YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

8月の読書メーター 読んだ本の数:25 読んだページ数:8913

2020年09月01日 | Weblog

8月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:8913
ナイス数:564

堂場瞬一のスポーツ小説はエンターテインメントとして素晴らしく、このシリーズは全部読みたいと思っています。

また、植松三十里の歴史小説はとても重厚で心惹かれるものがありました。

日本が誇るピアニスト小山実稚恵のベートーヴェンはとても勉強になりました。今年のベートーヴェン生誕年にふさわしい解説でした。



乳と卵 (文春文庫)乳と卵 (文春文庫)感想
薄っぺらなのに読み終えるのに大変時間を要しました。そういえば芥川龍之介の作品もあまり好きではありません。しばらく立ち直れないかもしれません。
読了日:08月01日 著者:川上 未映子


栄光一途 (幻冬舎文庫)栄光一途 (幻冬舎文庫)感想
雫井脩介氏のデビュー作だそうです。なかなか凝った作りでした。柔道競技のスポーツとしての位置付け、協会・連盟・大学などの関係、一流選手とコーチのあり方、ドーピングとはなにかなどが網羅された上に、後半では自身が何度も死の危機に襲われる。素人が潜入捜査する辺りと催眠術にはちょっと鼻白む感じでしたが、冒頭の宣言から結末に至る流れには感服しました。それにしてもオリンピック派遣選手選考会での闘いの表現にはとても力強い熱気を感じました。その大会の時の羽田典佳選手への望月篠子四段のアドバイスの場面も忘れられません。
読了日:08月02日 著者:雫井 脩介


女神のサラダ女神のサラダ感想
サラダの材料といえばレタス、茄子、馬鈴薯、アスパラガス、レモン、チーズ、オリーブ、トマト。私の朝食といったらキャベツとブロッコリーだけですよ。今どきの農業は大体が法人としての活動が多いのでしょうか?アスパラガスで登場する都道府県の農業大学校は、学位こそ取得できないものの、農業経営のノウハウを得られるようです。費用も助成金を得られればほぼ無料で2年間学ぶことができるという、農業の振興を図る農林水産省の一大プロジェクトなんですね。一大農業県に住みながら存在を知りませんでした。農業に関わる優しい女性の話でした。
読了日:08月05日 著者:瀧羽 麻子


M8 (集英社文庫)M8 (集英社文庫)感想
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。高架道が横倒しになりその先端で車両がぶら下がっているなど、この世の出来事とは思えない状態でした。それから9年、集英社からM8は発刊されました。そして2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。古くは「日本沈没」のように地震による日本の危機は描かれてきていますが、年月を経るごとに国民の対策は曖昧になっていくようです。本書で述べられているように、日本に住む限り地震や津波の予測よりも発生した後の対策をどうするかを意識しないといけないと感じました。
読了日:08月07日 著者:高嶋 哲夫


TSUNAMI 津波 (集英社文庫)TSUNAMI 津波 (集英社文庫)感想
文庫の解説によると高嶋哲夫の「災害三部作」と言うのだそうです。先日読み終えた「M8」と本書それに未読の「東京大洪水」。東日本大震災では嫌というほど津波の恐ろしさを目の当たりにしたのですが、大阪が外洋に接していないのに水浸しになるというのは知りませんでした。ストーリーとしては原子力発電所の係員が手順を踏まずに再稼働する様子が描かれていますが、現実にはそんなことはありえないのに、反原発派にエネルギーを与えたのではないかと憂鬱です。
読了日:08月09日 著者:高嶋 哲夫


おしまいのデート (集英社文庫)おしまいのデート (集英社文庫)感想
デートって本来の意味を調べちゃいました。date(動詞): to make a usually romantic social arrangement to meet with : to have a date with。男の子同志でもロマンティックな手はずが整えてあれば「デート」でいいのかな。
読了日:08月10日 著者:瀬尾 まいこ


流浪の月流浪の月感想
2020年本屋大賞。少女誘拐事件の被害者と犯人にあったとされる事実は真実ではなかった。社会的には小児性愛者として裁きを受けたがなおネットで辱めを受ける。私達はマスコミやSNSの洪水の中で、どのようにして真実を探し出せるのだろうか。深刻な内容を含んでいるにも関わらず、さらさらと読めてしまう不思議。それでも読みながら、DVは犯罪として立件すべきだと思いました。
読了日:08月10日 著者:凪良 ゆう


夜の向こうの蛹たち夜の向こうの蛹たち感想
近藤史恵といえば自転車乗りのチコのイメージが抜けない私に、驚きの一冊でした。こんなふうに女性を描くんだと思いながらページを捲りました。この作品の装画を平野実穂氏に選んだのもないように合致して驚いています。芋虫たちは葉っぱをたくさん食べて蛹になるのですが、この蛹は成虫に孵ることができるのでしょうか。読み終えてなお、胸のドキドキが治まりません。
読了日:08月12日 著者:近藤史恵


ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のりベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり感想
ただの音楽好きには難しすぎる内容で、消化できない部分が随分あります。しかしながら専門家の描き出すベートーヴェンの世界が大変良く伝わってきました。作品番号を持たない作品WoOというのも初めて知りました。ベートーヴェンといえば交響曲という志向でしたが、これを機にいろいろと聴いてみました。中でも私が感激したのは5曲しか作曲されなかったチェロ・ソナタ。解説ではOp5の第一番と第二番が紹介されていましたがとても素敵な曲でした。このところNAXOSでベートーヴェン三昧になっています。
読了日:08月13日 著者:小山実稚恵,平野昭


殺し屋、やってます。殺し屋、やってます。感想
小説だから、と思いながらも本来あるべきではない殺し屋という職業を、まるでお料理を作るかのように軽々とこなしてしますことに一抹の不安が。材料の吟味や下ごしらえがなかなかのもので、場合によってはお断りすることもあるという設定。謎解きもなかなか面白く、気づいたら読み終わっていました。続きも読もうと思います。
読了日:08月14日 著者:石持 浅海


帝国ホテル建築物語帝国ホテル建築物語感想
NHKドラマ「黄色い煉瓦」https://www.nhk.or.jp/nagoya/renga/ は面白かった。1976年に福島県で結婚した私達は、新婚旅行の途中帝国ホテルに一泊しました。後にも先にも宿泊したのはその時だけです。明治村にも行ったことがありませんが、植松三十里氏の圧倒的な筆力によって「建築物語」の世界に取り込まれてしまいました。大谷石と常滑煉瓦の装飾は画像でしか見ていませんが、ため息を付きたくなるような美しさ、荘厳さだったのですね。
読了日:08月15日 著者:植松三十里


妻の終活妻の終活感想
内館牧子著「終わった人」と同様、団塊の世代の過去の栄光から逃れられない夫を描いています。クレヨンしんちゃんの地元春日部に住まい、草加せんべいで有名な草加まで通い嘱託として仕事をしています。この東武線、現在はスカイツリーライン、朝は激混みですよね。懐かしい。いくらなんでもワイシャツの洗濯とアイロンがけや使った食器の洗浄、ゴミ出しくらいはできると思うのです。とにかく極端な描き方であります。がんの終末期医療、自治会存在の危機、LGBT、ヘアドネイションなどの社会現象も巧みに配してあり、一気に読み終えました。
読了日:08月16日 著者:坂井希久子


チーム (実業之日本社文庫)チーム (実業之日本社文庫)感想
過去に読んだような気もするのですが「風が強く吹いている」と混同しているのかもしれません。現在では関東学生連合チームメンバーの選出にあたっては「大学、連合を問わず本戦出場経験がゼロであること」との項目がありますので、山城みたいに最後をも区間新で走ることはできなくなっちゃいましたね。このシリーズはIIIまで出ているので、クーラーを利かした部屋で読もうと思っています。
読了日:08月17日 著者:堂場 瞬一


チームII (実業之日本社文庫)チームII (実業之日本社文庫)感想
学連選抜チームで走った箱根駅伝から7年、孤高の天才ランナー山城は「東海道マラソン」で日本最速を記録し優勝したものの、半月板損傷の怪我を負いアメリカで手術を受けた。その回復を図る練習でハムストリングの軽い筋断裂を起こしていた。実業団チームに所属するも、頑なに駅伝への参加を回避していた山城だが、引退の時期が迫っていることに気づかざるを得ない。花道として選んだ五輪記念マラソンを果たして快走できるようになるのだろうか。食事も惜しんでページを捲りました。
読了日:08月19日 著者:堂場 瞬一


チームIIIチームIII感想
現役を引退した山城は瀬戸内海の島にあるレモン農家である実家を手伝っていました。その島で毎日20Kmのジョグを日課にして。山城はチームの力を得てどうにか新しい世界へたどり着けたようで、更に続きを読みたくなりました。本書の発行は2020年3月。東京オリンピックのマラソン大会は札幌での開催にアップデートされていますが、流石にコロナ禍によって1年延期になったことまでは盛り込まれませんでした。その1年延期すらも、開催が危ぶまれるのが本当に残念です。
読了日:08月19日 著者:堂場 瞬一


ひとり日和 (河出文庫)ひとり日和 (河出文庫)感想
不思議な人間関係。20歳の知寿(ちず)、71歳で大家の吟子、高校教諭で中国に留学の母親、職場も彼氏もすべて現実感に乏しい。自分が何者であるかさえ定かではないようだ。アルバイトをしながらも貯金額は増えない。ささやかな盗癖を楽しみながら彼女はどこへゆくのだろうか。不思議な世界観を見せられました。
読了日:08月21日 著者:青山 七恵


