蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

とお山 日暮里  本陣房の相似形

2008-10-29 11:24:00 | 世田谷・杉並・練馬・北・荒川・豊島

日暮里の北口と東口はまるで表情が違う。
北口には神社を中心とした昔風の風情があり、ここから谷中へ、根津へ回るとそれは多少の江戸の情緒が楽しめることになる。
その神社の横あたりには、「川むら」があって、その蕎麦屋はどちらかといえば下町の人懐こい雰囲気がある。
東口、西口は再開発が進んで、これは反対にビルが並んでいる。



「とお山」はその東口にあって、手打ち蕎麦屋の一期ブームの頃によく見る蕎麦屋です。民芸モダンの古式調の造作で、やや違和感のあるジャズが流れているのも当時の流行を彷彿させる。
第一期ブームでいうと東京近郊では三合庵の開店した頃がそのピークで、それ以前とそれ以後の蕎麦屋の形態を見てみると面白い。
三合庵が2000年開店で眠庵が2005年開店、それからこの3年ほどで新しい店が出揃ってきた。
三合庵以前では松翁、吟八亭など、ガラッとそれを境に蕎麦屋のイメージが違っている。
2000年は丁度脱サラの境目も象徴している。新橋「辻そば」九段「大川や」銀座「成富」がそうです。

秋野菜の天ぷら
紫芋と秋しめじなど

しかし、ここ3年になると蕎麦屋修行組みの若手が増えてきている。麻布「たじま」、上石神井「菊谷」、神奈川「くりはら」などまだ30代半ばの若さだ。
若いといえば、豪徳寺「あめこや」、銀座「湯津上屋」もまだ30代前半です。
あめこやは自己流、湯津上屋は修行だが、共通しているのが蕎麦屋に対してのコンセプトがはっきりしていて独特だ。これは見てもらって感じてもらうしか仕方ありません。
今名前を上げた店はそれぞれ固定フアンがいて、それぞれ明快な店作りのポジショニングが存在している。もっともポジショニングが明快だからフアンが出来たというべきでしょう。
ポジショニングは、僕の本の最終ページに蕎麦屋マップを分析してありますので、詳しく知りたい方はそれを参照してください。

芥子(けし)きり
           せいろ
                 田舎                         
かなり脱線してしまいましたが、こちらの3色蕎麦を見たときは、本陣房の出身とすぐわかりました。むしろ、本陣房の支店ではないかと、メモ帳を確認してしまった。
ただ本陣房ほど田舎とせいろに差が無い。本陣房の田舎はもっと太くて噛み応えがあって、ごつごつした感じです。
特徴的なのはつゆ。酸味が中心になっていて、日本酒、ワインビネガーで濃くみを出しています。ただつゆの酸味は、返しなどの調子や出汁の出具合で強く出ることがあるので、この時がそうであったのかもしれない。

メニューも構成はほぼ本陣房に近い。このようなスタイルの店の客は一定は存在しているのでしょう。それは、前回にアップした内容と重複しますので避けます。
この店の2号店は同じく日暮里西口のビルに「遠山」として最近開店したようです。
客とすれば、この他もう2店ほど、このあたりに手打ち蕎麦屋があれば選択の幅があってうれしいのだが。

 とお山 荒川区東日暮里6-60-10
 03-3806-1881 11:00~15:00 17:00~22:00 定休・日曜、祝


『こだわり蕎麦屋の始め方

NIKKEINET 日経WAgaMAga記事連載中・働く(起業)
ダイヤモンド社刊(
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著作・鎌 富志治(かま としはる)・夢ハ
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かとう 築地市場内  定食のフルコース     

2008-10-26 18:16:54 | 和食

やっと彼との約束が果たせた。
前々から何かの時に築地市場の場内にと、ルー君に頼まれていた。朝8時半に地下鉄の出口で待ち合わせして、場内にはいる。
行列でびっしりの寿司屋などがある長屋のような食品街を抜けて、真っ直ぐに魚市場の仲買場内に向かう。プロが出入りする通路を抜けて、彼が1人で来れるように分かりやすく説明する。



場内は第一大通路から第七大通路まであり、そこを区切るように碁盤の目のように仕切られ、お店がおよそ500店はある。バブルの全盛期はもっとあったように聞いていて一仕切りの店棚の保証金が一千万とも2千万とも言われたものです。
それは、いまや前の話で今は保証金は10分の一程度で、景気後退で抜けた店穴は埋まらないそうなのです。
それでも中に入ると活気があって、特に土曜は外人客や我々素人客が多い。その分プロが少ないのが寂しい。



店にはそれぞれ特徴があって、鮪専門、海老専門、穴子や鰻などの特徴のある店が核をなしています。多品種の店でも生もの、乾物、惣菜中心などの店も多くあり、じっくり見ようとすれば、時間がいくらあっても足りません。
しかし、お店の仕舞いは早く、鮪や生ものの専門店は9時を回ると水をまき始めています。土曜の朝はアマチェア相手の店はそれでも10時くらいまで開店していますが、我々の買い物は9時前後がプロの邪魔にならなくていいと思います。

