井上荒野「あなたの獣」読了
短編集と思いきや、10の話に分けられてはいるものの、主人公は常に同じで、かといって長編というジャンルにも属さないような不思議な小説です。
櫻田哲生という男の女性をめぐる様々な物語が断片的に連なっています。時系列が順になっていないのでちょっととまどうところもありますが、櫻田哲生の結婚する少し前の時代から75才で死ぬまで(死ぬ場面は描かれていない)の話です。
最近の井上荒野は「グラジオラスの耳」に代表されるような、なんともいえない、いやな感じ(それは僕にとって好ましい空気なんですが)が影をひそめ、非常にわかりやすい話になってます。しかし、荒野のもつ独特のテイストは失われておらず、これはこれで良いのではと思っております。
ところどころに挿入されるエピソードがシュールな雰囲気を醸しており、これは川上弘美あたりの小説を思い起こさせます。
ともあれ井上荒野、快調です。
短編集と思いきや、10の話に分けられてはいるものの、主人公は常に同じで、かといって長編というジャンルにも属さないような不思議な小説です。
櫻田哲生という男の女性をめぐる様々な物語が断片的に連なっています。時系列が順になっていないのでちょっととまどうところもありますが、櫻田哲生の結婚する少し前の時代から75才で死ぬまで(死ぬ場面は描かれていない)の話です。
最近の井上荒野は「グラジオラスの耳」に代表されるような、なんともいえない、いやな感じ(それは僕にとって好ましい空気なんですが)が影をひそめ、非常にわかりやすい話になってます。しかし、荒野のもつ独特のテイストは失われておらず、これはこれで良いのではと思っております。
ところどころに挿入されるエピソードがシュールな雰囲気を醸しており、これは川上弘美あたりの小説を思い起こさせます。
ともあれ井上荒野、快調です。