ヒート (実業之日本社文庫)ヒート (実業之日本社文庫)感想
チームIIIまで読み終え、見逃していた本書を手にとりました。県知事の号令で新マラソン大会が実現するというのも、小説ならではで楽しかった。風の影響を色々工夫するくだりがありますが、川崎市発着でウミホタル折返しのハーフマラソンが一度だけ開催されました。開通前のイベントでしたが、暑かったのとトイレがないことで困った思い出があります。世界記録を出すために走る山城悟と甲本剛。読み始めたら最後のページまで止まりませんでした。
読了日:08月22日 著者:堂場 瞬一


ミス・ジャッジ (実業之日本社文庫)ミス・ジャッジ (実業之日本社文庫)感想
「チーム」から読み始めた堂場瞬一スポーツ作品。ついに野球の世界に手を出してしまいました。3月の東京で開幕した米大リーグ。レッドソックスのピッチャーとして初めての試合、自信を持って投げた外角低めを因縁のあるアンパイア竹本はボールを宣告した。そしてMLBリーグチャンピオンシップが開幕となる10月のボストンに続くボルチモアでの第6戦。雨で順延となった翌日、マウンドに立った橘はアンパイアの竹本の「プレー」の声を聞いて因縁の外角低めに狙いを定めた。
読了日:08月24日 著者:堂場 瞬一


点と魂と スイートスポットを探して点と魂と スイートスポットを探して感想
スイートスポット、ゴルフではよく耳にする単語ですが、「不射の射」あたりまで話が飛んで、これはもう名人のお話でした。私は小山実稚恵さんの実際の演奏に接したことがありませんし、ピアノ演奏会を聴きに行った数もたかが知れています。そんな私には「魂が音楽を作る」ところまで聴き取ることはかないません。それでも溢れ出る音の世界に身を浸している心地よさは、何にも代えがたいことだと思っています。演奏会が相次いで中止になっていますが、COPID-19騒ぎが沈静化したら、聴きに行きたいと強く思いました。
読了日:08月24日 著者:小山 実稚恵,梶山 寿子


調印の階段 (PHP文芸文庫)〜不屈の外交・重光葵調印の階段 (PHP文芸文庫)〜不屈の外交・重光葵感想
高校で受けた日本史の授業では第二次世界大戦以降はあまり時間を割いていなかったように思います。ですから厳しい外交の世界で活躍した重光葵のことは本書を手に取るまで知りませんでした。本当の歴史を直視することによって、明日の進み方を考えなければならないのに残念なことです。時間の制約を考えればやむを得ないのかもしれませんが。それにしても植松三十里氏の筆力には圧倒されます。降伏文書への調印でのマッカーサーとの交渉には身の震える思いを致しました。
読了日:08月25日 著者:植松 三十里


反日種族主義 日韓危機の根源反日種族主義 日韓危機の根源感想
大統領経験者が次々と検挙されたり自殺したりする国。個人的にお話をすると普通なのに、なぜ国として国際的な観点に立てないのか、不思議に感じていた私ですが、本書を読んで虚脱してしまいました。
読了日:08月26日 著者:李 栄薫


いまさら翼といわれても (角川文庫)いまさら翼といわれても (角川文庫)感想
古典部のメンバーのキャラクターが紹介された短編集。わかりやすくて読みやすかった。長い休日では折木クンの傷ついた心がお休みに入る様子が描かれた。最後の「いまさら翼といわれても」の題名がどうもしっくり来ない。題名はずいぶん前から決まっていた、と作者はおっしゃるのですが。
読了日:08月27日 著者:米澤 穂信


病院でちゃんとやってよ (双葉文庫)病院でちゃんとやってよ (双葉文庫)感想
急性期病院では症状が安定した患者は退院の必要がある 一方、回復期リハビリテーション病棟は最長180日の入院が可能です。180日を過ぎれば退院を余儀なくされ、ケースワーカーの仲立ち等により施設に入ったり自宅での介護生活を送ることになります。在宅の場合は手すりを設置したり、段差をなくしたりと相当のリフォームが必要となります。そんなリハビリ病棟勤めのナース新菜のお仕事物語。入院患者およびその家族とのコミュニケーションが大きいウエイトを占めているようだ。
読了日:08月27日 著者:小原 周子


ロマンシエ (小学館文庫)ロマンシエ (小学館文庫)感想
「心は乙女で明るく健気、そして妄想の暴走とツッコミが止まらない美智之輔」と解説の瀧井朝世が表現する。フランス語での愛称はミシェル、彼の動きを追って紹介されるパリの街。題名のロマンシエも小説家の意味ですし、どっぷりとフランスに浸かる事ができました。文庫を読んでいる時点で知らなかったことがわかっちゃうのですが、実際の東京ステーションギャラリーでのidem展覧会企画と同時進行だったようです。原田マハという作家、恐るべき。
読了日:08月28日 著者:原田 マハ


10 -ten- (実業之日本社文庫)10 -ten- (実業之日本社文庫)感想
題名について再読でようやく腑に落ちました。No.10はスタンドオフ、主人公進藤のポジションでした。その他フォワードを中心にした攻めでバックスの走りを使わない、10人でプレーするスタイルを「10」としたのかもしれませんね。
読了日:08月30日 著者:堂場 瞬一

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