農業の「地消地産」経済論の誤りは、生産財を域内で消費するために、域外へ販売して得られる移入の収益を放棄するからである。富山の場合、高原野菜であるキャベツやレタスは、長野県から移入しているが、他方で、富山県から鶏卵が移出されている。できるだけ、手間がかかり生鮮性が要求される農業は、富山人の労働力の使い方として不利な分野である。というのは、製造業へ正規雇用されている人材が、余暇時間を利用する「行政丸抱え式の水田単作経営」が、実際的であった。富山米は、兵庫県に市場をもっている。富山では酒米に適した山田錦を兵庫から輸入してきた関係で、神戸の米の商社である神明が、富山米を兵庫県で販売してきたが、その神明が、中国の税関でおこなわれる植物検疫を神戸港において輸出前の検疫を中国から認可されたので、富山米は神戸―上海の航路に乗り、上海市場をという1500万人の市場で中国国産米とは需要層の違う高級米の市場を獲得したのである。この仕組みが、富山新港でも実現された。このようにみると、石川県産の米は国内市場に限定され、富山米は海外輸出が大きなウエイトを占めるようになった。寿司米に適した品質のためである。富山県の農政が、あまり地産地消という経済学に熱心でないのは、さすがだといえる。さらに、植物検疫を相手国からの輸入先にも展開すれば、台湾バナナにとどまらない北東アジアでの広域の分業交換の市場ができる。ネックは、関税よりも、動植物の検疫のシステムにある。少し勉強したかいがある。
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