僕等は四大通路の丸正で銀だらと時鮭(秋鮭)の西京漬け、一大通路の伊藤支店で前菜懐石惣菜を手に入れた。帆立が欲しかったので、5年もの剥き身を安く仕入れ、浜名湖の生海苔をそれぞれ3パック。彼が○特が4個も付いた生毛蟹を買った。ゆで方は僕が「かとう」で入念に教えた。


左からほうぼう、右上はヒラメ、下が黒ムツ    ほうぼうの厚切り

ほうぼう、ひらめ、黒ムツの三点盛りを二人ともオーダーした。「かとう」で彼が刺身をチョイスして一度は食べてみたいと言っていたことが実現した。
それは、普通に頼めばいいのだが、気後れして定食や、刺身盛りしか食べた事が無いそうだ。
この日は、ぶり、かんぱちも魅力的だったが、いくら二人でもここの切り身は大きいからこのくらいにした。

酒に付く塩辛が格別

ビールを二本頼んだら、
“大瓶よ”と言ってくれて、“とりあえず一本”と訂正したのだが、
結局はビールはその後追加してしまう。
この日は初めて、こむこむさんがいつも頼むという野菜煮3点盛りをもらった。
「あっ!」と彼が呻く。
「塩辛は残しておくのが作法でしたね」少し大袈裟な言い方だが、塩辛は半分ほど残しておいて定食のご飯に掛ける。あまりの美味しさに彼が全部食べていた。


とり貝刺身                      野菜煮3点盛り

さすが土曜です。9時半過ぎになると、かとうにも人が寄せて並び始めていた。寿司屋と違ってここは開店が早いから、流れがスムースです。
それに我々のように朝からビールで一杯という客はいないから定食客が食べるとそくさくと勘定を払って買える。
だが、その流れを気にせず、ビールを楽しみ、刺身を味わい、野菜煮を食べながら、今日の魚獲の戦果を讃えあう。

広田湾産牡蠣フライ

牡蠣は結局散々考えてシェアする方向にした。
僕は牡蠣豆腐、彼は牡蠣フライ。僕はその牡蠣フライを二つ貰ったが、こんなに牡蠣フライが美味いとは気がつかなかった。フライを噛んだときの牡蠣の甘みが口に流れ込んできた時には思わず、もっと牡蠣フライを食べたいと彼の皿のフライの数を勘定した。
昨年の今頃もここで広田湾産の牡蠣フライを食べたような気がしたが、その時はどうだったのだろうか。

牡蠣豆腐

「ア!、美味い」
僕の牡蠣豆腐を摘んだ彼が今度は言う番になった。牡蠣豆腐の中の豆腐も出汁味が滲みている。ボイルした牡蠣もフライにした牡蠣もいい。フライの揚げのタイミングや牡蠣の茹で加減が抜群です。価格も手頃、食材の質もいい、技術も上手。定食屋の鏡のような店です。
この日はお刺身、野菜煮、定食セット、これはかとうのランチフルコースのようなものでしょう。

大きな牡蠣、よい煮加減

場内で知り合いの店を回ったのだが、一様に景気が悪いという。特に平日に客が少ないという。
この日、産地名が北米やヨーロッパものが目に付きます。中国や北朝鮮からの脱皮が進み始めています。築地も大きな曲がり角に来ている。
それは日本の経済そのものの曲がり角と同じです。食の自給率に余りにも無関心だった日本人そのものを象徴しています。それは政治がどうの国がどうのではない気がする。その政治や国の政策を選んできたのは我々個人だからです。

さらに言えば、今はメーカーの送り手側の課題が、今度は我々受けて側の課題になるでしょう。企業や官公庁が外注している社・公食堂の経営グループ、チェーン展開している飲食産業陣の食材の補給路は依然中国が主力です。その低価格と手軽さをいまだに享受しようとしているのは我々です。

量と質と安全と価格、食にはこのいくつもの要素が絡まっているから厄介です。どこに比重を移すか、その痛みどころを我々が選択しなければいけない時代になりました。
かとうの魚を食べながらこの日は、僕も大きな反省材料を貰って帰りました。

かとう 築地市場内 前回の記事

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銀杏 西大島  イバラの道の案内者

2008-10-24 21:43:39 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区

昨年の冬の時期にも銀杏で牡蠣そばを食べていた。
牡蠣のたっぷりとした大きさに、思わず頬が緩んでしまう。

平日お昼13時過ぎに、一階が満席で、2階の小上がりに案内された。
2回は大テーブルで10人は一緒に座れる。おりしも同窓会のような年配のグループが4人入っていて、少しお酒が入っている。せっかくだから僕もビールの一本は許されるだろう。
丁度入れ替わり時間で多少余裕ができてご亭主と他店の話などをする。
元々、根が外交的な人だから、蕎麦屋さんとも親交があって、僕とも共通の知り合いの話だとか、蕎麦の収穫、製粉所の話などが話題になる。


付きだしは牡蠣の煮ころがし

牡蠣そばを頂く時は、まず牡蠣をひとつ摘み上げる。口に放り込む。牡蠣の身がつぶれるときのジューシーな肉汁を味わいます。
牡蠣は今は市場で血統証のような証明証が付いてきます。そこには産地と取引市場と日付、洗浄物か、大腸菌など雑菌の安全度などが書かれています。

