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10 節三、児玉道場へ入門する

2015-12-14 07:30:02 | 節三・Memo



道場の奥から段取りをする児玉師範の門下生の甲高い気合の響きが節三の背中を震わせた。
飄々としたカイゼル髭の兄悌三の前をつかつかと歩を進め道場の中を覗こうとした、その時、節三は一瞬遮られた巨大な黒い塊にギョッとした。見上げると坊主刈りの肉付きのいい男が節三をじっと見下ろしていた。児玉高慶。大正14年昭和天皇が皇太子の時、5段以上が参加資格を持つ御前試合の剣道で強敵を次々と破り、昭和天皇摂政治宮殿下を「秋田の児玉か」と唸らせた人物である。
兄悌三からは児玉の奥さんは、姉の「ヤエ」が隣村毛馬内村の豊口家の分家の「石川伍一」の弟寿次郎さんのお嬢さんでさんで「寿子」さんという名前の人だ。と聞かされていた。
道場へ来るまではいくらか親近感を抱いてはいたが、目の前の黒い山のような塊を見た瞬間、その思いはどこかへ吹き飛んでしまった。
「よくぞ、いらした」
容姿とは似つかわしくない優しい声で、悌三と節三に挨拶をした。
道場の中に案内をされると、段取りを見ている、門弟が壁側に人ほど正座をしていた。誰の眼も、凍てつくような輝きがあった。
上座で児玉は地響きがうねる様な声で、「稽古やめ」と指示し皆を正座させると「今日から入門する小坂村の大田節三君だ」と紹介すると「うぉーす」と声が返ってきた。
児玉は節三に「今日は下座で見学するように」と言い、兄悌三一緒に別室に移った。

児玉師範の夫人寿子は、悌三が来るのを知り道場で待っていた。
「ヤエさんはお元気ですか」ともてなし、「妹も2人を去年もうけました」初対面とはいえ親戚の間柄になる2人は妙に穏やかな空気が流れていた。
「節三さんは、喧嘩が得意だとか?」
「手が付けられないです、な。六郎は、問題は起こすけど、喧嘩はしなかったですがね・・」
児玉が口をはさんだ。
「六郎君は、負けん気と人の隙を見抜く力は人一倍強い子でしたよ。早稲田実業に入ったといっていましたが、わしは君の剣道は筋がいいから続けるようにと、励ましたんですが、どうしていますかね」
悌三も首を傾げてしまった。

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