蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

まるやま 代田橋   在来種の威力を味わう

2010-11-29 10:14:02 | 世田谷・杉並・練馬・北・荒川・豊島


「まるやま」の暖簾をくぐると、声が掛かります。彼女の友人たちがいたようです。
昨年の9月頃だろうか、「黒森庵」を訪問したときに、「まるやま」のご亭主ら
3人がやはりテーブルを囲んでいました。
ご亭主に、いつかお店にお伺いしますと、この日になり、
つれづれ蕎麦のyukaさんにご案内をお願いしました。

冬瓜と海老のふくめ煮

その時にやはり顔をあわせた蕎麦好きの方が偶然にもおられます。紹介していただくと、すぐ近くの蕎麦屋のご亭主もおられました。席を隣合わせて、お昼二時からの団欒になりました。
前菜のように肴を3点盛りにしてもらい、「ん」という変わった名前の、青森産だった
ような気がしましたが、さわやかで飲みやすい日本酒からスタートしました。


左、ヤーコンのきんぴら、センター、きのこの柚子胡椒和え、右、山葵漬け

話題は「黒森庵」の再開店になります。もう1年も休業されていたようで、皆さん
お仲間のような間柄のようで、開店祝いの相談もありました。

たっぷりとした玉子焼き
右のワラビが美味かった

田舎とせいろのきのこ漬け汁、せいろは白馬在来で、噛むごとに味が広がる
右の写真は田舎、きのこ漬け汁がいい具合に合います

二時間はたっぷり過ごして、〆の蕎麦を頂きました。
僕はせいろと田舎盛りに、きのこ汁蕎麦、これはyukaさんおすすめの
組み合わせで、しかもつゆはせいろと田舎用の二つも添えられていました。

粗挽き度合いが食感を刺激

せいろは白馬在来種で、これは香りの強いのですが、噛み砕いても
味わいが長持ちして、舌にいつまでも残りました。
在来種では最近「眠庵」でいくつかの在来種がガツーンときた印象がありましたが
これもそれに負けないものでした。
粗挽き度合い、これも舌の食感の感覚的なものですが、とてもよい感じです。

緑色が濃く、香りが高い。
これは僕の記憶だと福井産在来のような気がした

もう一枚せいろを頂きました。これは緑の色が深く上品さが
あり、蕎麦自体の粘りや噛んだ時の割れ方にもいい感じが残ります。
この蕎麦を白馬在来種のあとに出していただいて、比較の妙があって
面白い趣向でした。

細麺だが切り揃えもいい

聞くところによると、ご亭主は3代目で、この代で手打ちに転向されたようです。
4代目は現在和食料理人で、かなりなところで腕を振るっておられるそうです。
新しい代になったら、この蕎麦に料理が加わるのですから、どんな蕎麦屋に
なるか楽しみです。

もう出版されましたが、今年の新ミシュラン版で、蕎麦屋では初めてプリフィクス野菜料理を採り入れた、
西麻布「たじま」が一つ星に入りました。

蕎麦と蕎麦懐石、蕎麦と創作懐石、蕎麦とプリフィクス野菜料理・・・。
蕎麦屋はまだまだ楽しいことになりそうです。


杉並区和泉1-2-3  03-3321-1478 11:30~15:00 / 17:00~21:00   
定休日・木曜、水曜昼のみ 禁煙 



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松翁  猿楽町  蕎麦話で身を洗ってもらう

2010-11-25 16:27:34 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区

蕎麦屋話には「松翁」がいいのではないかと、初めて蕎麦屋酒する人と待ち合わせます。
それまで、2度ほどすれ違いのようなことがあったのですが、
とても楽しみにしていたものでした。
看板が早いからと五時半にしました。ご亭主に聞きたいこともあって少し早めに入って少し質問をしました。
聞きたいこととは、今年の蕎麦の作柄などです。
この日は我々が一番のりです。
連れの方も仕事柄、ご亭主とは知り合いだろうと思っていましたが、案の定でした。