少し、蒸されたようなレアな牡蠣でした。すぐに汁を椀ごともって直接口に流しました。木杓子が付いて、それですくって飲むようになっていますが、僕はそれを最後まで使うことはありません。



途中、まだ20代半ばくらいの女性をご亭主から紹介されました。
高名な蕎麦屋さんのフロアに3年おられた方ですが、今度は銀杏の厨房に志願されたようです。
「イバラの道を歩こうという娘です」
婚約者と共に別々に修行を重ねて蕎麦屋を開こうとしているのです。
「大変な道を歩くんですね」
そんなことを言ってもそれは今は耳に残らないでしょう。
蕎麦屋を開きたいという考えにとりつかれたら、それはもう走るだけです。
蕎麦がイバラの道に案内してしまったわけです。

ただ精一杯貪欲に学び、技術を盗み、悩み、他の世界を見るだけです。
ここには厨房に銀杏の料理を創りだした女将さんがいます。よいところに修行に入ったと思いました。



最初の一口で牡蠣蕎麦の出汁が変わっていることに気づきました。昨年よりは醤油の配分が減り、出汁味を強調して、まろやかになっています。もしかして醤油が変わったかもしれません。ふ~、と溜息をついて一気に喉に流す。
汁が変わったね、とは言いませんでした。それは当たり前のことで日々常ならずが、よい店の証拠です。
カランカランに飲み干して席を立ちます。

「これから銀杏さんで修行をします」
帰り彼女が僕の目を見てお辞儀する。高名なお店で3年フロアに立ってきただけのことがあって、きちんと挨拶ができます。
彼女の成長もそうだが、お店にも彼女が教わってきたものを残してもらいたいと思う。1人入ることでお店もまたよい影響が出ればしめたものです。
人は年々変わり、店も年々変わる。それが客の楽しみになる。

銀杏  東京都江東区大島2-15 03-3681-9962
          11:30~14:30(ラストオーダー)17:30~21:00(ラストオーダー)                                     定休日 毎週月・毎月第四火 前回の記事 

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本陣房本店 新橋  コンマの差が道を拓く

2008-10-22 10:20:31 | 銀座・新橋・芝・築地・港区・中央区・墨田
旧いビルの中でひと際新しいお店があります。
本陣房本店は、新橋1号ビル、旧館の1階にあります。僕等がかつて通った本店は虎ノ門近くにあって今は新橋店と名を変えている。
最近御徒町にも開店して総計10店舗になった。手打ち蕎麦屋のチェーン展開という稀なケースで、このビジネスモデルは日本の和食系が参考になるものだと思います。

穴子天二色蕎麦

10店の系列で名前が同じものはひとつもありません。手打ち蕎麦屋に同じ名前があっても仕方が無いと考えたところが異色な発想です。
松玄3店は同じ名です。川上庵も同じ。黒澤は迷いながらも同じような名です。
本陣房出身で「大川や」の新店も「蕎介」と、別の名前を選んでいるのも、これは何かを見習っているのだろうか。
カリカリに揚げた穴子

お昼遅い時間だったので空いていた。オーダーを取る新人にベテラン花番さんが教えながら見守っている。客が居ないときには絶好のトレーニングの時間だ。
天ぷらは穴子にした。若い花番さんがてきぱきしている。後から来た客3組も全て若い花番がオーダーを取る。厨房に近い暖簾の奥で古参花番さんが細かい点を指図している。厨房の中の職人教育もおよそ想像できて、お店を増やす人材の輩出がうかがい知れる。
最初は柚子きり

柚子きりは香りが高い。変わり蕎麦と、中細のせいろ、太い田舎の変化技の3色蕎麦を商いのベースにのせたのが本陣房の成功の始まりです。
見計らいがそれに拍車を掛けた。

太い田舎蕎麦が柚子きりを食べ終わった頃に花番さんが運んでくる。
客が遅い場合は食べかけを上に積む。僕はこの日は二色蕎麦です。穴子の大きな天ぷらがあるから、これが丁度いいくらいでした。

食べ終わると太い田舎が

僕が蕎麦にのめりこんだ頃、本陣房本店では、かなりタイミングよく三色蕎麦を運んできた。それは惚れ惚れとした間でした。
ビジネスでもそうだが、優れたアイデアや差別化の道具は本当に微妙な差です。
言ってみれば、その0.3秒くらいの、コンマの差が天と地の開きを生みます。



店の手間を考えたら、3色をいっぺんに盛り込んだ方が効率的です。一茶庵はそれで名を上げました。その芸術的な蕎麦打ちの技術を一膳に表現しました。
物事を店から見るか、客から見るかでまったく逆の事が現れることがあります。
本陣房の始まりはテーブルで待つ客の顔をひたすら見てきたわけです。

今後はその三色蕎麦がどう生き生きと客に迫るか、それを考えて行かないとどこかで道が閉ざされます。広げる事と深化する事は同時に行われないとそれはまた生命力を失います。

本陣房 本店 港区新橋2-20-15 駅前ビル1号館
             03-3574-6667 11:30~22:00 休・日、祝

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新蕎麦の顔 表情がみんな違う それが楽しい

2008-10-19 17:39:14 | ランチ

新蕎麦の張り紙がある。
この季節は蕎麦屋が活気付いている気がするのは僕だけでは無いでしょう。
都電の線路のある駅のロータリーを渡ると、岩舟も新蕎麦になっていました。
この日は13時くらいに入ったのですが、客の切れ目がありません。やはり新蕎麦を求めにみなさん心が騒ぐのでしょう。



