東方不敗の幻想

インターネットのジャーナリズムについての覚書

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「AよりBがまし」的な妥協の危険性

2008-05-27 02:56:21 | Weblog
自民党のネット規制法案がなおヤバい件
http://blog.sakichan.org/ja/2008/05/25/ldp_version_of_copa_is_bad

主旨には賛同するし、蒙も啓かれるが、疑問もある。例えばコレ。

フィルタリングソフトは、そもそもが一律な情報受信の法規制に対するオルタナティブとして、受信者側の設定での選択を重視するソリューションとして出てきたものだ


ネットスターは、自民、民主のネット規制法案が形になるまえから、プレスリリースでアンケート調査結果なるものを発表して(政府のそれよりは穏やかにだが)世論をフィルタリング必要論に導こうとしてきた。
http://www.netstar-inc.com/press/press.html

そこに「将来の法規制を避けるためだった」なんて姿勢を読み取ろうというのは、ちょっとおひとよしが過ぎる。あるいは、ネットスターとの共闘路線を考えたうえでの発言かもしれないが、私は有像無像にすぎないので、そんな配慮なんかしない。

、民主党案にあるように「著しく~」という限定をつけることなく、「性欲を興奮させ又は刺激する情報」や「残虐な内容の情報」というのが含まれている。


じゃぁ「著しく」という限定をつければ謙抑的になるか、というと何でもありなのは同じだ。わいせつ物頒布罪が、どんなに小難しい言葉を使おうと謙抑的な要素はまったくないように。

自分でもしばしば同じ間違いにはまっているので、、忸怩たる思いがあるが。AよりもBの方がまし、話が分かる、といった認識で譲歩を続けていくと、最初の立ち位置から恐ろしく離れたところで、規制反対のはずが規制推進に回っていることになる。それは、事情を知って大人になったとか、現実的な着地点を見つけたというより、強面におしまくられて、やられっぱなしというだけだ。

規制反対派は、感情的で、原理主義で、現実が見えてない、なんて池田信夫あたりは「よくわかった大人の意見」で忠告する。

しかしそういう忠告に素直に恐れ入って、すぐに「現実的」な妥協点を探してしまうあたりが、実際は規制反対派は理性的で、宥和主義で、気は優しいが、戦いに向かない気質だというのが透けてしまう。

こういう、駆け引きに関しては政治家はお得意で、それこそカマヤンのいうように、先に落とし所を持ち出してはだめなのだ。

相手に落とし所を出させなければ、そして相手が先に譲歩する交換条件として、けちりながら譲歩しなくてはいけないんだ。こちらから先に差し出すのでは供物であって、対等な取引ではない。


要するに過激な自民党案を恐れるあまり、民主党案を選んで推進してしまうというのはきわめて問題があるということ。それだと。さらに過激な案が出た場合に、今度は自民党案の方がマシ、とかいう話になってしまう。あくまで独自案を堅持して、そこにすり合わせをしていかないといけないが…。

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