トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

”倉敷藤花戦” 公開対局を観戦しました!

2012年11月24日 | 日記

白壁の町、倉敷。柳並木と白壁の商家が続く”倉敷美観地区”は、この日も多くの観光客を集めていました。

美観地区の一画に倉敷市芸文館があります。

この日は、将棋の女流公式タイトル戦である”第20期大山名人杯倉敷藤花戦”の公開対局が行われることになっていました。里見香奈倉敷藤花に、矢内理絵子女流四段が挑戦している3番勝負の第2局です。

将棋は自分では指しません。というか、こういうイベントに参加する人のような棋力はありません。ただ、プロ棋士の勝敗や人となりには興味があります。スポーツを楽しむ感覚で将棋を観ています。

ロビーに入ると、大山康晴十五世名人の業績や書が掲示されていました。
勝利者を当てる投票がありましたので、私は「里見倉敷藤花」と書きました。

大山十五世名人の「忍」です。
大山十五世名人は、生涯獲得タイトル数は通算80期で、最近十九世名人の資格をもつ羽生善治三冠に追い抜かれるまで史上一位を保っていました。また、日本将棋連盟会長もつとめられた将棋界の至宝ともいうべき方でした。

公開対局の会場です。嵐の前の静けさです。しかし、実際には、午前10時から、館内の「藤花荘」ですでに戦いは始まっていました。

この日は、800人を越える方が観戦に来られていました。司会の方のお話では「出雲から里見藤花の応援に来られた方も多かった」ようです。

これが、大山名人杯。重さ15kgだそうです。
「”倉敷藤花戦”は、岡山県倉敷市が生んだ不世出の棋士、故大山康晴十五世名人の名を冠し、倉敷市の市花である「藤」を棋戦名とした、倉敷発の女流公式タイトル戦」です。(パンフの伊東香織倉敷市長の「ごあいさつ」から)

里見倉敷藤花(右)は、女流名人、女流王位、女流王将の4冠を所持している実力ナンバーワンの女流棋士です。現在は、日本将棋連盟の棋士養成機関「奨励会」に入会し、男性とも対局しながら将棋の腕を磨いています。今年の1月に「女流」のつかない初段に昇格しています。四段になれば、プロ棋士として公式戦に参加することができます。

挑戦者の矢内女流四段は、今年度ここまで13勝5敗、7割を越える勝率を誇る実力者です。Eテレ(教育テレビ)で放映している将棋の「NHK杯選手権」の「手が見える」司会者として人気を集めている方です。矢内女流四段もかつて奨励会で厳しい修行に明け暮れていました。 この日は、着物に袴姿での対局でした。

開会式は、主催者の伊東香織倉敷市長のあいさつで始まりました。

紹介された棋士の皆さんです。左から、大盤解説の有吉道夫九段、立会人の谷川治恵女流五段(日本将棋連盟理事)、聞き手の中村桃子女流一級と記録の奨励会員です。他に、関根紀代子女流棋士会長も来られていました。

先手は、挑戦者矢内女流四段です。初手から棋譜どおりに駒を動かして現在の局面を再現します。立ち会いの谷川治恵女流五段の「それでは始めてください」の指示で、対局が開始されました。大盤の駒を動かすのは、日本将棋連盟倉敷市役所支部のお二人です。
同時に、別室のアイシアターでは、有吉九段の大盤解説も始まりました。
下側が先手矢内女流四段です。 持ち時間各2時間。

15時を過ぎて、両者とも持ち時間を使い切り1分将棋となりました。秒読みの中、矢内女流四段の攻めを余裕をもってしのいだ里見倉敷藤花は、86手目の6九馬から寄せに入ります。

そして、6九馬から12手目の8八角をみて矢内女流四段が投了し、98手で里見倉敷藤花の勝ちになりました。15時31分のことでした。感想戦での有吉九段の解説では、中盤に矢内女流四段に緩い手があり終盤にはかなりの差がついていたそうです。
これで里見倉敷藤花は第1局に続き第2局も制し、倉敷藤花戦5連覇を達成しました。
表彰式です。
関根紀代子女流棋士会長から表彰状を受け取る里見倉敷藤花。
通算5期で与えられる永世称号の”クイーン”を、最短の5年で獲得したことになります。

伊東市長からは大山名人杯が授与されました。記念撮影が終わるまでじっと持ち続けていた15kgの大山名人杯は、かなり重かったのではないでしょうか。

勝利者インタビューにも「お世話になった方々のおかげです」と落ち着いた態度で答えていました。”クイーン”の称号が与えられるということについても、「今初めて知りました」。  淡々と応対する姿が印象的でした。  

敗れた矢内女流四段はうつむきがちで、不本意な将棋に悔いを残しているように感じました。ほんとに残念でしたね。

表彰式の後は、景品が当たる抽選会。「里見倉敷藤花」と答えた人が対象の景品は、出演した棋士の色紙や将棋連盟のタオルなど。投票した人全員が対象の景品は、将棋盤と将棋の駒でした。 これまで一度も当たったことのないくじ運の悪い私は、もちろん全部はずれ!  ただ、今年は少しうれしかったのです。 将棋盤の当選番号は414番の方でしたが、私は41Xでした。当たるはずはないとあきらめていましたが、初めて、当選に近いところまで肉薄しました。「1番違いでも、はずれははずれ」です。わかっていましたが、少し満足でした。

それにしても、里見倉敷藤花はほんとに強かった!  
奨励会で男性にまじって切磋琢磨している結果だと思います。初めての女性棋士(四段昇段)が誕生するとしたらこの人ではないかと思わせる、強い女流棋士でした。


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1 コメント

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見ました (山田)
2012-12-04 17:58:15
 久しぶりに読ませていただきました。趣味が広いですね。長時間にわたる観戦お疲れさまでした。里見さん本当に強いです。女流版「羽生」と言えるのでは?高校生の時から応援しています。(心の中で)
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