東京災害支援ネット(とすねっと)

~おもに東京都内で東日本太平洋沖地震の被災者・東京電力福島第一原発事故による避難者支援をおこなっています~

原発事故の区域外避難者に対する応急仮設住宅の提供打ち切りの強行を非難する声明

2017年04月01日 21時33分16秒 | 避難住宅打ち切り問題
原発事故の区域外避難者に対する応急仮設住宅の提供打ち切りの強行を非難する声明

2017(平成29)年4月1日

東京災害支援ネット(とすねっと)
   代表  森 川   清

 東京災害支援ネット(とすねっと)は、本年3月31日をもって、原発事故の区域外避難者に対する災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供の打ち切りが強行されたことを受けて、以下のとおり、これを非難する声明を発表する。

1 福島県は、福島原発事故によって2015(平成27)年6月時点における避難指示区域以外から避難している避難者(以下、「区域外避難者」という。)について、2017(平成29)年3月31日をもって、災害救助法4条1項1号に基づく応急仮設住宅の供与の打ち切り(以下、「打ち切り」という。)を強行した。福島県によると、打ち切り対象は昨年10月末現在で1万0524世帯、2万6601人だという。昨年10月以前に諦めて応急仮設住宅での避難を断念した人たちを加えると、実質的な打ち切りの対象はもっと多いと考えられる。
  とすねっとのもとには、さっそく、本日、打ち切りの強行に遭った避難者から、落胆と怒りの声が続々と届いている。
  全国の原発事故避難者団体が打ち切りの撤回を強く要望し続けていたにもかかわらず、まったく再考されずに、2015(平成27)年6月の方針発表そのままに打ち切りがなされたことは、原発事故避難者の声を全く無視するものであって、この決定を行った福島県を強く非難する。
  また、政府も、2015(平成27)年8月に改定された子ども被災者支援法に基づく「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(以下、「基本方針」という。)のなかで、打ち切りについて記載した上で、「空間放射線量が大幅に低減していること等とも整合的である。」として、これを追認してきた。福島県の決定は、原発事故の避難者の帰還をすすめている政府の政策に基づくものであり、打ち切り強行を後押ししてきた政府も同様に強く非難する。

2 原発事故の避難者に対する応急仮設住宅の供与の延長は一般基準における2年の供与期間(災害救助法4条3項、同法施行令3条1項、内閣府告示「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準」2条2項ト、福島県災害救助法施行細則5条、同別表第1一2(七)、建築基準法85条4項参照)を経過した後は、最長1年ごとに延長できることになっている(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律8条参照)。この延長は、福島県知事が決定することによって問題なく行えるものであり(災害救助法2条)、それには内閣総理大臣の同意があればよい(同法4条3項、同法施行令3条2項)。したがって、打ち切り強行は、安倍晋三・内閣総理大臣と内堀雅雄・福島県知事による政治的判断の結果であることは明らかであり、安倍首相と内堀知事は、今後、区域外避難者から避難先の住宅を奪ったことについての政治責任を厳しく問われなければならない。

3 原発事故避難者の多くは、今も、応急仮設住宅の打ち切りの撤回を求めている。
  原子力非常事態宣言は発令継続中であり、原発事故は収束していない。多くの避難者は事故前の放射能汚染のない状態に早く戻ってほしいと願っているが、避難指示区域外でも、依然として深刻な汚染が残っている。避難者の自宅の庭などを調べると、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則1項1号の「管理区域」並みの汚染が見つかることも多い。管理区域は、その境界には、さくその他の人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設けることが義務付けられる等(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律6条1号、同法律施行規則14条の71項8号等)、放射線被ばくや放射性物質の漏洩の危険性を考えて厳しい規制がなされる場所である。しかし、汚染の除去は、十分に進んでいるとはいえない。このような状況では、被ばくなどのリスクを考え、避難を続けたいと考える避難者が多いのも、当然である。子どもや若者を抱える世帯では、特にその思いが強い。
  避難世帯は避難に伴う生活費増に苦しんでいる。母子避難者のいる世帯では深刻である。特に、区域外避難者にとっては、応急仮設住宅(多くは、みなし仮設住宅である。)の提供が唯一の支援になっており、打ち切りは死活問題である。
  これらの状況を踏まえ、とすねっとは、打ち切りは避難者に帰還を事実上強制するもので、避難者の生活再建にもつながらないとして、2015(平成27)年6月16日付け「原発事故避難者に対する応急仮設住宅供与の打ち切りの撤回を求める意見書」を福島県と内閣府に提出し、打ち切りの撤回を要求している。
  改めて言うが、打ち切りの強行は、こうした声を無視するものである。

