坂口恭平「現実宿り」読了
本書は平成28年に河出書房新社より発刊されたものです。以前、「けものになること」を読んで、難解この上なく、かなり手を焼いたものでしたが、本書もそれに負けず劣らず滅茶苦茶難解でした。
ネットで日和聡子という人が、本書のレビューを書いているんですが、そのタイトルが「まだわからない。しかし、きっといつかわかる。」というんですからふるってます。自分も同じ心境であります。
<わたしたちは止まってはいけない。動かなくてはいけない。しかし、それは無駄な動きではいけない。わたしたちにできることは、なまけないことだ。なまけずに、常にいまここで、動くことである。時間は常にここにいる。止まったまま。わたしたちはそのために道具をつくっている。誰が笑おうがそれは問題ではない。問題なのは、これが時間だ、とわたしたちが知ることである。>
全編こんな調子です。
いとうせいこう氏が「これはベケットだ」とどこかで言っていたんですが、自分はベケットのなんたるかすらよく知らないので、まぁ読む資格がなかったのかも知れません。
坂口恭平、もう読まないと思いますが、名前だけは憶えておきます。
なんにせよ、貴重な読書体験でした。