蕎麦は北海道だそうです。きたわせ品種のそよぐような香りが立ちます。こしはほどほどでややプリンとした歯応えで、喉越しがいいですね。
食べている間に都電がロータリーを走るのが窓から2度ほど見えました。
そのいにしえに帰る風景が岩舟のご馳走になっています。
岩舟  東京都豊島区南大塚3-53-9 03-3987-9266                            12:00~15:00 18:00~22:00 
            定休日・日曜日・第2・4月曜日 前回の記事


山どりという、新店が開店した。ここは8月くらいまでは「日和」という名だったが、ここ最近改装オープンした。
テーブル席が6席ほどあって夜はビジネスマンを中心にして蕎麦屋酒を楽しむスタイルの店になっています。メニューはかなり変えたようだ。それまでは居酒屋に近い料理メニューが揃っていたが、今回を機に料理を絞り、お昼のメニューもランチ仕様にしたようだ。

        
    

連れは天せいろ。僕は鴨つけ汁にした。こちらも北海道産でやや黒味が入った蕎麦です。蕎麦の香りがしてなかなかせいろはよい蕎麦でした。
直ぐ後に「清山」があり、前には「聞弦坊」がある。このメニュー改定などはその2店や周りの料理屋などを意識してのものだろうが、それがどう転ぶか見ものです。
山どり 渋谷区宇田川町42-15 03-5458-5058


山どりから歩いて2分。「聞弦坊」はカウンターがメインで1人、2人と気軽に寄れる蕎麦屋です。夜はこのあたりのスーツ組みを取っていくようなメニュー構成になっていて、お昼はご飯と蕎麦のセットメニューが中心になっています。
もちろんここも新蕎麦です。僕はつけとろ蕎麦を注文。


         
連れはキノコ蕎麦を注文します。こちらは温蕎麦が正解です。蕎麦はこしで食べさせるものになっていて、近くの「清山」と「山どり」の蕎麦とはあきらかに違います。
聞弦坊 渋谷区神山町11-17  03-5478-1157 11:30~15:00 / 18:00~22:30
            月曜定休 前回の記事


「まつや」のせいろを食べるのは久しぶりです。新蕎麦の張り紙に敬意を表しました。
まつやのつなぎには鶏卵が使われています。小麦だけのつなぎとは、食感がちがって、少しぷりぷり感があり、蕎麦に甘みが含まれる気がします。


             
温蕎麦になるとこれが威力を増してへタレがなく、関東の辛い汁とよく合います。
この日は念願のカレー蕎麦を重ねて注文しました。



蕎麦屋のカレーの王道のようなルーです。インドやタイのルーを真似ていません。
巣鴨の古奈屋のカレールーのようにこったものでもありません。
ルーの中にやわらかい甘い鶏肉が沢山入っています。
神田 まつや
千代田区神田須田町1-13 03-3251-1556                               11:00~20:00(土11:00~19:00)  定休日 日・祝 前回の記事

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あめこや 豪徳寺  光の恵みを浴びた蕎麦

2008-10-17 09:37:23 | 世田谷・杉並・練馬・北・荒川・豊島



「あめこや」に久しぶりに来ていた。
この日は時間が余り無く、大急ぎで注文をした。
ジャコの豆腐かけやタラバ蟹のとも合えなどをオーダーする。酒は飛露喜の2種利き酒にしてもらう。どちらを飲んでいるかわかるように女将さんがメモを張ってくれる。
連れの親戚がこの店を気に入っている。

タラバ蟹ともあえ

タラバのともあえは大塚のくうで食べたのを憶えていてすぐに反応した。とも合えは味噌がよい味をしていて、これは仕舞いのほうにもう一度お代わりをしたぐらいです。
特別純米と吟醸を交互にのんで肴をつつく。

豆腐じゃこサラダ

女将さんに何か酒をと聞くと珍しい名前のものを出してくれる。見ると石川県のもので、これはUFOと遊穂をかけてある。石川の海浜の未確認物体はマニアが集まるくらいの有名な場所だ。

遊びの酒だと思ったが、
酸味と甘みが効いててスッキリした好みの酒でした。

見たという人もいるし、あれこそ未確認だという人もいるから、真偽は定かでない。隣県に住む彼にその話を聞くと、子供の頃はそのような物体を見るもので大人になると目が曇って見えなくなるという。それでいくと僕などは子供の頃から目が曇っていたのだろうか。

「俺などは今になって目が晴れてきた」
「それは年を取って無邪気になっただけでしょう」僕がからかう。
彼がこの蕎麦屋にもういつ来れるかわからないからと、矢継ぎ早に肴と酒を注文する。


鳳凰美田と澤の花、どうやら女将さんの好みはこのあたりだ

女将さんはまだ30歳に届かない年齢だが酒に詳しい。
「私のは偏っています」
それは、自分の好みが強くあってその種の酒を選択してしまうということだろうが、それはそれではっきりしていていいと思う。
確かご亭主の実家は酒蔵だったような気がしたが、その関係で結ばれていれば酒に強い趣向があるのはもっともだ。