穴子の煮こごり

穴子の煮こごり、卯の花、秋刀魚の煮物など、結構肴はオーダーしたのですが
写真を撮り忘れていました。

話が及んでくるにつれ、連れの方は僕などよりはるかに蕎麦に詳しく、蕎麦屋の経験の数も、その深さも上回っていることが、よく分かってきました。
勢い、僕のほうから質問することが多くなり、聞き取ることで精一杯で、写真どころではなかったのです。少しブロガーであることを放棄しました。
蕎麦のブロガーのことにも話が及びました。自分らの立つ位置も考えさせられた
日でした。

白子の天ぷら
          銀杏
       蓮根

蕎麦や蕎麦屋の現状のことから、いつかその蕎麦屋のありえるべき姿のことになり、やがて最終的にそれを評価する我々の態度のことになります。
どう評価するかは、自分がどんな考え方で接するかが大切なのだと連れに
教えられます。
ついつい、傲慢なものが心の奥底にあるのではないか、と心が洗われるようでした。

並蕎麦(せいろ)と田舎の合い盛り

〆はお互いに並蕎麦と田舎の合い盛りを注文します。
その後に変わり蕎麦を一枚注文してあって、食べることになります。こんなとき
山が4っつあるので1人2山で分けられるので、文字通り山分けで便利です。

紫芽(むらめ)切り

変わりは初めてのもので、職人さんに聞くと、刺身の褄に使われる薬味を練りこんだ「紫芽(むらめ)切り」というものでした。

紫蘇よりは柔らかな香り

紫芽(むらめ)は、紫蘇の若い芽のことで、大葉の双葉の芽を青芽(あおめ)、赤じその双葉の芽を紫芽というらしい。青芽、紫芽ともに刺身の褄や薬味に使われ、紫芽はほのかな紫蘇の香りが特徴です。
色が鮮やかなので刺身の褄に使われますが、効果に殺菌作用があり、胃の浄化
にいいとされています。

この日「紫芽」が入った蕎麦で胃を洗ってもらい、蕎麦話で心を洗っていただきました。


手打蕎麦切 松翁  前回の記事

東京都千代田区猿楽町2-1-7 03-3291-3529
11:30~16:30 17:00~20:00(土)11:30~16:00 定休・ 日、祝
 


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大松 大田市場内  極楽鍋を味わう

2010-11-24 09:56:29 | 和食

大田市場内の大松食堂は、かつては神田にありました。
神田市場の移転とともに大田市場に移って来ました。
もう商いは100年の老舗なのだそうですが、僕は大田市場は初めてで、従って
大松で鍋を食べるのも初めてです。
都内に東京中央卸市場が11あると聞いていますが、経験のあるところは築地だけです。
                    のっけから驚いた。斤目、毛蟹などがどっさり


大松の市場鍋の話は、6月に銀座「湯津上屋」に行ったとき、8月に神楽坂「蕎楽亭」
、先月新潟で、モグたんの口から3度出ていました。
彼女がそこまで言ってるのだからと、3度目には強い興味が湧いて、むしろ
僕の方から行きたいと言い出したのです。

海老は跳ねるから蓋をかぶせる。牡蠣は僕は鍋に入れる前に生で食べた


食材はすべて活魚、活貝です。
海老は、僕は手で殻をとって生で食べる、牡蠣は二つとも生で食べ、鍋に
放り込むのを忘れてしまいます。


金粉がのった真鯛をしゃぶしゃぶで、鴨肉も綺麗な赤身が

3人前をひとつ、ひとつ、しゃぶのように食べていきます。最初は金粉が乗った
真鯛、これも刺身と思ったのですが、ほんの3振りくらい箸で鍋出汁にくぐらせて
ポン酢で頂きます。

白子は、鍋に入れるとクリーム
チーズもような美味しさになる

この日は、僕の知り合いのルー君を誘って4人の鍋囲みです。
鍋の欠点は、食べることにかまけて、なかなか酒までは手が伸びなくなります。
この日の食材の素晴らしさには目を奪われることになりましたから
なおさらでした。

鴨のつみれを落とす

白子、鴨、鴨のつみれ、大ハマグリ、金目鯛などを、女将の指示で、
順番に入れ、食べを繰り返します。

でかい!

