富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

管仲と孔子、斉国と魯国、先達と後進

2018年03月22日 | Weblog

春秋の時代、斉国の富国強兵に成功したのが管仲。その隣国、魯国に生まれたのが孔子。約100年の後進が、孔子である。いままで、どこまで管仲の先達としての先駆性に重きをおいて、孔子が管仲をいかに超えよとしたのか、この前後の関係は、見えなかった。漢王朝時代に、孔子の存在が大きくなりすぎ、管仲を孔子との関係で、意味ある先達とは、誰も言い出せなくなった。また、書物としての「管子」は、金谷治先生の研究では、春秋の時代につぐ戦国の時代からの編纂物だとされている。しかし、度量衡の単位からみて、春秋時代の史料であると、若江教授は考証している。金谷先生も、「管子」の最初の4編は、管仲の時代の近い原「管子」という理解である。「論語」と読み比べると、「管子」は宰相としての総合政策集であるのに対し、孔子は青年と向き合い、どのように生きることが、後世から評価されるのか、という個人の生き方に焦点が当てられていることがわかる。それと、孔子には編著がある。管仲は、やがて滅ぶ国の富国強兵には成功したが、文字の作品は残していない。孔子は、「詩」「春秋」「易」などの経書の編著という文の記録を残した。孔子は、さらに弟子にも恵まれた。もちろん、孔子は管仲なかりせば、思想家として名を残すことはなかった。土台が先達、発展系が後進と素直に解釈したい。


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マイナンバー制度とその敵対者

2018年03月22日 | Weblog

マイナンバー制は、面倒だし、評判も悪い。しかし、戸籍にもれたひとを含め、国民登録の道を開き、社会保障制度の基盤を整えるには、中国の先進事例をみても欠かせない制度である。その敵対者は、「個人情報」を墨守し、それを国家機構には委ねないという立場の人である。政治的には、保守系で、「自由主義」でも古典的な個人主義者である。反体制派では、基本は反政府主義、無政府主義の心情から、政府には協力しないという「民主主義者」も含まれる。日本は、明治以来、「お国」は無残にも、軍人、官僚により、信頼の対象ではなくなってしまった。日本は、限りなく国民の統合力を失い、そこへ人口減が急激に進み、国家の指令型経済原理は弱体化してきた。あるのは、市場経済原理が優位な経済社会である。こちらの原理からみると、国家統制が強くなることをマイナスと考えるのは自然である。しかし、国民の年金の制度を維持する基礎事務が、中国でデジタル化されている事実には驚かされたであろう。日本は、人口減の前に底抜けとなり、不動産も外国人が自由に所有権をもつことができる。土地と国民の両面で、中国に依存する「底割れ」現象が起きている。このことと、「憲法いじり」とが結びつかないと、心情的な改憲になる。弱者を弱者として、国家社会が安全網で支えきるならば、左右の自由主義、無政府主義という敵対者を克服するのは容易ではない。

ただ、僕の議論は、上海から日本列島を眺めている傍観者の立場からの日本への警鐘である。僕は、上海人がこれから100年、創り上げる人類共生の大道には期待できる余地が大きいと感じている。独裁か、民主か、それは中国を評価する基準にはならない。世界貿易の自由主義を守り、保護貿易主義の台頭を抑えるのは、今、日本と中国の連携が決め手となる。


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日本は、IT大国ではない。

2018年03月22日 | Weblog

日本では、残念なことに、IT専門家のリーダーたるべき指導層の分立があり、特に、1980年代から90年代に犯した「日の丸技術主義」の誤りにより、アメリカのマイクロ・ソフト、IBMと対抗し、国産主義の旗を掲げ、1990年代の初めに世界の主流から脱落し始めた。このとき、中国は、マイクロ・ソフト社と国家として「大型包括契約」を結び、同時に、漢字のIT化に成功した。中国共産党は、アドミニストレータとして情報システムを使いこなした。特に、国民の「公民証」の番号は、同姓同名が多すぎる社会で、しかも、15億人の公民マイナンバー制の確立に成功したことである。こうして、中国共産党は、先見の明により、民族主義という夢を先送りし、結果として、6700万の党員、15億の公民が、電子政府のもとに統合された。

日本は、マイナンバー制度の構築に失敗したため、国民の年金情報のデジタル化に失敗、あらゆる面での社会統合の不便を経験している。もはや、アメリカ、中国に次ぐ第3位の経済大国とはいえ、憲法改正よりも大事な国民総背番号制の問題を解決しないと、中国との落差が、今後、さらに拡大し、社会福祉政策運用の効率の面で、大きく差がつく可能性を否定しきれない。1990年から2018年までの中国の大きな変貌は、情報処理の革命に成功したことだ。そのうえに「アドミニストレータ」として、習近平が最高責任者となり、後世からの歴史検証の対象になったのである。

 


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