JEC狭山福音教会(大阪狭山市)の聖書・キリスト教・例話コラム

大阪狭山市にあるJEC狭山福音教会(プロテスタントキリスト教会)の牧会スタッフによる聖書・キリスト教・例話コラム。

メッセージコラム#2015年11月②(川崎 豊信師)

2015-11-13 17:14:06 | キリスト教
神への愛と隣人への愛


『心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』
次にはこれです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。』この二つより大事な命令は、ほかにありません。
マルコ12:30~31


 2012年の11月の寒い夜。タイムズスクウェアでテロ対策の警備をしていたローレンス・デプリモ警官は、ホームレスが裸足で歩いているのを見た。デプリモの同僚は言った。「あっちで裸足のホームレスを見て、笑ってたやつらがいたよ。靴下を2枚重ねても寒いのに、あのホームレスの足は水ぶくれ寸前だぜ」。
 そこでデプリモはそのホームレスを見つけて言った。「あんた履くものをもっていないのか?」「大丈夫だよ。いつも裸足さ。揃った靴は履いたことがないね。あんたに恵みがありますように(God bless you)」。デプリモは思った。「恵みがありますように(God bless you)だって?」。去っていく老人を捕まえて、彼の足のサイズを聞いた。老人が42通りの小劇場に入っていくのを見て、デプリモは同僚に言った。「ちょっと靴を買ってくる。すぐ戻る」。

 彼は100ドルの皮靴を買ってきた。12インチのである。店の主人は後述している。「あのおまわりさんの行為には驚きましたね。ニューヨーカーは通り過ぎるのが普通なんです。特にホームレスにはね。」。
 この行為は誰にも知られず、忘れられて過ぎ去っていくと思われた。

 しかし、アリゾナからの旅行者のジェニファー・フォスターが偶然にも写真に撮っていたのだ。彼女は言っている。「警官は、見返りは期待していないだろうし、私が見ていたとは思いもしなかったと思う」。
 フォスターはこの写真をニューヨーク警察局のフェイスブックに載せたのである。
 
 その晩からデプリモ警官はインターネットのヒーローになった。2014年6月までに60万回の「いいね」が押された。48000以上のコメントは、ニューヨーク警察局を困惑させた。コメントのほとんどは「この行為は、私の人間への信頼度を回復させた」というものだった。

David Goodman, "Photo of Officer Giving Boots to Barefoot Man Warms Hearts Online," The New York Times (11-28-12); Amanda Mickelberg, "NYPD Officer Larry DePrimo immortalized in tourist's photo ..." New York Post (12-18-12)

 デプリモ警官はクリスチャンである。ホームレスが「God bless you」と言うのを聞いて神の御心を悟った。つまりデプリモは「この隣人にあなたがしてほしいことをしなさい」と語られたと思ったのである。
 そして行動に移した。この行為は、ホームレスにとってもデプリモにとっても、周囲にとっても恵みとなったのである。

 マルコ12章30~31節には、聖書の中の最も大切な2つの戒めが書かれている。ゴールデンルールとも呼ばれるものだ。人はまず、聖書の神(キリスト)を、祈りをもって心に受け入れることである。すると神の愛を体験し、神を愛するようになる。そしてやがて自分自身を愛するようになる。
 次に神の愛を持って、隣人に愛を現わすのだ。この隣人とは神が備えてくださる。
 この結果として、神の奇跡を体験できるのである。神の奇跡とは、神の愛が現れ、自分が変わり、他人が変わり、周囲が変わることである。