4 厳しい家計の状況のなか、打ち切り後も従来の応急仮設住宅に残らざるをえない原発事故避難者(以下、「残留避難者」という。)が存在する。賃料の高い大都市圏では、このような残留避難者は多数存在する。
  国、福島県、その他の都道府県などの避難者受入れ自治体、所有する住宅に避難者を受け入れている独立行政法人等は、避難者から避難用の住宅を奪う政策を無理やり進めてきた責任があるのであって、残留避難者に対する住宅の明渡しの要求をするべきでない。もちろん、避難者に対して、明渡しの訴えを起こすようなことはあってはならない。強制退去は、社会権規約11条で保障された住居権を侵害するもので、原則として違法とされている。強行すれば国際的な非難を浴びることは必至である。とすねっとは、残留避難者に対する強制退去の動きに反対し、国内及び海外の世論を喚起して、これを阻止する闘いを進める。
  残留避難者以外の避難者も、避難用住宅の無償提供を求め続けていることに変わりはない。国、福島県、その他の都道府県などの避難者受入れ自治体、所有する住宅に避難者を受け入れている独立行政法人等を所管する省庁は、打ち切り発表後も避難用住宅の無償提供の継続を求め続けてきた原発事故避難者団体の要求に真摯に向き合い、強権的な手法を捨て、これらの団体と円満な話し合いを行うべきである。避難住宅問題は政策問題であり、個別対応によっては解決することはできないので、原発事故避難者団体との話し合いが必要なのである。そして、原発事故避難者に対する総合的支援立法を制定するなどして、こじれてしまった避難住宅問題を政策的に解決するべきである。

5 本年3月17日、群馬県内への避難者やその家族等を原告とする福島第一原発事故損害賠償請求訴訟の判決が、前橋地方裁判所で言い渡され、区域外避難者に対する関係でも、被告・国の国家賠償法上の事故責任が認められた。判決は、国の非難性の程度は、重過失並みの強い非難性が認められた被告・東京電力株式会社に匹敵するものとした。
  区域外避難者に対する国の責任は、もはや「社会的責任」にとどまるものではなく、法的責任を負うものである。当然、国は、区域外避難者が避難を続けることができるよう、住宅の無償提供などを続ける責務を負うというべきである。

6 避難者は、新たな問題にも直面している。
  公営住宅における母子避難世帯の優遇措置などの根拠となっている子ども被災者支援法の基本方針に定められた支援対象地域の縮小・撤廃が、早ければ前回改定から2年を迎える今夏にも、日程に上る可能性がある。改定基本方針には「空間放射線量等からは、避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況にはなく、法の規定に従えば、支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当となると考えられる」と明記されているからである。支援対象地域の縮小・撤廃が強行されれば、避難者はせっかく入居した公営住宅から早々に追い出されることもありうる。
  前述のとおり、国などに対し、避難者政策の確立のための交渉を求めていくことも必要である。
  様々な境遇に分かれてしまった全国の原発事故避難者が大きく結集すれば、行政も無視することはできず、事故責任を果たさせることが可能になる。

7 とすねっとは、今後も、こうした原発事故避難者の闘いを支援し、国などに対し、引き続き打ち切りの撤回等を求めていく決意である。以上
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« 裁判勝利・福島切り捨てを許... | トップ | 5次提訴説明会(福島原発被... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

避難住宅打ち切り問題」カテゴリの最新記事