途中野菜を入れて鴨肉を浮かべる

食材をごった煮にすることはありません。鍋にその食材の旨みをひとつ、ひとつ
移していくのです。
ごった煮のちゃんこ鍋やすき焼き鍋に慣れた者には多少のまどろっこしさが
最初ありますが、この方が美味しいと理論的に良く分かりますから、
女将のおしゃべりとともに楽しくなります。
市場鍋ではなく、これは極楽鍋と言うべきものです。

最後に山形から直送の手打ち
饂飩、太くて、饂飩とほうとうの中間のような味わい

アンコウ鍋もあり、またとんかつも美味いのだそうです。この日は
3時近くに入ったのですが、昼食にふらっと訪問するのもよいかもしれません。
僕は、この日、マフラーを忘れたので、近く訪問しなくてはいけません。
これも、よい具合に忘れ物をしたものです。(市場鍋、1人5000円・予約)

大松食堂 大田市場内 03-5492-5872
 

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祈年 手打茶寮  麻布  発芽蕎麦は二度目でわかる

2010-11-21 10:57:47 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

「手打ち茶寮」には乃木坂のほうが近いのですが、六本木から行くことになります。
この時期ヒルズのライトアップが楽しみなのです。ヒルズの階段を下りて歩道を渡ると
好きな喫茶店があって、そこで休憩。珈琲というよりは、そこの洋菓子がすきなんです。
喫茶店から西麻布に向かって5分で目的の蕎麦屋に到着します。

この日は夜の蕎麦屋酒をたっぷり楽しみ、二度目の発芽蕎麦を
味わうためにきました。
千葉の鰯の胡麻漬け、自家製の厚揚げなどもらい、ゆるゆると日本酒を
楽しみました。

鰯の胡麻漬け、いい酢加減
厚揚げはカリンカリンでいい
食感、ぼくはどうもこの手の肴に弱くてすぐにオーダーする

亭主は脱サラなのですが、ちょっと変わった経緯で蕎麦屋に転向しました。
会社の勤めに限界のようなものを感じ、自分の人生を見つめ直そうとお遍路さん
になります。四国巡礼をするころ、道に迷い、とある蕎麦屋に入りました。

鴨皮の味噌炒めは
連れにはやや辛味が強い印象だったようです

巡礼者はこれまで出会ったことの無いその蕎麦に心を打たれます。蕎麦屋の亭主にこのような蕎麦を打つにはどうしたらよいか、と訊ねます。
巡礼者から、そんな質問を受けたのは、亭主も多分初めてだったのではないでしょうか。亭主は自分は信州の「おお西」で修行して蕎麦屋を興したと教えます。
巡礼者は発芽蕎麦で名の高い「おお西」に蕎麦打ちを習いに行こうと
決心します。

信州の野沢菜で口直し、蓮根饅頭焼き
は味付けも程よく酒がすすみます


蕎麦は吟醸二色、これは発芽蕎麦と十割水こね更科の合い盛りです。
発芽蕎麦を一口含み、よく噛み砕いてみました。
これは、噛み砕くほど、味わいが広がるのが感じられたからです。
苦味、甘み、その他の複雑な味覚が感じられます。舌に重みのようなもの
があって、味わいが持続します。

吟醸二色盛り

「二度目でやっと、発芽蕎麦の味覚がわかった」
僕は連れにそういいましたが、連れもこれまでの蕎麦とは違う濃くみの
ようなものがあるといいます。

目当ての発芽蕎麦

発芽は水に蕎麦を浸してある程度時間をかけて発芽を待つといいます。
夏などは発芽がしやすいと、発芽が進まないように気を配ります。
発芽が進みすぎると苦味が出すぎてしまうのだそうです。
冬などは発芽しにくく、場合によっては、毛布でくるんで発芽を促すそうです。

十割水捏ね、難易度高い更科

四季、いずれにしても温度と時間管理が大変な作業があります。
きっと、それにより毎回微妙に味わいが変わってくるのではないでしょうか。

きのこ蕎麦は味付けもよく
止まらなくなって、もう一枚お代わり


蕎麦はもう一枚、キノコ蕎麦にしました。
これはさらに一枚蕎麦を追加して、日本酒もお代わりします。

亭主が「おお西」にどうやってもぐりこんだのか、これはまた次回に
聞かないといけません。
蕎麦屋には蕎麦の楽しみと、亭主の人生行路を聞く楽しみもあります。

港区西麻布1-15-9 03-6447-2308
12:00~16:00 18:00~22:00 前回の記事 定休・月曜



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木香 船堀通り  パキパキの蕎麦はどこのにも似ていない

2010-11-17 15:51:54 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区


久しぶりに夜の木香にきました。仮住まいから歩いて1分のところにあります。
近いからもっと行くことになると思ったのですが、お昼のランチで
辛味蕎麦を頂いたきりでした。

