蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

潮 西国分寺  料理になった肉まん、客の顔がふっくらした

2016-03-27 16:46:00 | 都下


久しぶりに店の写真を撮った。細かなところまで観察すると、ステンドガラス窓や
瓦もデザイン的に凝っていることが見えた。壁の細工なども行き届いている。

500体の仏像彫刻を目指している(ご亭主談)と聞いているが、店の天井の梁柱に
天女が舞い降りていた。
何か心境の変化があったのでしょうか?との問いに、
いえ全くとの返事。さらに、美しい女性でも現れましたか、と追い討ちをかけたが
そんなこともありませんと笑われた。
相変わらず、休みには京都詣でや陶芸に励んでいるとのことでした。


自作天女像
優しい、いい顔している、ほっとする。


筍とあさりのおこわ、
最初におこわが来たのは初めてかもしれない、ふわっとやさしい香りが
届いてきた。天女が舞い降りている。


この日はさしづめ、春の優しさがテーマか、自作の八寸盆の色合いがいい。
手前左が蛸のゼリー寄せ、右が砂肝の玉子寄せ、砂肝と聞いて驚いた。
真ん中左が若筍の木の芽和え、右が雲丹とそば豆腐、雲丹には醤油を含ませ、
蕎麦豆腐の味わいを深くしてあった。上が烏賊の海鼠腸和え。


こんなに品が良くて歯ごたえが柔らかく、味わいのある砂肝は初めて。
玉子の黄身に味を作ってあり、白身も中に少しあった。
発想が凄いし、演出効果もあるのだが、それ以前に食材の美味さを
引き出す技に感服した。焼き鳥屋の定番を料理にしている。
何鳥の砂肝だろうか?と聞こうと考えていたが、後にそれが分かった。

蛸は一口で
味わう、一瞬で無くなるのが残念。


海鼠腸に沈んだ烏賊は一筋、一筋、味わった。赤ワインが舌に馴染む。



あさりのしんじょう、菜花が春を連れてきた。しんじょうの身がぱらぱらと解ける食感が楽しい。




お造りは綺麗なさゆり、
あいなめにはひと仕事が施されている。

湯引きのあいなめ
鮮度が勝負の春魚、こりこりして、春の味わいをくれた。皮身の甘みが
この時期独特の旨みがあった。


ご亭主自ら鍋の采配


東京軍鶏
今日は東京軍鶏か、と前菜の砂肝の品のある美味さを納得した。もしかして、
玉子もそうだったのかもしれない。
東京軍鶏は本軍鶏を何代にもわたって改良したもので、鍋やすきやきに
美味いと言われる。
甘辛いしょうゆ味にざっくりと亭主自ら鍋で炒めて、途中に肉だけを引き上げた。



東京軍鶏と若筍などを鍋でざっくり甘辛いたれで炒める。こりこりした食感が素晴しい。


肉のコリコリした余韻に、今日は歯ごたえのある蕎麦だ。これまで気付かなかったが、
蕎麦も料理の後引きを考えているのかもしれない。


あっ!と目の前に肉まんが出てきて、亭主が悪戯でもしているかのように笑った。
何回も何回も試作を重ねたと、後にこっそりお店の方が知らせてくれた。

皮は柔らかすぎず
固すぎず、肉を噛んだときの食感を壊さないようにしてある。
肉が美味い、舌に旨みが広がった。
これは、料理にしてある、そう思った。でなければ、ここには出てこないだろう。


百合根のモンブラン、これは絶品だ。

イチゴ饅頭。

最後はチーズケーキ、デザートが満載。

コースにはほぼ鍋は付き物になっているが、鍋は火の通し具合がすべてであることが
わかる。肉、野菜、そしてたれやつゆ、具材は季節ごとに鳥であったり、肉であったり
すっぽんであったり、鱧やくえなどの魚であったり、それはすべてご亭主の菜箸と
目で具合を測る事になる。
この日は東京軍鶏に筍、菜花、あいなめなどの春物が膳をにぎわした。
そして、肉まんまで料理にしてしまう、工夫と手間。客は感謝しながら帰路に着いた。


国分寺市西元町2-18-11 042-359-2898 前回の記事
11:30~14:00(土・日・祝15:00)17:00~21:00
定休 火曜日(祝日は営業)


