中国側報道の言語を詳しく分析すると、① 金正恩が、民意が朝鮮半島の変化を促し、それを金正恩が率先して変化を加速したこと。②そして、中国と朝鮮の双方の民意と、双方の民生に重きをおく社会主義の新時代のありかたとして、新時代の共同認識が生じたという。ここは、中国国内の「反金世襲政権」へ反発をなだめるくだりが注目される。③ その上で、中朝の軍事同盟の基礎のうえに、朝鮮戦争の完全終結にむけ、北のとる措置と、アメリカ・韓国がとる処置とが「段階的」に「同時的」に実行し、その相互監視のための情報共有化を図るというものである。
中国の文献では、金正恩から習近平への「通报情况」だと明記されている<朝鲜半岛局势急速前进,发生不少重要变化,从情义上和道义上,我也应该及时向习近平总书记同志当面通报情况。>。この民意は、まず韓国側の民意、南北対話、これに応じた金正恩、そこからの朝鮮半島情勢の急速な前進、少なからない重要な変化の発生として説明している。ここで、民意とか、民生の施策を主体とする「新社会主義」において、中国から先進経験を受け入れることで、ある種の民生のための同盟という関係を構築するとしている。「民意?」「民生?」というワードを用いなくてはならないほどに、北朝鮮国内からの中国との関係改善が求められた。中朝の民衆の生活水準の格差から、国内で民生の重視が求められた内情が透けて見える。