トマトとチーズ
大和芋
鶏の燻製

トマトとチーズ、鶏の燻製などを肴に、縁起もの酒猪口で冷酒をやりだします。
常連の3人連れ、家族だと思いますが、彼らも酒をオーダーしたので、
僕も落ち着いて呑むことにしました。


「7年、よくやってきました」前回の亭主の言葉です。
この3年でこの周辺の蕎麦屋で3店が店を閉め、1店が代替わりです。
いま、近くで頑張ってるのは新小岩駅前「旭庵」、江戸川区役所前「やざわ」
江戸川「矢打」、そして、この木香です。
                               鴨漬け汁蕎麦


家族連れは相当な蕎麦好きのようでした。
なかなかいかないような蕎麦屋の名前が出てきては、蕎麦の様子など
語っています。
こんな常連がいるうちは「木香」はまだ大丈夫だと思いました。
蕎麦好きの客が来なくなると、あっという間に手打ち蕎麦屋の客は
枯れてしまいます。

この日の蕎麦は2年ほど前のパキパキの蕎麦に戻りました。
一時期は腰の弾力やしなやかさに工夫を重ねてきたようですが、
また元に戻したようです。
どこにも無い蕎麦が一番だと前に亭主に言ったことがあります。
太さ、歯ごたえで言うと、東京に他に似た蕎麦はありません。
当分この蕎麦で行くのか、次回に聞いてみようと思いました。

生粉打ち蕎麦 木香 江戸川区東小松川2-25-7 
                     11:30~14:00/17:30~21:00  土・日 定休・月曜
          前回の記事


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幸せ三昧 渋谷  若い、新しい勢いを見ました

2010-11-15 16:31:08 | 和食

料理人の笠原氏の店、「賛否両論」に3ヶ月前に行こうとして予約が取れません。
聞くところによると、席数も20席程度で、人気がある上にCPもいいとそうなので、そうなるのは必然かもしれません。

和食の敷居の高さを取り払って、若い人に気軽に日本食の良さを知って
欲しいというのがコンセプトだといいます。
そんなことを聞くにつけ行きたい気持ちになってしまい、つてまでに頼ります。
賛否両論の店主の知り合いに頼んだのですが、やはり相当待つようなので、「幸せ三昧」はどうかと案内されました。

「幸せ三昧」の前菜、胡麻豆腐
和え物に蟹身、菊菜、ゼリー、いくらと芸が細かい

こちらも人気店で、「賛否両論」の一番弟子が独立したと聞いていました。
こちらの主人を良く知る方なので、店に直接出向いて予約を取ってもらって、
席を確保してもらった次第です。その方といつものメンバー3人とで計4人で
した。
お酒も楽しみな銘柄が揃っていました。好きな鳳凰美田、九平次などが
ラインナップされていて、一合とグラスでもいただけるようになっています。

あんきもにからし菜などの
野菜が添えられていて、これも手が込んでいる

胡麻豆腐から始まり、その細かな技術と発想に結構驚きました。
食材のこれまでにないような組み合わせも斬新でした。
アンコウの肝は野菜などにくるまっています。
椀物はあまり聞いたことの無いすり身に牡蠣が隠れていました。


白身のすり身椀、牡蠣が含まれていて楽しい

若い客が多いから出汁味などはもっと濃いものを想像していたのですが、
品があって薄味ですが、濃くが出ていました。

造りは千葉の鯖の炙りなど
褄にも細かい配慮が
さわら焼き
きすと海老芋のフライ

きすのフライは衣を細かく砕いて油を含ませないよう工夫があって、
カロリー過多を気にする僕らにはありがたい。しかも、きすの身がふっくらして
味わいに強いものがありました。

