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ケインズ政策の果ての姿

2018-01-18 15:57:31 | 日記
  ケインズとは、20世紀前半に活躍した経済学者である。1883年から1946年。イギリス人。マルクスも指摘していたように、元々古典資本主義の時代は定期的に不景気が訪れて、その都度、大量の失業者を出し、社会不安も招いていた。その事を根拠にマルクスは「解雇された大量の労働者が共産革命を起こすだろう」と予告したわけだが、ケインズは国家財政に目を付けて、「ならば、不景気になりそうな時は国家が財政出動して、何かの公共事業を起こし、企業を助ければいいじゃないか。そのお金は国債という形で、国民から借金して。景気が良くなった時に返せば良い」と述べ、1929年の大恐慌の後に、まずアメリカがその経済学を取り入れて、巨大なダムなどを作る、ニューディール政策を実行し、不況から早く脱した。第二次世界大戦後は自由主義諸国のほとんどの国が取り入れた。日本でも。


  自分の昔話だが、高校の時、経済学の時間に僕は「不景気になったら、(日本の社会は)どうなりますか?」と質問した。そうしたら、先生は「今は不景気にはなりません。そうなりそうならば、国が世間にお金を流し、不景気になる事を防ぐからです」と教えてくれた。1973年だった。確かに、戦後の日本もそのような政策を歴代内閣はしてきている。少なくとも、1929年のような大恐慌は起きていない。日本だけでなく、各国共、国債で。だが、ケインズの時と、その後では根本的に社会や自然条件が違ってきているのだ。ケインズも見通せなかった事がいくつもあった。ケインズの時は人口は無限に増え、エネルギー資源も無限にあると考えられ、環境問題も起きていなかった。本当にそのような状態が永久に続くのならば、ケインズ政策も永久に有効である。でも、石油資源などには限りがある事が判り、二酸化炭素など、環境問題も大切である事が判り、さらに少子高齢化で各国の人口も頭打ちになった。人口はこれからは減少もしていくと言われている。ならば、国債を発行しても、返す時は経済は成長していないか、減退。それゆえ、返せなくなり、返すための国債発行という事の繰り返しに各国はなっている。特に、ヨーロッパではそれが早く訪れたようで、スイスなど、かなりの国がマイナス金利を導入し、国際返還の重荷を軽くしようとしている。まさにケインズも見通せなかった事である。第二次世界大戦前の人だったから、そこまでは見通せなかったわけであり、仕方なかったと思う。又、僕が質問した1973年の日本でも、誰でも今の社会は見通せなかったわけである。

  今の日本の金利0や、ヨーロッパ諸国のマイナス金利は、ケインズ政策の果ての姿である。社会は常に変わるから、経済学でも、政治関係でも、絶えず更新しなければならない。ケインズは20世紀の優れた経済学者であり、敬意は表さなければならないが、それを越える経済学も待たれている所だろう。