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文芸誌投稿から

2018-12-28 14:23:31 | 日記
  湘南初詣                     文芸誌投稿文
 
 当時の僕が所属していた福祉親睦会で、初詣に行った思い出である。
 1979年12月31日夜7時頃、比較的僕の家に近い人たちが、身障を持つ僕の家に来て、始まった。その中には、精神障碍と重いテンカンを持つX君もいた。皆は家から少し離れた小田急線・梅ヶ丘駅に行き、当時からあったスロープで駅に上がり、まず、新宿。そこで東京の東部に住んでいる友人たちと合流。中央線で東京駅に行き、そこで東海道線の各駅停車で、湘南海岸を目指す。途中の駅の階段では、僕の車いすを数人で担ぎ上げるように持ち上げての移動である。列車から僕は夜景を見ていた。おしゃべりが好きなX君は皆に盛んに冗談を言っていた。まるで寅さんみたいに。
 11時過ぎ、藤沢駅に着く。まずは、腹ごしらえと、喫茶店に入り、サンドウィッチなどの軽食をめいめい注文。それと僕はウィンナー・コーヒーも飲んだ。冬は暖かいものに限る。途中、時計が12時を指す。1980年の幕開けを皆で祝った。今年はどんな事があるだろうか。
 我々は南に進路を取った。途中は閑居な住宅街。あたりは暗く、寒風も吹く。着こんでいるとは言え寒い。飲料の自動販売機。X君が冷たいジュースを買い、飲み始める。こんな寒い時に。僕は少し変に感じた。飲み残しのジュースを彼が僕に「飲むか」。僕は「いらない」と。飲めば、腹痛が起きるに決まっている。X君は体が暑いのだろうか。
 海岸に着いた。多くの若者たちがにぎやかに騒いでいる。活気が感じられる。薪が燃えている所に我々は行くが、やはり、寒い。日本酒を持ってきた人もいた。さっそく、暖めて皆で飲み、寒さをしのぐ。目を空に向けると、星々が煌々と輝いている。波の音が心地良い。冬の海も良いものだ。
 数時間たち、東から少しずつ明るくなり、星々が見えなくなった。初日の出が近い。僕も目を東に集中。雲もたくさんあったが、水平線の端から太陽の先端が見え始めた。力強く光っている。1980年の始まりだ。そこの全ての人達が太陽に注目。祈っている人もいる。前年は犬吠埼の初日の出を見たが、ここの初日の出も素晴らしい。来てよかった。
 帰りは藤沢駅から小田急線の急行。初詣帰りの人達が乗っていた。30分経ち、X君の様子がおかしい。気持ちが悪くなったと言う。ポケットから病院の電話番号をメモした紙きれを出すと、そのまま倒れた。意識はあるが、全身がまるで木になったような感じで、非常に苦しそう。周りの人たちも驚き、一人が車掌を呼んできた。ただ一人、日大生のH君は冷静な対応で、X君の上着を少し脱がせる。「心配する事はない」と。僕も初めて見るX君の発作に驚き、彼の死をイメージして恐くなった。電車は駅に着き、二人の友人がX君を抱えてそのまま、降り、後は救急車に乗り、指定された病院に。今年はどんな年になるやら...。
後から聞いた話、X君は元気になったとのこと。終始「体が熱い」は発作の前触れだったかもしれませんが、医者でもないので、詳しい事は僕には書けません。但し、難病を持つX君を含めて、一緒に楽しい思い出ができて、何よりでした。正月に因んだ思い出です。
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