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とつぜん対談 第104回 ガラスとの対談

 ええと、もういらっしゃってるはずなんですが、おかしいな。時間には正確な方と聞いていたのですが。あっちの方にいてはるのかな。
 ゴツン。あいたた。なにかがでぼちんに当たった。

ガラス
 気をつけなさい。わたしはここにいてます。

雫石
 あれ、カラスさん、いつから透明になったのですか。

ガラス
 私は、昔っから透明だよ。

雫石
 え、カラスさんって黒いんじゃないですか。

ガラス
 え。私はカラスじゃない。ガラスです。

雫石
 あ、まちごうた。カラスさんを呼ぶつもりだったんですが。

ガラス
 カラスさんは第64回にお呼びになったでしょう。ちゃんと覚えておきなさい。

雫石
 あ、そうだった。この対談シリーズも100回以上やってるので、つい。

ガラス
 そんなことはいいわけになりません。それじゃ、私は用がないみたいなんで帰ります。 

雫石
 あ、すみません。帰らないで下さい。ガラスさんでもいい。対談させてください。

ガラス
「でもいい」とはなんだ、帰る。

雫石 
 あ、すみませんすみません。どうしてもガラスさんと対談したいんです。

ガラス
 どうしても?

雫石
 はい。ぜひ。

ガラス
 しかたがないな。で、なにが聞きたい。

雫石
 いつから、ここにおられたんですか。

ガラス
 ちゃんとメールにあった時間には来てたよ。私はきっちりした性格なんだ。

雫石
 9月とはいえ、まだまだ暑いですね。夏はやっぱりガラスさんは敬遠されますか。

ガラス
 そうだね。私は日光を透すからね。だから温室の仕事してるんだ。

雫石
 夏に温室に入ると暑いですね。

ガラス
 そのかわり、冬は暖かいぞ。

雫石
 ガラスさん。透明で、なんか得したことがありますか。

ガラス
 別にないなあ。それよりも、さっきから、あんた私のこと、透明透明というが、透明でないガラスもあるぞ。すりガラスとか。

雫石
 しかし、ガラスさんは自分の身を盾にして、室内の人を冬の木枯らしから防いでいるのですね。尊敬してます。

ガラス
 さっき、「ガラスでも」といったくせに。

雫石 
 あ、そのことは忘れてください。案外執念深いんですね。

ガラス
 そうだよ。私は、執念深くて意地悪だよ。

雫石
 へー。ガラスさんって透明で純真な人だと思ってました。

ガラス
 そんなことあるか。これでどうだ。キーキキ。キー。キー。

雫石
 うわっ。ガラスを爪でひっかく音や。

ガラス 
 ほれほれ。キーーーーー。キーーーーー。

雫石
 や、やめて。

ガラス
 な、わかったろ。私の意地悪さを。

雫石
 判りました。

ガラス
 もっと、こわいことしてやろうか。

雫石
 ええ、どうするんですか。

ガラス
 こうするんだ。ピーン。ピシピシ。ピッピッ。

雫石
 うわ。ひびがいってきた。うわわわ。

ガラス
 逃げおった。だらしないヤツだな。私は自動車のガラスと同じ安全強化ガラスだから割れても安全なんだ。
 
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
お願いします (はる)
2017-09-18 03:14:38
朗読のお願いです。もぐらさんと一緒に朗読したく
どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 
はるさん (雫石鉄也)
2017-09-18 03:42:25
朗読OKです。
お二人の共演、楽しみにしています。
 
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