海老摺り流し餡かけ茶碗蒸し
この茶碗蒸しはかなりの逸品でした

〆のご飯は斤目鯛です。鯛めしなどはよくありますが、斤目とは僕は
初めてで、これは鯛よりも甘みがあって、しかもしつこくないものに仕上がっていました。

斤目の蒸しご飯

新潟帰りでいいご飯を食べてきたのですが、負けてなかったです。
一粒も残さず積極的に食べてしまいました。

デザートが二品、ほうじ茶プリンとメロンシャーベットワインゼリー       


このコースが4000円なのですから、予約でいっぱいなのが理解できます。
和食の美味しさを知って欲しい、一番弟子もその意思を継いでいるのでしょうが、
新しい和食界の勢いを感じました。

渋谷区東4-8-1 03-3797-6556 
18:00~24:00・10時以降入店可 定休・日曜



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NAGARA(ながら)   赤坂  亭主の人生の軌跡を嗅ぎにいく

2010-11-12 21:17:06 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

「なるべく目立たないようにやってます」
二度目の訪問の機会に少しお話をする機会があって、そんな言葉を聞きました。
蕎麦を待つ間に亭主の趣味の道具たちを見ているだけで
楽しくなります。自分のこれまでの楽しんできた人生を舞台にしているようにも見えます。
音楽、絵画、映画や演劇、ヨットなど、多彩な趣味を持っていたことが窺えます。
蕎麦屋の舞台はシンプルなほうがいいとおもいますが、このような質の高い
ものが沢山飾るのもいいなと思う。

これまでの生活の軌跡の
一欠けらの小道具があちこち飾られている

この日はこちらに待ち合わせして鴨汁蕎麦にしました。
鴨はしっかり目に焼いてあります。蕎麦を鴨汁にどぼんとつけて食べます。
それにしてもこの鴨汁を創作したひとは偉い人だと思います。

鴨の漬け汁蕎麦、ふっくらした
蕎麦と鴨の焼き汁の旨みが辛汁の中に落とされれている

昭和の30年代に銀座の長寿庵が鴨楠の汁に間違えて浸したところ
美味しいことを発見し、鴨楠汁を漬け汁ように改良を加えて評判になった
と伝聞にあります。失敗や間違いも成功のもとになる見本です。
そもそも鴨と蕎麦を一緒にした人はなんとよい、それも美味しさと健康食の
組み合わせの発見をしたものでしょう。
この相性のよさを越えるものはなかなか現れませんね。

玄の挽きぐるみの新蕎麦

ランチの時間、慌しい外とは違って、「ながら」はゆっくり時間が流れていました。
蕎麦好きな人だけが、ぽつり、ぽつりときます。
赤坂の土地柄それでも若い人の訪問が多く、よい具合に蕎麦好きを
育ててくれてるようです。

ピアノやギターがあり
静かだが、音がしているような空間がある

蕎麦屋としてどう生きていくか、僕はこう生きるよ。そんなメッセージが客の心に届いてきます。
楽しみなさい、質を追いなさい、ゆっくり生きなさい。
蕎麦屋の楽しみは、亭主の人生の匂いを嗅ぐことにもあるようです。


NAGARA 前回の記事
港区赤坂7-6-50 03-3583-7500
11:30~14:00火曜~土曜 18:00~22:00水曜~金曜
定休・月、土曜、日曜、祝



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せきざわ  小布施  謙虚で欲張りな客になる

2010-11-06 09:54:07 | 北陸・信州・房総の旅

二年ぶり3回目の訪問でしたが、6人でくるとは思わなかったものです。
新潟で美味いのど黒と光輝く米を食べて、信州の小布施に回ってきました。
せきざわは、群馬にあるときに3度訪問しています。
群馬時代よりもさらに人気があるのではないでしょうか。
この日も僕らは開店20分前に到着しましたが、日曜とあってすでに10人程度
並んでいて、開店時には20人近くが並び、当然暖簾が上がっても
並んでいる人すべてが入れるわけでもありません。



この週の月曜、東京の人気蕎麦屋の店主達5人がせきざわの蕎麦畑の
刈り取りの手伝いにやってきていました。
蕎麦畑は1町余もあり、手狩りですから1人では刈り取り、脱穀、天日干しや
保管まで1ヶ月ほど掛かります。
せきざわはこの新蕎麦の時期は平日がそのためかお休みですから
客も土日に集中するのでしょう。

