事務次官が、キャバクラという「色を好む」ような低層の人材であることに驚かされる。公職のひとの好色、これは孔子が一番に命がけで諌め、亡命までした君主の「好色」である。セクハラという見方もあろうが、日本語には「好色」という言葉がある。日本のメディアでは、下半身のことは活字にしない、という不文律がある。孔子が、色を好むほどに、仁を好むひとは少ない、と指摘したように、「好色」は本性であるから、何枚かの切符は、天から配られている。問題は、好色に注ぐエネルギーの何倍かのエネルギーで仁政に取り組んだかが問われる。8億円くらいの金額は、財務省事務次官が応答するべきことではない。日本の経済規模の最低単位は、1兆円である。富山の薬業も1兆円を超えられない。ユニクロは1社で1兆円というライン。
いま、日本経済が世界第2位から第3位へ後退したのは、財務省に大きな責任がある。世界史に1行分書き加えるほどの失点である。セクハラで攻めれば、一将軍の落馬にすぎない。メディアは、ここを攻め立てる。財政の静態構造を見直し、大企業の国内生産を保護する税制など、取り組むべき課題は山ほどある。業務時間外にキャバクラへいくようなことが、「働き方改革」のリーダーといえるのか。ともかく、怖いのはオバチャンたちである。「キャバクラ」通いを認めた中央官庁の次官、これで2件目である。儒学が、紳士の基本的なたしなみであった時代に比べ、仕事と余暇との文化コードの双方向が低すぎる。