桃花鍼灸院らくがき帳

鍼灸師ちみの日々綴る中医学とその周辺

臓象論17:三焦(2)

2009年05月07日 20時24分13秒 | 臓象論
 三焦は全身の気の昇降出入と気化作用を統括します。また水液運行の通路です。

 肺や脾や腎やと臓がそれぞれの働きを行っていて、それらの間を気や津液が連絡する通路であり監督するということです。(私にはこのあたりが腸間膜や腹膜のイメージに重なるのです。)

 黄帝内経霊枢の衛営生会篇には、
 「上焦は霧の如く、中焦はおう(イラスト参照)の如く、下焦はとく(イラスト参照)の如しと。」
 とあります。

 東洋学術出版社「現代語黄帝内経霊枢」によると上の文章は、
 上焦の作用は、霧が立ちこめるように、精気を全身にひろめることである。
 中焦の作用は、ちょうど漬物をするように、食物を腐熟消化することである。
 下焦の作用は、ちょうど堀割りのように、老廃物を排泄することである。

 ここでひとつ注意があります。昨日のブログで、下焦に肝を含めていました。疑問に思われた方はいませんか?針灸学[基礎篇]では下焦に肝が属しています。これは三焦弁証(特に温熱病に対する弁証)に基づいていると思われます。私個人としては肝の位置は中焦であると思っています。時々に応じてふさわしい方を使い分けてください。

 上焦・中焦・下焦のどこに問題が生じているのか、それが治療においては大事だと思います。

 K先生は上焦と中焦の交通がうまくいかない場合(例えば、気が降りなくて咳が出るなど)は境目の膈兪をよく使っておられました。

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