富山マネジメント・アカデミー

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就活の学生さん、50年後の富山の経済の姿を想定してほしい。

2016年04月09日 | Weblog

TMA講師代表:就職は、大学の入学より、案外に関門は広い。なぜなら、企業は若手の人材の確保に失敗したら、企業が人材不足で倒産するからだ。それで、ロボット、オートメ化など、設備投資で省力化に力を注いできた企業が、最後に省力化できない業務を割り出したら、理工系では設計、試験などの「脳力」の分野だと分かってきた。だから、理工系では男女関係なく、就活の学生さんに対し、企業の求人数は上回っている。その場合、大きな企業では、人材のあたり外れがあるので、歩留まりをみて、やや多めに採用する。理工系では、長期に安定した業績を上げている企業は、それでも選別眼は厳しい。文系では、機械に置き換えられない職種は、営業職という対面のコミュニケーションを本業とする世界である。ここでは、外国語の能力が「脳力」となる。だから、英語の検定が必要なのだが、おバカな文部省では、英検を基本としている。企業では、TOEICである。だから、大学では、企業対応の英語教育に転換している。東京工業大学の入学式では、学長が英語で式辞を述べた。京都大学では、英語が講義の80%という時代が目の前にきている。同様なことは、漢語の世界でもおきている。また、慶応大学では漢語圏よりも、イスラム圏の言語文化に人気がある。

いずれにしても、理工系でも英語は必須、文系では英語+広域ローカル言語(漢語、アラビア語など)。こうした傾向を強く求めてこない企業は、就活生である貴方たちの50年後の企業の姿を描き切れていないからだ。内需といっても、すでに多くの外国人が日本に居住権をもち、企業の一員として働いている。社員の国籍が日本国という企業は、すでにグローバル化に遅れている。こうした条件で優良企業を見渡すと、富山では、ファスニング事業のYKKさんしか残らない。ところが、海外勤務が待ち構えているから、親の介護には間に合わないということで、避ける考えかたが強い。祖父母や親の世代こそ、減少する人口であり、日本経済が抱える資産であり、負債である。50年後の日本人は8000万人、それでもドイツよりも多い。日本は、ドイツを比較の座標軸にとり、ドイツの生産性を競争相手と考えると、およその目星がつく。さて、これからの50年後の国際市場社会で求められるのは、古来からの需要である衣・食・住と、情報、旅行の5分野の関連の専業企業である。この衣の分野では、YKKさんは揺るぎない技術市場の優位を確保している。今後、地域企業でありながら世界市場で重きをなしているのは、七尾市のスギヨさんなど、水産物加工食品の世界では日本企業は強い。日本人の人口は、新たに生まれる生産人口は減少するが、海外で働く日本人の数は多く、貿易収支よりも、貿易外の収入がより多くなってきている。先端企業は確実に50年後、それを視界に取り込んでいる。遅れているのは、富山の教育界である。特に大学教育である。不二越さんでも、市場変動や為替相場に左右されない基本技術の分野では、製造業の基本の流れにはのっているが、ロボットが油圧式という力持ちだが精密作業ができないという弱みがある。YKKさんは、今、環境系の技術力をつけているが、それは建材系のYKKAPさんの流れに引き込まれているからである。得意分野が制約条件となる日がくる。このように考えたとき、富山の大学教育界が全力を挙げて地域貢献を考えるならば、「薬都とやま」構想が50年後の富山人を飢えさせないばかりか、産業集積として、YKKを超える唯一の可能性がある産業部門の中核である。その意味で、製薬関連の産業のすそ野の企業を盛り上げることに努力を傾けたい。


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