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利子の小史・資本主義成立過程の前説明2

2018-01-11 14:09:52 | 日記
  もう一つ、前説明を要する事がある事に気が付いた。利子の問題である。これは西洋と東アジアでは歴史が違っている。西洋(中東・ヨーロッパ・アメリカ)から述べよう。(NHK教育テレビ「欲望の経済史・第一回参考)


  まず、ユダヤ教を信仰する人たち(ユダヤ人)は、ユダヤ教徒同士はお金を貸しても利子は取らなかった。旧約聖書に利子を取り立てる事を禁止した箇所があるから。「申命記」だが。でも、異教徒にはお金を貸したら、利子を取っていた。

  さて、ユダヤ教から出たキリスト教だが、やはり、イエスも利子は否定した。それを受け継いだカトリックも利子は禁止した。中世ヨーロッパではヴァチカンは絶対的な権力を持ち、世俗の経済政策も左右したため、利子なし経済が続いた。でも、ヨーロッパに住むユダヤ教徒たちは、彼らから見て異教徒にあたる多数派のクリスチャンたちに利子を付けてお金を貸し借りして、その利ザヤで儲けていた。経営に失敗した例もあったと思うが、全体的に利ザヤでユダヤ人たちは裕福になっていった。そして、ユダヤ人から借りたお金で事業を起こして、拡大していったヨーロッパ人も中世後半には現れた。資本主義の卵みたいなものである。

  時は経ち、宗教改革。経済方面にも詳しかったカルヴァンが、それまでのカトリックの利子禁止令を「偽善的」だと痛烈に批判し、その教派の人たちも利子付きのお金の貸し借りをした。世間の流れには勝てず、カトリックも次第に利子を認めるようになり、経済活動は活発に行われた。

  その他、造船技術の発達で、遠方まで大量の荷物を運んで行けるようになった事も、利子の件と並んで、資本主義の成立に関わったと僕は思っている。

  以上は西洋の事だが、東アジア地区は、元々利子を禁止するような宗教的な法令はなかった。中国では古くから「華僑」と呼ばれる国際的な商人が活躍していたし、日本もお金の利子付きの貸し借りは元々自由に行なわれていたし、江戸時代の鎖国前までは中国同様、商人が国際的に活躍した。

  利子の面から見ると、東アジアの方がはるかに自由で、中国か朝鮮、又は、日本から資本主義が起こり、商人が封建的な皇帝や国王、将軍などを早く駆逐してもおかしくなかった。それが歴史はそうならなかった。何故だろうか。とにかく、以上の歴史から、資本主義=商業と単純に言えない事は判ると。今日はここまでです。