肘が伸びない・力が入らない~骨折の後療~

2015年02月24日 | 治療の話

8つになるA君は、1年前に右上腕骨の骨折を経験しました。

以来、肘が伸びなくなったとのこと。

徐々に回復するだろうと期待していましたが、

あと35度がなかなか伸びてこない…(´・ω・`)

そんな折に、体育の時間でやった「手押し車」

右腕に力が入らず、意に反してホフク前進になってしまったそうで、

ご心配されたお母さんとご来院。

A君の肘を拝見してみると、肘を伸ばす力がだいぶ弱く、前腕も外に向いている外反肘という状態です。

これは骨折の影響か!?

と思ったんですが、骨折の痕をたどってみても曲がってついてしまった様子はありません。

周囲の筋肉の状態を調べると、上腕筋という筋肉の短縮が際立ちます。

個人的な見解ですが、この上腕筋という筋肉が短縮すると前腕が外反してしまうようなのです。

他にも肘の外側にある靭帯も縮みこんでいる様子。

情報をまとめると、A君の外反肘はギプス固定をしている間にできた拘縮の名残なのだと思われます。

治療としてはこれらの緊張を和らげ、正しい位置関係で関節をコントロールできるようにトレーニングを行います。

A君の肘はだいぶ治療への反応がよく、初回の介入で可動域も大きく広がり、力も入るようになり、

あとは自宅でのセルフケア&エクササイズでも対応できそうなところまでこぎ着けました。

エクササイズはA君の現状の体力に合わせて壁を使った「腕立て」をチョイス。

関節の拘縮とはいえ、通常は大きく動かしているうちに徐々にほどけてゆくものです。

それに、手押し車ができないほど三頭筋が弱っているわけですから、

その点に関しても、解決には筋力強化が重要です。

ただ一方で、関節の動きを狂わせる種々の固さが強く残っている状態での反復運動は

二次的な故障を起こしてしまうこともあるので注意が必要です。

そうしたことがないように、上腕筋のセルフケアを伝えたい。

でも、まだ8歳のA君に私が伝えたい手法は難しそうです。

なので、セルフケアに関してはお母さんにお伝えし、初回の治療を終えました。

上手くすれば次回でけりがつきそうです。

A君、そしてA君のお母さんの頑張りに期待したいと思います。

=おしまい=


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