せきざわの写真はなかなか
難しく、外光と室内灯とが喧嘩しますから、本来の色合いが出ません。
この時期はもう新蕎麦でしょうか。香りは新蕎麦独特の甘い淡いもので、
蕎麦のよさをそのまま出し切ってありました。


この時期は前菜や蕎麦掻が付いたお任せコースはなく、蕎麦三昧のコースを
全員がお願いしました。
10割、変わり蕎麦、鴨楠のセットです。たしかそれでも1800円ですから
これはお得です。

胡麻きり

変わり蕎麦は胡麻きりでした。
胡麻の香りがふっとたちますが、口に含むと蕎麦の香りも味もあり、
蕎麦が胡麻を包んでいるといった味わいで、蕎麦が胡麻に負けていないのです。
せきざわの更科は十割です。更科は蕎麦の芯のでんぷん質で造りますから、つなぎを入れないとなかなかつながらないとされ、僕らが習ったころは2割、3割りの小麦を入れるのが常識とされていました。
加水はお湯ですから、そのお湯で糊のようにこね回すのですから、香りは
無くなる、と教えられました。
変わり蕎麦はその更科に色々な素材を混入させます。蕎麦の香りが無くてよい
とされていますから、混入する素材に支配されてもよいとされました。

胡麻の粒が細い更科に

常識は覆されるためにあります。更科が香りがあり、十割も可能になった
のは蕎麦の保存状態に格段の進歩があったのと、良い蕎麦の追求、いし臼の進化もあり、様々な要素があったからです。
十割蕎麦、粗挽きそば、2種盛り蕎麦、利き臼蕎麦、亭主たちがどんどん
前に進んでいきます。せきざわに手伝いに来た亭主たちはその旗振り役です。

蕎麦好きはそれだけに欲張りになり、わがままになっているかもしれません。
客と亭主の追いかけっこも大事なことです。どちらが止まっても、どちらが傲慢に
なってもいけないでしょう。
謙虚で欲張りな客を目指ししたいものです。

レアな鴨、鴨の肉汁が僅かに
溶け、甘みが入り、葱も少しの存在感を示しています


鴨なんは汁もふくよかで飲みきります。鴨肉が赤みを残して椀の中にあり
それだけで美味いとイメージさせます。
葱の甘みなども特筆ものです。

せきざわの是非ものは
このむらくも。デザートにブランデーをかけていただきます

我々が食べ終わる頃、12時半で蕎麦は打ち止めになり、あとから来る客の
溜息が外から聞こえるようでした。
自分らのペースで蕎麦屋をやる。そのために信州に来たわけですから、
我々もそのペースに合わせるしかないありません。
二年前に比べると、女将の笑顔が目を引きました。それだけ余裕ができたということ
でしょうか。そして、僕も違ったところに目がいくようになったということでしょうか。

せきざわ 前回の記事
長野県上高井郡小布施町中松872番地9 026-247-5652
11:30~14:30
17:30~19:30 定休・火曜(夜の部)、水曜


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豪農の館と 十割手打ち蕎麦 天手古舞(てんてこまい)

2010-11-02 21:32:55 | 北陸・信州・房総の旅



新潟に豪農の館があります。
戦後に遺構保存のために、「北方文化博物館」という名で寄付されたものです。
この館は越後随一の巨万の富を築いた伊藤家のものでした。
明治には1370余町歩の田畑を保有したとあります。1町の長さは100メートル強
ですが、想像してもピンとこないかもしれません。
米の生産高が3万俵、1俵が60キロですから、1800トンあった勘定です。
運ぶには4トントラックで450台分ですから、この計算だとそのスケールがよく分かります。
豪農の館内には最盛期、部屋数は200余り、使用人だけでも60人いたといいます。案内員の方に説明を受けたのですが、余りにもスケールが大きすぎて、
実感がわきません。また、その文化収集活動としても一級品が並び、新潟の奥の
深さを感じました。