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精鋭七人、切っ先が胸をえぐるか。その夢はどこに向かう

2016-03-18 22:12:55 | その他



奈良一店、大阪二店、東京三店、千葉一店。
特異なキャラクターを持つそば屋が、「夢のコラボ2」と銘打って一堂に会した。
その中の一店の茗荷谷の「はるきや」で蕎麦会が開催された。
昨年の一回目は、奈良「一如庵」、東京「らすとらあだ」、千葉「すず季」の三店だったと聞いていた。
今年は7店とネットワークを広げて、その旨の連絡を奈良から頂いた。
プラチナチケットと聞いたが、予想通り21席は埋まっていた。マスコミ業界の仕事をされている方の顔もちらほら。大阪から駆けつけたという方が2名隣席におられて驚いてしまった。
最近糖質制限中(かなりゆるい)で蕎麦が久しぶりの僕もわくわくしながら、知人と四人と訪問した。



初めて知った、「ぐ-ちょきぱー」は、そばがき専門店。これは思わぬほどの正統派の
そばがきで、後に供されたものを頂いたが、予想外のものだった。
野菜料理の「ろあん」は未訪問だったので、これも楽しみだった。
付け加えると、一如庵とろあん松田はミシュラン一つ星、らすとらあだはミシュラン掲載店。
すず季もたびたび雑誌などに取り上げられ、これだけの店がコラボするのは、滅多に
ないだろう。


各お店の塩、ゲランドの塩まであって、これは酒のあてや蕎麦、料理に。

↓は奈良の一如庵が持ち込んだ自然湧き水の名水で、煮沸消毒してあった。力の入れ具合が半端ではなく、そのもてなしに早くも客からざわざわと声が上がっていた。



前菜の盆、この盆も見事なもので、使い込まれて、色艶がいい。どちらのお店のものか
聞きそびれてしまった。
↓盆の蓋には種付け草という野草で、うども添えられていた。




前菜は「ろあん松田」「一如庵」「すず季」の作。
手前の丹波の野鹿ロースト、野鹿の時雨煮などはろあんのものかもしれない。

↓の原木しいたけの箱寿司は一如庵のものだとわかった。
この箱寿司と出会って、奈良に取材に出かけたのはもう6年前になのだと感慨も
深くなった。一如庵には客としても2度訪問している。



「はるきや」のぶっかけ、福井在来種の完熟と早狩りのブレンド。


酒采盛り合わせ・・・「らすとらあだ」と「山介」の作。
前菜が野菜ものを並べ、これは一転して、ゼリーや葛を使った、とろとろの肴にしてある。
忙しい中、随分、打ち合わせもして、全体を上手く構成した感があった。
カレーのゼリー寄せは、らすとらあだと山介の合作と聞いた。

↓はほたてと蕪の生海苔ソース



小さなそばがきだったが、その食感に驚いた。ぐーちょきぱーの作だ。
とろみが舌にふわふわ落ちて、口中に舞う。次にざらっとしたものが、騒ぐように通り過ぎた。資料を見ると、ぬき実と荒挽きとのブレンドと書いてあった。
粗挽きの誤字ではないかと思ったが、荒と書いたほうが気分がでる。
ブレンドの妙でこのようなものに仕上がるのか。
これはちょっとこれまでに無いそばがきで、感動した。

そばがきは二回供されたが、これは二度目のもの、蕎麦は丸岡産。


ろあん松田のせいろ、祖谷産を基本に三種のブレンドと書いてあった。


「すず季」の炊き合わせ。鰊、筍、蕗をそれぞれ出汁を変えて炊いている。
すず季との出会いはかなり古い。長野の「グリンデル」に投じ蕎麦を食べに出かけ、
そこの店のシェフに紹介してもらってからの付き合いだ。
以来、よく通った思い出が過ぎり、彼の店で蕎麦話を何時間もしていたものだった。


