今回は珈琲粉保存用にプラスティックの袋を用いるお話です。
私なりの焙煎、ブレンド、粉砕した珈琲粉を友人にお勧めしたりしていますが、
その場合、粉を詰める容器が問題になります。
粉になると、空気中の酸素による酸化・劣化が激しく、空気中保存では
風味を保つのは数日程度だと言われています。
それで、自宅で保存の場合には、既にお話したフラスコを用いた
窒素ガス中保存法を開発していますが、これは郵送などには使えません。
出来れば、薄いプラスティツク袋に入れて厚さを1cmに押さえ、送料80円で済む
メール便を使いたいのです。
プラスティツク・フィルムの通気性については良く研究されていて、
通気性の極めて少ない「テドラー」(デュポン社の(R)、ポリ弗化ビニールPVF)
も有りますが、極めて高価です。またアルミ蒸着で通気性を止める事も
良く知られていて、レトルト食品などに広く用いられていますが、
その袋だけを少量購入するのは困難で、また使用後のレトルト食品(例えばカレー)
の袋の再利用も検討しましたが、食品固有の残香の除去が難しく断念しています。
それで、簡単に入手出来るポリエチレンやポリプロピレン製の袋の利用を検討
しました。
この両者の通気性については、下記の研究を参考にしました。
http://www.shokuken.or.jp/report/06/6_010.html
透明プラスチックフィルムの通気性、透湿性および紫外線透過性の測定値
東洋食品研究所 > 研究報告書 > 第6号(1964)
著者:松井悦造・西郷英昭
その研究結果からポリエチ、ポププロと参考にポリエステルの値を
引用します。
gas permeability
cc/(cm・sec・cmHg)
polyethylene low density 8.38x 10^-11 for O2
polypropylene 3.23 〃 〃
polyester 0.028 〃 〃
この8.38x 10^-11という値は、45μのフィルムでは
1.07 x 10^-4 cc/cm2・hr に相当し、
下図の右にある18 x 19 cm のポリエチの袋では、酸素浸入量 0.073 cc/hr
となります。
これは、一週間168時間で12.3 ccの酸素浸入となります。
持っている脱酸素剤の酸素吸収能力は、40ccはあるので(測定済み)
ポリエチの袋に脱酸素剤を一袋入れれば、3週間程度は酸素の影響を受けずに
済む事になる筈です。
しかしこの推定が正しいか心配になり、市販品の通気性が本当にこの程度か
試したくなってテストをしてみたのが本メールの主題です。
テストした袋の写真をご覧に入れます。
左がポリプロ(厚さ50μ)の袋、右がポリエチ(45μ)の袋です。
いずれも写真に撮るために空気で膨らませてあります。
また、ガスの出入口がついていますが、これは以下の測定の為につけたもので
珈琲粉保存や郵送の為には付いていません。
次に測定法が分かる写真をご覧に入れます。
測定手順は、
1.小フラスコ(150cc)にホッカイロの粉(黒いのがそれ)を封入し、
減圧にしておく。(0.1気圧)
2.テストする袋に窒素ガスを100cc程度封入し、一昼夜程度放置する。
3.写真の様に、袋-フラスコ-デジタルマノメータ を連結する。
この写真は、撮り易くする為袋を空気で膨らませていて、実際は
全く膨らんでいません。
4.袋中のガスを減圧小フラスコに注入し、その直後の圧力と、約30分後
(酸素がほぼ完全に吸収される)の圧力の値から
袋に浸入した酸素量を推定する。
これは研究論文ではないので、測定や計算のより詳細は省略しますが、次の測定結果
を得ています。
酸素通気性(測定値) 酸素通気性(文献からの推定値)
cc/hr cc/(hr・cm2) cc/(hr・cm2)
ポリプロ袋 0.52 0.00103 0.000037
ポリエチ袋 1.05 0.00154 0.000107
考察など
① 今回の測定値は、文献とは一桁以上合わないが、その理由は不明。
文献の値から実用の値への計算に何か勘違いがあるのかも知れない。
② いずれにしても、酸素リーク量は相当大きい。
このポリエチ袋は、「ダイソウ」で17枚105円で購入したもので
チャックが付いていて便利だが、このままではメール便に使用する
にはリークが大きすぎるように思える。
しかし、例えば袋を二重に重ねて使い、且つ脱酸素剤を2コ入れれば、
このポリエチ袋でも、6日間程度無酸素状態を保てそうな事が分かる。
尚、本測定ではチャックによるシールではなく、熱シールによる
より完全なシールになっている