敷地内に手打ち蕎麦屋が

今は観光名所となり、敷地内には手打ち蕎麦屋があります。
10割蕎麦・天手古舞(てんてこまい)という変わった名前です。朝ご飯に
握り飯と浜焼きを食べたものの、蕎麦は別腹です。お昼にはしっかりお腹が
減っていました。
朝には弥彦パノラマタワーカーブドッチワイナリーと二箇所回ってきています。
新潟にヨーロッパ種で造る本格的なワイナリーがあるとは驚きでした。
特にここは ワイン醸造所の他、ワインショップ、レストラン、ソーセージ工房、多目的ホール、温泉スパ、ホテルもあり、将来新潟の観光産業の発信地にもなるのではないでしょうか。詳しくはモグたんのブログで。

蕎麦掻の天ぷらと十割

全員がこの日は蕎麦掻の天ぷらと十割蕎麦でした。
蕎麦の十割は売り切れのないよう、これはモグたんが予約済みでした。
旅の蕎麦は量がたっぷりあります。東京の大盛りくらいは楽にあります。

細めの麺体、十割ながら
口当たりに粘りがあり、粉も微粉と40メッシュクラスの中微粉がブレンド
されていて、ざらりとした食感がありました。香りがもう少し欲しいかな、
との欲もありました。下は蕎麦掻の天ぷら



観光地内の手打ち蕎麦屋としてはかなりの蕎麦だと思います。
客は努力なしでも入るところは手抜きが見えてしまうのですが、
蕎麦粉もよく、蕎麦の切り揃えも整っていて、お店の姿勢が良く分かりました。
もう一盛り欲しいくらいでしたが、夕方の宿の食事を考えてセーブします。
天手古舞 新潟県新潟市江南区沢海2丁目15-25  025-385-5975 )




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炭と灰と砂の力 浜焼き片手にお握りを4個食らう

2010-11-01 17:53:45 | 北陸・信州・房総の旅
朝ごはんに趣向がありました。
本物の浜焼きを食べよう、と、それも海浜の見晴らしの良い場所で。
宿にお握りと味噌汁を作って貰うという、贅沢なものでした。

石井鮮魚店

浜焼きの店は海浜の砂の上に炭を積んで焼きます。
観光地の店の浜焼きは名前はそうですが、レンガ積みの上に網を渡して
焼いたものです。
こちらでは、ブロックに浜砂で大きな囲炉裏を作ってあります。
しかも、炭は何段にも積み重ねてあります。串に刺した魚の高さ近くにまで
炭を高くしてあります。炭は赤く燃えていました。

炭を何ブロックにも積み上げる

炭焼きの美味さは、それは焼き鳥にもよく言われますが、遠火の
強火で炭の真っ赤に燃えた火が有効だからです。
さらに、もう一つ大きな効果は遠赤外線です。遠赤外線は電磁波です。
電磁波は空気を媒介せず、ものに伝わります。ものに対する浸透度が
早いのです。表面だけ焦がしがちなガスなどとは違い、肉などの芯にはやく
伝わり、ジューシーな仕上がりにします。
ここに、さらに砂浜の輻射熱が吹き上がり、コンガリとするのですから、
浜焼きの美味しさは3倍になります。
ちなみに炭が焼けると灰が炭を覆い、その灰に含まれる酸化物が遠赤外線を
照射します。

燃え加減を見て移していく

何段にも無駄に思われるくらいの沢山の炭を積み重ねるのは、
経験上その方が美味しくなると分かっているからでしょう。灰の力は恐るべしです。
焼き鳥のように上に網で焼かないのは、時間が掛かるせいかもしれません。
焼き鳥は肉の脂が落ち、それが燻り効果になるのですが、魚の場合は
時間が掛かるので燻りをあまり強くしたくない知恵かもしれません。

旅館で握ってもらった

僕は赤魚、他の人は烏賊、鯖などを一本ずつ買って海浜に持ち込みます。
食い意地の張った僕はその他に自家製の揚げたてさつま揚げをゲットして
皆さんと分かち合いました。

前は僕の赤魚、左に鯖、烏賊
の横には揚げたてのさつま揚げ。もちろん分けていただく。お握りを4個
も食べた豪の者がいた。僕ではありません、お昼の蕎麦に腹は八分(嘘)

いや、本当に美味かった。分けていただいた鯖が最高でした。
朝からお握り4個を食べた豪の者がいましたが、新潟の米の美味さも
強調しておきます。
さて、お昼は蕎麦です。


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