時間を過ごしたんだろう。
空港に到着し、荷物を預けて準備は完了。
あとは出発を待つのみだ。
那覇空港の三階から、海に沈む夕陽を眺めた。
真っ赤な夕陽が光の線を放ち、周りの雲を明るく染める。
夕陽が沈み、明るかった空に陰を落とした。
夕陽を1時間近く眺め続け、出発ゲートへ向かった。
機内は満席だった。
これからまた寒い成田に戻る。
寒いの嫌だな…
しかし行きの飛行機のときとは違い、帰りの機内の自分は晴れやかな気分だった。
突発的な旅だったが、多くの人のおかげで素晴らしい旅にすることが出来た。
機内の照明が落とされ、気づくとウトウトしていた。
成田到着まであと少しだ。
すっかりと夜も更けた九時過ぎに、飛行機は成田空港に着陸した。
機外に出た途端、吹きすさぶ冬の風が頰にあたり、眠気が一気に覚めた。
戻ってきたんだなぁ。
しみじみと感じた。
スマホをオンにすると、ホストの彼からメッセージが届いていた。
「今回はありがとう!楽しかったよ。
またいつでも帰ってきてね!」
楽しかった沖縄での日々を思い出し、思わず笑顔になった。
悲しいことや辛いことがあったとき、人はどうやってそれを乗り越えるだろうか。
堪え切れない悲しみ、やり場のない怒りなど、多くのネガティヴな感情が自分を支配し、自分でどうすることもできない。
沖縄に行く前の私はそんな状態だった。
行きの飛行機の中で無意識のうちに涙が溢れたり、自分で自分の感情がコントロール出来なくなっていた。
このままじゃダメだ。
そう思い、本当に衝動的に沖縄行きの航空券を買った。
沖縄にくる前、ひどく落ち込み、精神的にボロボロだった。
しかし沖縄に訪れ、すっかりと元気になった自分に気がついた。
沖縄の青い空、美しい海、暖かな空気。
沖縄の人の優しくてひょうきんな人柄。
カウチサーフィンのホストの彼に出会い、毎晩のように大笑いをした。
ローカルなスポットに連れて行ってもらい、沖縄のディープなところを教えてもらった。
彼との出会いは本当に大きい。
彼と出会えていなければ、ここまで沖縄を楽しむことは出来なかった。
人によって傷つき悲しんでも、人の優しさに触れ、立ち直る力をもらう。
今回の旅で、このことを心から感じた。
沖縄は本当に私にとって特別な素晴らしい場所だ。
来るといつも元気になれる、そんなところだ。
大好きな沖縄、本当にありがとう。
滞在中、世話になりっぱなしだったホストのKくん。
本当に本当にありがとう。
また必ずここに来よう、
沖縄の景色に会いに、そして出会った人たちにまた会いに行くために。
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