「らすとらあだ」の平打ち。
この肌の滑らかな感触は経験がない、とかく、平打ちはどこか野暮ったくて、もっそり
した感じがするものだが、香りがきて、かつりときて、蕎麦の甘みがよく出る。
ソフィストケーションされていると言った表現が相応しい。言い換えれば古くてモダンなそばになっている。平打ちの可能性を広げるのではないか。
蕎麦は、北海道、秋田をはじめ、福井、富山、徳島などの都合、10種類のブレンド、
これだけの粉を混ぜないとこの味わいと肌合いがでないのか、それとも打ち方なのか、
僕のつたない経験では判断はつかない。

彼との初めての出会いはかなり前で、彼が亀有の有名店を辞してすぐのことだった。
いくつかの店にいて、神田の眠庵に長くいた。
そこで、じっと今の日が来るのを待っていたのだろう。亭主、柳澤さんとそこに来る
良い客にも恵まれたことだろう。
いい店には良い客が来て、それが良い店に育つ。僕もそんな人たちを見れて
幸運だった。

きれいな肌だ
香りが振るい立ってきて、塩、わさび、つゆ、そのままと比べてみた。


デザートにもそばがきがあった。

イベントは2日間、初日が夕方で二日目が昼の開催だった。
初日の蕎麦は、はるきやのぶっかけ、ろあん松田のせいろ、
らすとらあだの平打ち。
後日の午後はすず季のせいろで金砂郷在来種と同じく世代交代種のブレンドで
これは味わってみたいものだった。ほかに一如庵の特徴的なそば、山介は更科粉
に粗挽きをブレンドし、筍のペーストを練りこみ、温かい筍汁の漬け蕎麦。
なんとも実験的なそばだ。普段にそのような蕎麦があれば、糖質制限の合間に
経験したいものだ。
二日両日ともに出席ともいかず、想像だけでも楽しみなものだ。
両日とも出席した知人に二日目の蕎麦の評価を聞こう。

これだけのそば料理を頂けるとは思わなかった。
久しぶりに頭にぐさりと矢が突き刺さったような気がした。同席した
皆さんの胸にも同じように彼らの熱い志が届いたのではないか。そして、
蕎麦の業界にも、一石も二石も投じたのではないか。
全体をプロデュースした方に敬服し、そば屋のご亭主たちに感謝。



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アモローソ 牛込神楽坂  リピーターはその理由をあれこれ、考える

2016-03-14 11:20:00 | 中華・エスニック・欧

今年は二回目、この二年ほどは二ヶ月に一度、訪問している。
6時半の着席と同時にスパークリングが注がれる。
これは、二杯ほど注がれる。そのくらいが適当だ。
ワインはグラスを空にすると、すぐに注いでくれるから危険。最近では
程よい酔いで、電車の乗り過ごしのないような量で、肝臓と相談している。
生ハムが前菜で、二つ目が黒胡麻、これはその時々で変わってくる。


スペインのバルに行くと、骨付きの生ハムから削りだしででてくるが、
アモローソも同じようにそうしてくれる。
削りだすとすぐに酸化が始まって、塩分が濃くなると感じるようになるから、
削りたては、塩と甘みがバランスがよく、舌に絡んで来る。スパークリングはすぐに
生ハムの脂分を流してくれる。


黒胡麻


特別なチーズで、これも特殊な道具で、花弁の形になって、手の上に置かれる。
おそらく1ミリほどの厚みだから、チーズの潮味と僅かな甘みが混ざって
口中に広がった。


スープが来る頃には、白ワイン。
出始めの新たまねぎのスープが甘くて美味い。


白ワインとパン、パンはこんがりと焼いて皿にのってくる。


サーモンとハーブのソース。ハーブはディル。





もう蛍烏賊がでているのか、パスタにたっぷりともってあった。




上は栗、下は自家製の干しトマト。栗には香辛料が入ってピリ辛。






焼き鳥だと笑ってシェフ、レンズ豆のソースがけ。




メインは4種類のチョイス、ほたて、子羊、豚とあったが、子牛のローストを選んだ。

とろけるチーズ。




デザートはチョコレートアイス。

どうして、こんなに熱心なリピーターになったのか、自分でも笑ってしまう。
ワインが好きだから?料理が程よい量で美味しい?小遣いでこれる?
雰囲気がいい?話の合う友達、それに気が合う?
いたずらにプライベートを詮索しないから?
そんな理由を考えながら、電車で次回の予定を画面に入れた。

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