北海道産新蕎麦

さて、蕎麦は2種盛りです。最初が北海道です。新蕎麦の香りがして、あめこや独特の腰の粘りがある。
二枚目は富山産。これが圧倒的な香りがある。樹液のみずみずしい芳香が鼻腔を強くくすぐる。最初に訪問した時に頂いた徳島産の手狩り天日干しに負けない蕎麦です。
これは、多分天日干しなのではないでしょうか。


蓮根饅頭揚げ、海葡萄添え煮茄子とやりイカ。こんな小品が美味い

僕は厨房を覗いたことは無いが、蕎麦の茹でと盛りにひと工夫あるのではないかと思っている。ただ、そのことは僕は聞かないし、アレコレ想像していたほうが楽しいかもしれない。
前は粉仕入で、電動石臼を入れたのはここ暫らく前なのだという。蕎麦屋なら誰もが知っているメーカーで安定した蕎麦粉を生みだす機械です。



蕎麦の持って生まれたもの以上の蕎麦は打てない。という事は、誰もが知っている。いい蕎麦を仕入れて、その蕎麦の持ちうる全てを表現させてやるのが、蕎麦屋のつとめだし、醍醐味です。だが、毎日の商いでそれを継続するのは並大抵ではない。
眠庵が全国に蕎麦を求め歩いているマインドに敬服するし、このご亭主の気持ちもそこにあるのだろう。
この日も予約で一杯だった。客はそんなこととは無関係にこの店に来るのだが、亭主の思いはなんとなく感覚的に伝わっているのではないか。
それが客というものだと思う。

AMECOYA(あめこや)前回の記事
世田谷区豪徳寺1-46-14 03-3439-3602 17:00~23:00
定休・月曜、第一火曜

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鹿火矢 新橋  日本人の食卓のまんま  

2008-10-15 09:27:12 | 和食

ルー君がかなり前から茶漬け屋に行きたがっていた。
僕が知っている茶漬け屋はこの「鹿火矢」くらいしか知らない。それも最後に入ったのは15年ほど前だから、今の場所の店舗ではない。以前はニュー新橋ビルの向かい側の角の古い建物の2階にあった。その頃は飲み歩いた最後の店で、小腹が空いて寄って、最終電車で帰るような店だった。

鹿火屋の存在をすっかり忘れていたのだが、2年ほど前に偶然蕎麦屋に入ろうとして、その隣に移転していた鹿火矢を見つけた。それからもすっかり忘れていたのだが、このところルー君が茶漬け屋に行きたいと言い出していて今回行くことになった。

左が鰯、右がうまづら。うまづらがコリコリして美味い。肴はこのほか、馬肉、里芋
焼き魚、炒め物、煮ものなどあって、3人で沢山食べた。

6時半に3人が口開けの客になった。個室に近い仕切りのある席が二つほどあり、前の店よりは料理屋に近いイメージになっている。思ったよりは料理が豊富にあって酒が飲めるスタイルにしてある。
茶漬けのメニューは30種類以上はあって、茶漬け専門店としては健在だ。かなり肴を食べて日本酒などを飲んで最後に茶漬けになった。
1人は、珍しいからと「くさや」、彼はスタンダードに「鮭」、僕は「タラコ焼き」です。

しゃけ茶漬け

酒の〆には普段は蕎麦ですが、この日は茶漬け。蕎麦と違うのはどうも即物的で腹を満たすだけと感じるのは僕だけでしょうか。たしかに美味しい事には違いなにのですが色っぽくない。

焼きタラコ茶漬け

ただ、茶漬け屋はあってもいいかな?、という店の範囲だそうです。あってもいいかなという店では、後はお握り屋なんかそうだし、お好み焼きは昔はそうだったが市民権を得たんでしょうか。神戸では沢山ある明石焼きがそうだったんですが、関東では定着しなかったですね。
日本人は普段の食卓の中から、こうやって飲食業にまでお店を展開してきてますね。普通に横にあって楽しめるものが業態として残っていくものなのでしょう。
そんな意味では蕎麦屋は江戸時代から変節はあったけど、素晴らしい業態のひとつではないでしょうか。

自分の中の欲しい店の、そんなイメージを膨らませていくと、個人店の業態の新しい店が発想できそうですね。まだ、まだチェーン店には負けないお店が出てくることを期待したいですね。

くさや茶漬け

「臭みが飛んでくる」
閉口したのはくさやの匂いが強い。テーブル一杯に独特の臭みが立ち込めるのだから茶漬けの乙加減が死んでしまった。熱い湯に浸かったからさらに匂いが拡散してしまうのではないか。

「くさやは1人の時か」
これは、対面の彼が大反省しました。30種類以上も茶漬けの種があるのだから、異端もある。まさに日本人の食卓がここにありました。

お茶漬け専門店 鹿火矢 (かびや)
港区新橋2-9-13 03-3591-8042 / 定休:土曜・日曜・祝日
11:15〜15:00・17:00 〜 23:00

