純粋に武道の試合を見せる会場としては、年間52週のうちの土日、祝祭日のうちの10分の1に達するかどうか。しかし、コアーコンセプトとして、国粋という収斂のベクトルが無いと、富山県というパブリックな全天候型・大型イベント施設を開設する意義はない。問題は、年間52週のうちの土日、祝祭日をイベント会場として、興行を主宰する団体に貸会場として販売できるかどうかである。普通、公的な貸会場は、利用料金が原価計算により、年間同一の料金体系である。しかし、航空運賃のように、繁忙期、閑散期、季節変化など、興行を行う側のリスクにも敏感な変動価格制度にすれば、他のイベントホールとの競合に打ち勝てる。さらに、興行の主宰者の利便性を考えたスタッフの宿泊施設、設営関係の利便性など、きめ細かな気配りができることが求められる。札幌ドームでは、プロ野球日ハム球団の撤退により2万規模に縮小した場合、手島久仁彦常務は「大は小を兼ねる。道内で2万人を呼べるアーティストは40程度おり、毎週のようにコンサートを開くことも可能になる」と見込むが、富山8000人規模の場合では、類似の見込みが得られるかどうか。40程度に近いアーティストが、富山でもイベント可能であろう。
第2は、チケット販売のIT化により、座席予約システムなどの販売サポートのサービス運営の企業が、起案の当初から参加していないと厳しい。観客の多様なニューズに応え、土日、祝祭日には、有料イベントを誘致し、貸会場としてカレンダーに「空白」を作らないことである。そのように考えると、施設よりも、運営のディレクターとそれを支える企業としては、地元のTV局が最適の条件を持っている。それを県営にこだわるならば、非常に前途は非常に厳しい。TV局ならば、後日、映像を番組として再販売できるからだ。富山県は、土地の提供、公共の教育施設としての行政監督を主管し、採算可能で、持続可能な人材をTV局に拠点をおき、新聞社の事業部とも連携し、株式会社方式とするか、あるいは、特定の企業に事業委託するか、こうしたソフト面での準備が求められる。資金は、株式か、公債、私募債か、あれこれの検討が求められる。