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死意識と真の恋愛

2018-10-19 13:25:53 | 日記
  三木清という哲学者がいる。1945年まで生きられた人で、戦前の若者たちにその著作は人気があった。その哲学の核は「人生至る所に青山あり」。「青山」とは、お墓であり、死の事である。何分、戦前は中学生でも読んで理解できたとか。


  高校時代に現代国語で取り上げられ、また、僕もその本を買って読んでみた。さっぱり判らなかった。同級生全員が判らない。僕も、クラス一頭が良い人も「生きるのを論じるのが哲学なのに、何故、死ぬ事が核なのだ。虚無主義ではないか」と思ったわけだ。でも、今は判る。当然だと。また思うに、戦前は徴兵や戦争があったし(文末に注.)、結核が蔓延し、冬も暖房がなかったため、インフルエンザや風邪でも多くが亡くなっていた。まさに「至る所に青山あり」だったのだ。若くても、否、小学生の時くらいから誰でも死を意識しただろう。ならば、三木清の哲学も中学から判ってもおかしくない。現代では、大学生のかなりもその哲学は判らないのかもしれない。


  戦前の人たちの事を更に述べると、若者は一度恋愛すると双方深く思いやり、愛し合い、親が反対すると「駆け落ち」もしたわけである。戦前のものを扱った小説やドラマにもよく出てくるが。本当に魂ごとの恋愛になった。また、明治後半から大正期には、身障者や盲人などが盛んに恋愛した。結婚例も多かった。健全者たちも障碍者への差別はあるものの、恋愛の時は応じた例が多かったと。一部の本でもその記録の一部は残してある。恋愛のままの例もあれば、結婚して、例え貧しくても心合わせて幸福に生きた例も多かった。僕がその事を最初に聞いたのは、1977年、例のS園で文士である野口栄一氏の随筆集から。「昔は障碍者でも結婚できた」と書いてあった。当時の僕は「そんな事はないだろう」と心の中で思ったが、よく知らない事だから、反論はしなかった。後年、本やテレビでその事をたくさん知り、反論しなくて良かったと思った。それはともかく、死を意識すれば、少なくとも、恋愛面での身障者などに対する差別はなくなるようである。健全者同士もそういう状況だから、対身障者もそうなると言おうか。

   でも、戦後は張り詰めた恋愛は非常に減った。寂しいから男女が求め合う事が増えたわけだ。その場合、相互の思いやりに欠け、すれ違いに大体終わるし、結婚しても余り幸福にはならないわけである。確かに、平和で、暖房も完備され、インフルエンザで死ぬ事もないし、結核もかなり克服された。その上、死にそうな人たちは病院に。死を認識する事が難しい社会になっているわけである。ならば、恋愛も不活発になる。健全者同士でもそうならば、対身障者はもっと難しく、福祉関係の番組で時々話題になるように、身障者たちの深刻な恋愛・結婚難の状態になるようである。そこに更に社会的な孤立も重なり、僕が行ったS園の大人の身障園生たちはもっと困難な状態があった。僕がS園に関心を持った一番の理由もそれだし、そこに限らず、身障者のその件に強い問題意識を持ち続けていた。

   ところで、大体、30年前からラジオやテレビで、福祉関係の現場の人たちの声として、高齢者恋愛が増えているという事をよく聞くようになった。年々多く聞くようになり、近年は高齢者の三角関係による殺人事件という痛ましい事件も聞いた。「高齢者は死が目の前に迫っているから、一度恋愛すると猛烈に燃え上がる傾向にある」とも聞いている。

   更に、子や孫もいる高齢者カップルが結婚を希望したが、双方の子や孫が(二人が他界した時の)遺産分配が複雑になるからの理由で反対している、という事もラジオで流れていた。その後はどうだったのだろうか。「子や孫」もまさにイエ。昔は若いカップルがイエのために結婚できなかった例が多いが、今は高齢者も。非常に皮肉に思うし、イエ制度の問題は形を変えて今の日本にも深刻に在りつ続けている事も示している。

  以上の僕の意見だが、例え80代や90代だろうが、子や孫が居ようが、二人が好きなら自由に恋愛し、望めば同居恋愛なり、結婚もすれば良いと思う。「高齢だからダメ」はまさに差別に当たるし。それゆえに、そのようになった場合の遺産分配ルールや法律も作る必要もあると思う。そのように世論も変えていく必要があるとも思っている。

   どうも日本では、ある意味では、死の件以上に、恋愛や結婚の問題が見つめられていない気がします。そのしわ寄せを早くから身障者たちは受けてきたし、今は高齢者もそのようになりつつある。また、健全者たちも「非婚化・離婚増加」という形で、しわ寄せを受けているわけである。本当はそれも深刻な問題である。

   (注の説明。そのように書いたからと言って、徴兵制や戦争に賛成しているわけではないです。誤解を防ぐため、述べました)
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