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竹やぶ 六本木  店が座の主役になる

2008-10-13 16:22:38 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

打ち合わせを兼ねた会食だった。
僕の長年の知り合いにこの日は白金女史がプレゼンテーションする。その場所と機会を僕が設定した。彼と女史は知らない間柄ではないが、仕事の環境が違っていたのでビジネスの機会がなかった。
僕は前からビジネスランチや会食でのプレゼンテーションが好きで、それはお互い密接度が増すと、好きなことが言い合えると思っている。酒や美味しい物があると口も滑らかになって、お互いの考え方の隙間が埋まるような気がする。

 
鰊、ぜんまい、からすみ、味噌漬けなど、おなじみの珍味が並ぶ
最初に竹やぶ名物のプレートに前菜が盛られてくる。
竹やぶは彼は初めてで、個室の設えや調度品に驚く。彼に竹やぶの誕生から六本木、箱根までの足取りを説明した。
        蕎麦掻、玉子焼きと蕎麦屋の定番が来る
        
                 

蕎麦掻はトロリしていて、二人とも絶賛する。
僕は女将さんに後ほど粗挽きの蕎麦掻を追加するようにお願いした。二人にコーヒーミルで挽いた粉をブレンドした蕎麦掻を味わってもらいたかった。
彼は高名なノンフィクションライターで食の本を何冊か出版している友人を持っているから、美味しい店や蕎麦屋にも詳しい。その作家の方とも僕は一度お会いしていて、恵比寿の翁の存在を知ったのもその作家の方からお聞きしていた。


天ぷらには口直しにモズクががつけられる
ひろ作の話題になった。彼はその作家の紹介ですでに夜にひろ作を訪問しているという。彼は蕎麦屋として行ったのではなく、ミシェラン★の料理屋としてひろ作を使ったのだという。仕事の立場上大きな仕事には接待の場所は欠かせないのだ。


蓄熱された鉄板              左が塩辛右がホタテ、鉄板で軽く焼く
鉄板焼きがきた。これは帆立とイカの塩辛をこの鉄板で焼く。
帆立は刺身で食べていいものだから、さらっと焦げ目をつけるだけ。イカはその焼き上がりに立つ匂いが堪らなくなる。
柏竹やぶに5年前に初めて訪問した時、この鉄板に一番感動したものだった。蕎麦屋にこんな発想の料理があることに驚きを持った。蕎麦屋は自由であるべきだとその時僕は確信した。
同じように二人とも声を上げる。
「これが蕎麦屋か・・」
「楽しいでしょう」

追加の蕎麦掻が来た。これもまた楽しい会話の道具になる。仕事が主役ではあるけれども、時にして料理が主役の座に取って代わる。
そんなときには話が弾むし、思いもかけないような方向にビジネスが動き出す時がある。それは、計算外の効用で、よいお店のあり難さです。
蕎麦掻の、これまでに無い食感が二人の舌を支配しているはずだった。
二人とも食通だからあまり僕から説明をするまでのことはないのです。


せいろは新蕎麦です。新蕎麦だけに抜けるような透明感はないが、手挽きの蕎麦独特の雰囲気があります。
「これは、美味いんですか?」彼独特の聞き方をする。
確か湯津上屋で同席した時も同じ聞き方を彼がしたように思う。
「美味い」僕に代わって女史が答える。
「だいたい分かった」それは、彼が竹やぶの蕎麦や料理に納得したという意味だ。

かけはかなり彼が饒舌に誉める。僕も竹やぶのかけは、関東のかけそばらしい汁で、出汁と醤油のバランスの完成度が高いと思う。

この日は彼を途中まで送っていく。ビジネスの最前線の男は次週はラスベガス、その翌週は上海だという。帰ってきたら蕎麦屋の約束をする。だが、それもその通りになるか不明だ。約束しても忙しくて反故になることも多い。そういう付き合いをずっとしてきたから、それが半年後になるか、一年後になるか、それはわからない。

竹やぶ 港区六本木6-12-2 六本木ヒルズレジデンスB 3F
03-5786-7500 前回の記事

『こだわり蕎麦屋の始め方


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松翁 猿楽町  旬はアイデアと閃きの宝庫

2008-10-11 20:22:38 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区

穴子煮こごり、味が深い         柿の白和え

水槽の底に牡蠣が沢山ある。はぜも別の網のなかに泳いでいる。
牡蠣が出始めたということは、冬が近づいていることか。秋はほんの一瞬でそれはきっと長い冬のための幕間のようなものかもしれない。
松翁フアンがいて、この日は二人です。松翁は昼と違って夜は2人、3人、4人と組ではいる。
組で入る店でお酒が出ればそれだけで繁盛します。この日も我々が最後の予約客で6時半にもう店は空席がありませんでした。


初物自家製いくら            百合根煮浸し

初物で自家製のイクラがあったので注文した。秋刀魚も今が美味い時期になる。これは隣が秋刀魚焼きを食べていたが、迷ったが刺身にしてもらった。

秋刀魚の造り、右上がたたき
左が刺身と芸が細かい。腸でタレを作り、苦味を味わせる


松翁は造りはあまりないが、旬ものだけは別なようだ。しかもそれが庶民的なものだからありがたくなる。生牡蠣を注文しようと思ったが連れがいい顔をしないので諦めた。


秋刀魚の皮の串巻焼き、これは刺身を食べる人の余禄

秋刀魚の皮焼きがきた。これは注文したわけではなくどうやら刺身を捌いた皮を焼いてくれたのだ。なんか、嬉しくなるね、と。
これは分けるのが難しかったが、ポキンと折ってシェアしました。
秋刀魚の腸のタレといい、皮焼きといい、面白いアイデアにいつも驚かされる。
旬は深さを追う者にはきっと閃きを与えてくれるのでしょう。

