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日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

ビジネス小説家としての勝間和代

2008年12月13日 | 雑感日記
日経新聞や経済、ビジネス誌で名前を見ない日はない、という感じになっているこの人、「小説を書きたい」というコメントもどこかで読んだことがあった(確か年収10倍シリーズの一節。宮部みゆき氏に小説を書くことについて尋ねた話もあったなぁ)。

ついに始動!という感じなのだろうか、この書籍のトピックのひとつが、氏が初めて手がけるビジネス小説に関する記事。他の出版物では見られない内容なので興味を惹かれた。

で、読んでみると、本人自身が執筆に携わるには時間がないということで、そのアイデアや構想をベースに別の書き手を起用するという「プロジェクト」となるようだ。その会議はターゲットやコンセプト、登場人物のプロフィール設定などまさに企画のブレスト的様相で、この辺は氏の真骨頂なのかもしれない。ある意味新しいスタイルでもあるし、このシステムがどう結実するか興味深いなぁ。

ただ予告編ともいえる冒頭部分を読んだ限りでは、文章化された企画書の域を超えられていない気がする。設定やテーマを正しく説明することに終始しているような。歌に例えれば、メロディーもテンポも正確なのに表現としてのエモーションが感じられない、みたいなことだろうか。

書き手はビジネスの第一線で活躍する方で、趣味として書いた小説もなかなかの出来とのこと。でももしかしたら考え直した方がいいのかもしれない……サイモン&ガーファンクルみたいに(古いか)、気が合うことよりもソングライターとシンガー両者のポテンシャルが大切なのだと思う。ビジネスの知識と書き手としての技量のどちらを取るかといわれれば、教えてできるものではない後者の方だと思うのだが。

映画でも音楽でも絵画でも広告でも、現場のストレスがそれとは反対の美しい結果を生みだすことはよくある話。ロジックの通らない混沌と向き合うことも創作の要素のひとつだと俺は思う。手嶋龍一氏の「ウルトラ・ダラー」みたくならないように願いたい。ま、あれを「小説」として評価されちゃうとご免なさい、なんだけど。

勝間和代 成功を呼ぶ7つの法則
勝間 和代
マガジンハウス

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