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吉田裕著「日本軍兵士」を本の注文葉書に書きました

2018-04-23 16:45:22 | 日記
  中央公論社・中公新書刊です。昨日(22日)の日経新聞の広告で見たので。僕は数冊まとまって買う事にいつもしています。その為、実際に購入し、感想を書くのは数ヶ月後になると思いますが、見出しに非常に大切な事が2点書かれてあったので、皆様にご紹介し、勧める次第です。


  見出しから見るに、それは(終章含め)各4章から構成されています。

  第一章. 死にゆく兵士

  第二章. 身体から見た戦争

  第三章. 無残な死、その歴史的背景

  終章.  深く刻まれた「戦争の傷跡」




  第二章では、兵士の体力や栄養などは勿論、心の面も述べられているわけです。恐怖や罪悪感の問題も。その本に記されてあるかは判りませんが、戦場の恐怖で精神障碍を持った元兵士も非常に多くいるわけです。何も日本に限らず、又、第二次世界大戦に限らず。でも、精神障碍者自体が各国共、精神病院などに隔離されていたせいもあり、その実態は全く明らかにされていません。僕が小学、中学、高校で習った歴史の教科書にもそれは載っていません。それゆえ、先生たちも気が付かず、教えられていません。その先生たちも精神障碍者には偏見を持ち、精神病院を「キチガイ病院」と言っていた始末。精神障碍関係の知識がなければ、そうなります。知らない事は恐ろしいわけです。それはともかく、これからは歴史の教科書は勿論、世間でも「戦争による精神障碍の実態」にたくさん目を向けていかなければならないと思います。その分、戦争の恐ろしさが世間に流れ、反戦機運も世界的に出るだろうから。

  第三章の「歴史的背景」。著者は三つ挙げたようです。「異質な軍事思想」、「日本軍の根本的欠陥」、「後発の近代国家(資本主義の後進性)」とありました。確かに、日本と世界の大きな歴史の流れからアジア太平洋戦争も起きました。それを解説しないで、例えば、神風特攻隊とか、原爆投下の問題を論じても中途半端な見方にしかなりませんが、僕の今まで出会ってきた戦争関係の本はそのようなものばかりだったです。だから、僕自身も納得できなかった。やっと大きな歴史の背景を絡めた見方の本に出会いつつあるようです。それで僕自身のアジア太平洋戦争への見方も変わると今から思っています。

  まだ読んでもいない本を紹介する事は確かにおかしいですが、以上の二点からあえて書いたわけです。

  著者も検索してみました。関西には同名のコメディアンもいるようですが、無論、別人ですね。1954年生まれ。僕と同世代です。アジア太平洋戦争の事に強い問題意識をお持ちになり、コツコツ勉強と調査を重ねて、その出版に至ったのでしょう。吉田氏には敬意を表しますが、ただし、そのような見方の本はもっと早くに日本に出て欲しかったと思います。そうすれば、アジア太平洋戦争だけでなく、幕末以後の日本の進路の問題もかなり明らかになり、反省点も出て、更には、戦後の経済中心路線の問題への見方にも強く影響したと思います。僕の従兄弟で思想家の川本兼氏によると、彼は僕よりも約10年年長の、全学連世代ですが、1960年代にはアジア太平洋戦争に強い問題意識を持ち、「日本を再び戦争の道に行かせるな」と思い、その勉強と議論をした当時の若者はたくさんいたそうです。でも、全学連挫折後の1970年以後はそのような元若者たちも声を潜め、社会に関する議論も聞こえなくなり、内向きな会を作る人たちが日本には増えていった。吉田氏や僕よりも10年年長の世代の人が早い時期にアジア太平洋戦争の本を作ってくれたら、日本も、アジアも、世界も変わっていたかもしれない。ひょっとして、中東も。想像したら切りがないですが、まだ中学生だった時の僕は全学連世代の多くの若者たちと交流し、彼らの熱気もよく知っているだけに、その後の彼らの「沈黙」を残念に思うわけです。蛇足ですが、そのような事も思いました。




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