    せいろ田舎

途中に合いもりをもらう。新蕎麦でふっ、とした香りがあって、せいろも田舎も美味い。松翁は盛りが結構量がある。途中だから二人で丁度良くて、店もちゃんと猪口を二つ用意してくれます。
                     百合根やハゼの天ぷら


そこから、やはり松翁は天ぷらが是非物です。先ほど炒め物に出た百合根やハゼなどの旬ものがあって、追加の酒が進みます。
〆は僕は牡蠣蕎麦です。これしかないでしょうと、連れに牡蠣の美味しさを知ってほしくてオーダしました。生は駄目だけど彼は湯を通したものは大丈夫なので、ひとつ食べさせてやります。



何といっても牡蠣の旨みが落ちた汁はズルズルと飲みたくなります。
この日も暖簾仕舞いまで松翁を楽しみました。季節が冬に近づき、魚は脂を体にためて我々を豊かにしてくれます。
新蕎麦の恵みにも感謝しなくてはいけません。その恵みをしっかり導き出してくれる蕎麦屋にもありがとう、と言わなくてはなりません。

手打蕎麦切 松翁
東京都千代田区猿楽町2-1-7 03-3291-3529
11:30~16:30 17:00~20:00(土)11:30~16:00
定休・ 日、祝  前回の記事


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よし房・凛 根津  神社の霊験が降るように 

2008-10-07 17:03:42 | 根津・大塚・文京・品川・目黒・渋谷・中野

蕎麦屋を始めたいと思っていた頃だった。
丁度その頃に、この「よし房・凛」が開店仕立てだったように思う。
もう、6年目くらいに入るのではないかと思う。
余り、個人的な事を書いてはいけないが、この店と僕の人脈関係に近いものがあって、蕎麦屋修業の思い出が交錯して、つい応援したい気持ちが揺り動いてしまう。
もちろん、そんな気持ちは僕だけの思いで「よし房」のご亭主にも女将さんにも関係の無いことです。

総勢8人が集まりました。この日の世話人は花まきさん酔流亭がじゅたんを励まそうとの趣旨でどうやら集まった。どうやらというのはそこは理由は何かあればいいので、蕎麦屋で一杯やりたいためのいいわけです。

カリカリと食感があって甘み
が広がる。鴨の皮をから揚げにしたもの

肴がひとつ、ふたつテーブルに並び始めました。蕎麦味噌巻きは蕎麦板でクレープのように巻いてあって味噌自体がよく味付けしてあって酒にあいます。


蕎麦味噌巻き天ぷら

僕はこのところ根津によく来ていて鷹匠は月に2回は来ているかもしれません。この日も1時間は早く来て谷中からプラプラ歩いて、いつものように根津神社を覗いてきました。
相変わらず饂飩「根の津」は開店前から人が並んでいます。土曜の夕方に僕には蕎麦屋に並んでも饂飩屋に並ぶ気持ちにはなれません。これは、饂飩好きの人から見れば間逆のことが言いたくなるでしょう。

蕎麦の実がたっぷり入った
餡かけソースの自家製さつま揚げ、これはなかなかの一品

食という概念でおよそ、お腹を満たすという考え方と、満たされないものを満たすという考え方があるのではないか。大雑把にいうと前者は饂飩やラーメン派で後者が蕎麦派だ。
これで言うと、蕎麦派は永遠に満たされないという結論に至る。
その満たされない8人が賑やかに蕎麦前に走る。がじゅは下戸なのでお茶に蕎麦です。


鴨焼きは野菜などの飾りつけ、白髪葱揚げなどを乗せてあり、楽しい工夫が

さいとうさんは九州まで蕎麦屋を見に行ったという。それは一同驚嘆してしまう。月に2回は京都に遊びに行って、御朱印帳を3冊持つ小マメさんにもおどろかされるが、誰も理由は聞かない。
それは、蕎麦好きは形は違っているが多かれ少なかれ何かを追いかけては走っているのを知っているからです。
そば箸さんは先日から酒と蕎麦と料理修業に全国を渡り歩いています。そのことも尋常ではないと思ってしまう。
自分の中に沸き起こってくるものにみなさん動かされているのでしょうか。

桜海老を上に寄せた魚介掻き揚げ

この日は酒もかなり呑みました。これはスッキリしている。これは辛いといいながらほとんどの銘柄を呑んでしまったようです。
僕は例によって酒の銘柄をほとんど憶えていません。皆さんの話の内容が面白いのでそうなってしまいます。
これだけの好き者(蕎麦探索者)が集まったのですから、話題は面白いし、座が大いに盛り上がって声も出ます。

せいろ


場が急に静かになるときが来ました。
〆の蕎麦が配られました。僕はせいろを取って、対面の方や横の方の田舎を当てにして、自分のと交互にいただききます。
賑やかだった大人数がしんとしてしまったのだから、周りのお客さんも信じられなかったでしょう。後は蕎麦をすする音、うん、うんという声だけがします。

