平成という元号は、「平成」の反対の「治乱」「混乱」「波乱」を意味した。他力を頼みして、個人にとっての環境の変化はおこらない。これは、国家でも、家庭内の私人でも同じである。では、他者との関係性をぬきに個人に自己成長は期待できるだろうか?2019年は、過去の日本よりも国家としての自己成長の道筋は、かなり明瞭である。国家と国家とのせめぎあいのなかで、あるべき道筋は前年度よりも成長変化を語ることができるだろう。日本では、公的な世界の環境変化が個人の生き方に大きな影響を持つ点で、国家と個人の感覚的な距離は、他の先進国、中進国に比べても短い。それは、象徴天皇制を意識的に定着させ、福祉を第一義的な社会連帯の要におき、本来、名もなき庶民階級が災害をばねに共感の輪を広げてきたからである。特に、多様性を構成し、演出するために、多項、多元の連立方程式に無理に解を求めない生き方が、異をもって貴しとする思想として現れてきたからである。何かの原理に単一整合するために和を以て貴しとするのではなく、さまざまな個性をどこまでも活かしあう余裕が次の余裕を生む時代へと庶民階級が成長している。自らの困難を他者の責任として、他者を悪の根源として誹謗する前に、「小さな内省」が生まれている。不誠実は、特に個人の内面において克服されるべきだとする気風が自然に生まれてきた。人口減の社会では、高齢者は清く自分世代の無知・無能を自省し、次世代に「誠実」を「誠実」として送りとどけなくてはならないだろう。そのような範を示されたのが、今上天皇陛下により示された譲位の深い意味である。なぜ、平成の時代に災害が多かったのか?いかに「誠実」に処しても、官僚・企業社会の上層の強欲・無知・無能が、災害のより大きな被害の拡大として現れる現象が続いた。天皇の譲位の意味をかみしめるなら、優れた40歳、50歳代の実権を譲位すべきである。
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