イレーンの声に励まされながらも、時折、オレンジ色に光り輝くトンネルを進んでいくと、ある時点から体が急に軽くなったような異変に気付き、何気なく両手をみると・・・・・・・
手が半透明というか透けているというか・・・・・手がある感覚はあるのですが目に見え難いという現象が私を襲っていたのです。気分は悪くなる所か、爽快になり、意味も解らずに笑顔になっている自分に気付いた時、不安な気持ちはすっかりと消え去り、反対に意識が明確というか 拡大していると感じた時に・・・・・・トンネルの中がイッキに明るくなり前方に眩く光り輝く点が現れました。それに向かって飛ぶように進んで行くと、またもや驚きの変化があったのです。そうです。飛ぶようにではなく・・・・・実際に飛んでいるのです。両手を横に広げ、風を切って飛ぶ感覚は素晴らしい経験でした。光の点がかなり大きくなった時に、私は飛ぶのを止め、歩きながら 出口と思われる所に向かって慎重に歩いていた時の事、イレーンの時と同じ様に、またもや頭の中で声が響きました。唯 前回の時と違うのは彼女の様に優しくまわりを包み込む様な声ではなく、威厳と尊厳に満ちた 男性の声が頭中に響き渡りました。
「ようやく来ましたね。私はポルガ・・・・・・どうぞ安心して下さい。あなたの体が半透明なのは先ほどよりも、更に波動が細かくなったからなのです。トンネルを通過していく内にそうなるようにしてあるのでどうぞ安心してください。あなたはこれから 沢山の事を思い出さなければならないのです。魂の中心がぶれないように、しっかりと思い出してください。いいですね。さあーどうぞトンネルから出てきていただいて結構ですよ。」
その威厳な声の主には似つかずに案外におしゃべりなポルガという人物に即されて私はゆっくりと 明るい所に出てみました。そこは真っ白な部屋の中のような感じでライトの様なものはなく 部屋自体が青み、かかった様にひかりを発しているような感じです。私は良く観察してやろうと回りを眺め回していたのですが、そんなに広くはない、その部屋には何もありませんでした。そんな様子を反対に観察していたポルガが、またもや話しかけてきたのです。頭中に響き渡るような声で・・・・といっても口元は一切動いていなかったですので、意識を直接私の頭に送ってきているのは間違いない事なのです。
「あなたが驚かれるのも無理はありません。しかし私達は待っていたのです。あなたがここへ来るのを・・・・・私達は以前に今あなたが地球という惑星に文明をもって住んでいたものです。貴方達と同じ人種なのです。過去の宇宙規模の戦争に巻き込まれ貴方達の地球という惑星も大部分の生物達が死滅してしまいました。私達はプレアデス星団のある惑星に移住した人類の子孫にあたります。とは言っても 貴方達よりも遥かに肉体をまとっている時間は長いのですが、その経験を卒業すると 今の私の様に時間という概念に縛られずに解放されるのです。今の地球人類も様々な時間軸の交差する中での生活を余儀なくされているので、とても色々な経験が出来るわけであって、パラレルワールドを楽しめる事が出来ているんです。あなたのようにね・・・・・・」
矢継ぎ早にイメージを送ってこられた私は少し軽いメマイを感じ、ポルガに向かって咳払いを一つ・・・・・・
そうすることでポルガのイメージを一旦遮断した上で 今度は私から質問をしました。
貴方達はなんの目的で私をここに連れてきたのか?
そしてここは何処なのか?
そして あなたは どうしてそんなに良く喋るというか・・・せっかちなのか?
ポルガは期待に満ちた目を私の方に向け、私のイメージ投影が終るのを待っていました。
「何の目的かと言うと 貴方に先ほども伝えた様に思い出して欲しい事が沢山あるのです。それと私はそれ程 せっかちではありません!!伝えたい事が山の様にあるだけで 一つ一つ順を追って・・・・・・」
ここまで聞いた時に再び私は咳払いをしてから彼のイメージを遮り、それは理解できました。で・・・ここは一体何処なのですか?と聞きなおしたのです。
ポルガはニヤリと笑顔を作り「貴方の方がせっかちですね!!」と壁に向かって歩き出しました。結構 負けず嫌いな性格だな、と思いながら私は後ろを付いて行こうとした時にポルガは振り返り「私は負けず嫌いではありません。私はいつも冷静です。そして真実を語っているのです。言い忘れましたが、心で思う事は全て解ります。これが本当の会話なのです。何故ならば・・・・・」ポルガ 私が悪かった謝るよ。それでここは何処なんですか・・・・
「解ってくれれば嬉しいです。聞くことよりも実際に自分の目で見てください。」そういうと ポルガは壁の前で手を上下にサッと一振りしたかと思うと 壁が透明になり外の景色が見えていました。とても綺麗な空間が広がり、オレンジ色や赤色、紫色や金色、緑色といった色がオーロラの様にユラユラと揺れている空間で良くみると あちこちに巨大な乗り物が所狭しと、その空間に浮かんでいました。無数の大小様々な乗り物が取り囲んでいる所がありで眼を凝らしながら観察していると・・・・・・
私は自分の目を疑いました。そこには地球があったのです。ということはこの綺麗な空間は宇宙??私が知っている宇宙のイメージとは程遠い景色、本当の宇宙とはこんなにも美しい空間だったのか!!と感動しているとポルガは両肩を上げ少しおどけた仕草を見せていました。
私は急にポルガに親近感を覚え、笑顔になると同時に 同じ仕草でお返ししました。
「さあーここが何処か理解しましたね。ここは月と地球の中間地点です。地球を取り囲んでいるものは様々な惑星から来ている連中で、それぞれに使命があって来ているのです。今後の地球に大変に興味があり、それを見届けようとしているのです。それを理解するには この宇宙で起きた出来事を話さなければなりません。準備はいいですか!!」
先ほどまでのおどけたポルガと違いそのイメージには尊厳と慈しみがありました。私が一つ大きく頷くと同時に膨大なイメージ映像が入ってきました。言葉よりも明確な映像のイメージが次から次へと入ってくるのです。それはまるで映画を見ているようでした。私は目を閉じ静かに、その送られてくる映像を感じていました。全てが終え閉じていた眼をゆっくりと開いた時、自宅のソファーで横になっている自分がいて、その下には愛犬が寝転がっていました。宇宙の真実を見せられ 暫く興奮しているような感覚になっていたのが数分も経たない内に元通りになり時計を見ると最初の体験から40分程しか経過していない事に驚き、感覚的には3日位の日にちが過ぎていたように思えてなりませんでした。ちょうど仕事の時間だったので洗面台の前に立ち顔をみると・・・・・髭が今朝よりも格段に伸びている事に気付き、夢ではなく現実に起きた出来事で、イレーンやポルガとまた会いたいと思っている自身に気付き、宇宙の真実を垣間見せられた事を噛みしめ自身の使命を果たすべく、きっと又近い内に2人に会えるという感覚を味わいながら仕事に向かうのでした。
第一章 トンネルの向こう側
完
また 何時の日か近い内に
第二章 「真実の宇宙」
が始まると思われますが・・・・・
またお会いいたしましょう。