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小さいおうち


監督 山田洋次
出演 倍賞千恵子、黒木華、松たか子、吉岡秀隆

 この映画、なにを描いているかといえば「不倫」を描いた映画であろう。ところが。道ならぬ恋にもだえる人妻。上司の若く美しい妻との不義密通を働く若い社員。その関係を密かに垣間見ている少女。こう書くとぐちゃぐちゃどろどろの官能映画と思うかも知れないが、そんなことは全くない。この映画はポルノではない。その手のシーンは全くない。人妻と若い社員が軽くキスするぐらいである。和服で出かけた人妻が。帰宅した時には帯の付け方が違っている。外出先で着物を脱いだと連想させる。その程度である。
 ぐちゃぐちゃどころか、全く正反対の、透明感のある、ファンタジー映画のような印象を受ける。ジブリっぽい感じも少しした。これは山田監督の演出力、倍賞、黒木、松たちの演技力のたまものだろう。
 映画は一人の老女の死から始る。布宮タキが一人で死んだ。タキはノートに自叙伝を書いていた。
 昭和11年。雪深い山形から東京に出てきた少女タキは、赤い三角屋根の小さくかわいい家に女中奉公に雇われる。タキの奉公先平井家は、玩具メーカーの重役雅樹、若く美しい妻時子、小児まひを患っている息子恭一の三人家族。時子はタキをかわいがってくれる。恭一もタキになつく。タキは恭一の看病に励む。タキはずっとこの家にいたいと思う。
 雅樹は重役だから、社長をはじめ会社の人がよく家に来る。これらの社員の中にデザインを担当する若い社員板倉がいた。板倉に、お見合いをさせるべく、時子が説得に何度も板倉の下宿へ行く。そうこうしているうちに時子と板倉は・・・。
 と、こんな話しだが、映画は老境のトキの平成パートと少女トキの昭和パートが繰り返し描かれる。戦前、戦中、戦後。そして老境のトキは「私は長く生きすぎた」と泣く。
 息苦しい戦前、空襲にさらされる戦中、孤独な老人となったトキ。昭和から平成へと時代が流れる。その時代で禁じられた愛を語らう時子と板倉。それらの時代と男女のスクロールを、指標するカーソルがトキだったのだろう。ひとつのアプリは終了した。でもカーソルたる私はまだここにいる。だからトキは泣いたのだろう。  
 
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コメント
 
 
 
初めまして (Bianca)
2014-09-23 15:09:25
雫石鉄也さま
はじめまして、TB有難うございます。さて、こちらに伺い、ここはどこ?私は誰?とびっくりしました、と言うのもテンプレートが、色までも私と同じ。こういう事は初めてなのですが、いつからこれにしていらっしゃいますか?お陰でコメントするのも我家にいるように気楽にできます。まだ初めてなので、これからいろいろ読ませていただきますね。どうぞよろしく。
 
 
 
Biancaさん (雫石鉄也)
2014-09-23 16:41:24
こちらこそ初めまして。私もTBするときびっくりしました。拙ブログと同じなので。
私は2007年3月にこのブログを初めてから、ずっとこのテンプレートです。貴ブログは2006年からですね。拙ブログは少しあとからです。
こちらこそよろしくお願いします。
 
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小さいおうち (Akira's VOICE)
この世は小さいおうちの集合体なんだな。  
 
 
 
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