(上図参照、チャックの外側を熱シールしている)
私なりの焙煎、ブレンド、粉砕した珈琲粉を友人にお勧めしたりしていますが、
その場合、粉を詰める容器が問題になります。
粉になると、空気中の酸素による酸化・劣化が激しく、空気中保存では
風味を保つのは数日程度だと言われています。
それで、自宅で保存の場合には、既にお話したフラスコを用いた
窒素ガス中保存法を開発していますが、これは郵送などには使えません。
出来れば、薄いプラスティツク袋に入れて厚さを1cmに押さえ、送料80円で済む
メール便を使いたいのです。
プラスティツク・フィルムの通気性については良く研究されていて、
通気性の極めて少ない「テドラー」(デュポン社の(R)、ポリ弗化ビニールPVF)
も有りますが、極めて高価です。またアルミ蒸着で通気性を止める事も
良く知られていて、レトルト食品などに広く用いられていますが、
その袋だけを少量購入するのは困難で、また使用後のレトルト食品(例えばカレー)
の袋の再利用も検討しましたが、食品固有の残香の除去が難しく断念しています。
それで、簡単に入手出来るポリエチレンやポリプロピレン製の袋の利用を検討
しました。
この両者の通気性については、下記の研究を参考にしました。
http://www.shokuken.or.jp/report/06/6_010.html
透明プラスチックフィルムの通気性、透湿性および紫外線透過性の測定値
東洋食品研究所 > 研究報告書 > 第6号(1964)
著者:松井悦造・西郷英昭
その研究結果からポリエチ、ポププロと参考にポリエステルの値を
引用します。
gas permeability
cc/(cm・sec・cmHg)
polyethylene low density 8.38x 10^-11 for O2
polypropylene 3.23 〃 〃
polyester 0.028 〃 〃
この8.38x 10^-11という値は、45μのフィルムでは
1.07 x 10^-4 cc/cm2・hr に相当し、
下図の右にある18 x 19 cm のポリエチの袋では、酸素浸入量 0.073 cc/hr
となります。
これは、一週間168時間で12.3 ccの酸素浸入となります。
持っている脱酸素剤の酸素吸収能力は、40ccはあるので(測定済み)
ポリエチの袋に脱酸素剤を一袋入れれば、3週間程度は酸素の影響を受けずに
済む事になる筈です。
しかしこの推定が正しいか心配になり、市販品の通気性が本当にこの程度か
試したくなってテストをしてみたのが本メールの主題です。
テストした袋の写真をご覧に入れます。
左がポリプロ(厚さ50μ)の袋、右がポリエチ(45μ)の袋です。
いずれも写真に撮るために空気で膨らませてあります。
また、ガスの出入口がついていますが、これは以下の測定の為につけたもので
珈琲粉保存や郵送の為には付いていません。
次に測定法が分かる写真をご覧に入れます。
測定手順は、
1.小フラスコ(150cc)にホッカイロの粉(黒いのがそれ)を封入し、
減圧にしておく。(0.1気圧)
2.テストする袋に窒素ガスを100cc程度封入し、一昼夜程度放置する。
3.写真の様に、袋-フラスコ-デジタルマノメータ を連結する。
この写真は、撮り易くする為袋を空気で膨らませていて、実際は
全く膨らんでいません。
4.袋中のガスを減圧小フラスコに注入し、その直後の圧力と、約30分後
(酸素がほぼ完全に吸収される)の圧力の値から
袋に浸入した酸素量を推定する。
これは研究論文ではないので、測定や計算のより詳細は省略しますが、次の測定結果
を得ています。
酸素通気性(測定値) 酸素通気性(文献からの推定値)
cc/hr cc/(hr・cm2) cc/(hr・cm2)
ポリプロ袋 0.52 0.00103 0.000037
ポリエチ袋 1.05 0.00154 0.000107
考察など
① 今回の測定値は、文献とは一桁以上合わないが、その理由は不明。
文献の値から実用の値への計算に何か勘違いがあるのかも知れない。
② いずれにしても、酸素リーク量は相当大きい。
このポリエチ袋は、「ダイソウ」で17枚105円で購入したもので
チャックが付いていて便利だが、このままではメール便に使用する
にはリークが大きすぎるように思える。
しかし、例えば袋を二重に重ねて使い、且つ脱酸素剤を2コ入れれば、
このポリエチ袋でも、6日間程度無酸素状態を保てそうな事が分かる。
尚、本測定ではチャックによるシールではなく、熱シールによる
より完全なシールになっている
(上図参照、チャックの外側を熱シールしている)