田舎

せいろも田舎も同じ香りで、バランスがいいですね。産地は益子の常陸秋蕎麦
と書かれていました。益子は陶器で有名な土地ですが、あの辺りは畑も多くよい蕎麦もできるはずです。

今回はよし房の常連のなかやんさんが真ん中にいてすべて差配をお任せしてしまいました。酒の銘柄は飲み尽くし、料理もほぼ食べ尽くしました。
このよし房の立地もまた幸運に根津神社の入り口交差点です。いい蕎麦と美味しい料理を作っていれば、神社の霊験があろうというものでしょう。
願わくばその霊験が我々蕎麦衆にも舞い落ちることを願いたいものです。

よし房 凛 
前回の記事
文京区根津2-36-1 03-3823-8454
11:00~15:00 17:30~20:30 定休・火曜

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ひろ作 新橋  新物 初物 新蕎麦 

2008-10-05 13:36:37 | 銀座・新橋・芝・築地・港区・中央区・墨田

何とかカウンターの空き席に入れてもらった。
少し落ち着いたというものの「ひろ作」はなかなかすんなりとは入れないようです。
一番右に座るとご主人の盛り付けの様子が分かるし、ここだと手を休めないでも話が出来る。
「新蕎麦になりました」
忙しく箸を走らせながら受け答えしてくれます。北海道と信州のブレンドで相変わらず手挽き臼で時間を掛けて粉を作る。
1回挽きか、粗いのをもう一度挽くのかは今度聞いてみようと思う。十割なのか、つなぎを入れているのかも聞いたことがない。
茹で時間から見ると十割、見た目で判断すると1回挽きのような気がするが、それは正しいかどうか分かりません。
枝豆が甘くて美味しい。皮を剥いてみると、美しい色がした。



「魚豆です」
女将さんが横から説明してくれる。新潟は茶豆が有名だが、この豆は市場に出る豆ではなく新潟の方の手土産だそうです。
珍しく2階に客を上げている。普段のお昼は1階しか使わないから忙しいわけで、お手伝いさんも来ている。
聞くと、夜のお得意だけには頼まれると二階にお任せのお昼をすることがあるそうだ。これも、滅多にないことで特別な事があった場合だという。

美しい鴨ロースト

鴨のローストが美しい。こんなに均一に焼けているのは珍しい。これも前にいるご主人に理由を質問したが、あっさりと答えてくれる。
脂身の甘みも保たれていて肉の繊維質が溶け込んでいて柔らかでした。これは上質な鴨肉を調理がさらに美味しくさせている。

鯛が旨くなる時期

造りは姿形は鯛だと思って食べる。脂がうっすらあって、鰈の弾力があって甘みはヒラメのようです。
「これは、鯛ですか?」
「もう9月からよい新物の鯛が・・」
このところ脂ののりがよくなって身が甘くなって鯛らしいものになってきたという。
「先日、スペイン料理に行ってきて」
2階の接待客用の鮎の塩焼きの串の身刺しの手を緩めず、友人達と美味しい料理を食べたと言う。若い人達とワインなどの呑みながらの料理研究でしょうか。
僕もこのところの蕎麦会の話をする。蕎麦の話をすると、聞くご主人の顔が緩む。



蒸しご飯に美しいいくらがある。
「もう、イクラは初物ですか」
「もう出ました。美味しいでしょう」
イクラの甘みだけが袋の中に入っていて、口の中でスーと溶ける。よいイクラは透明な袋が薄くて身がプリンとしている。
それに反して袋が固くて、身にたるみがあって、口につぶれの食感があるもの、
それは俗に「ぴんぽん」と呼ばれて塩入れをして3ヵ月後に市場に出回る。
これは築地でもお店で信用して買うしかないから、僕なんかは見た目では分からない。「ひろ作」のこの日のイクラを味わうと、違いがよく分かりました。



蕎麦はいつもより色が黒い。新蕎麦の特性がそうなのでしょう。
「新蕎麦だね」
と訳のわからないことをいってしまった。新蕎麦の香りは一種独特で香りは立つがツンとしたものではないから、弱いと我々は感じてしまう。が、それは新蕎麦の奥ゆかしい主張です。こしはいつもよりあって、味は濃い目。そんな感想を口で言ってしまうと何かよそよそしい感じがしてしまう。
「そうでしょう」といってご主人が僕の目を見る。



いつもそうだが、大抵遅い客になってしまうから、後片付けの邪魔をしながら蕎麦屋のことや蕎麦の話になる。
女将さんとは夜の商売の話になる。春になって波が穏やかになる頃に夜に会食に来ますといってもう10月です。
冬の荒海でしまった魚の料理を味わいに来なくてはいけないでしょう。
新蕎麦が出回りだすともう1年が終わる事を覚悟しなくてはいけない。年を重ねてくると年末は壁のように巨大なものになってくるから怖い。

割烹 ひろ作 前回の記事
港区新橋3-6-13 03-3591-0901 03ー3593-3886

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ランチには玉子焼きをつける

2008-10-04 13:55:39 | ランチ

六本木「くろさわ」で久しぶりにお昼にしました。
ここはご飯ものがあり、豚肉も売りにしているからどんぶり物がよく出ています。
が、やはり蕎麦になります。

山芋のすりおろしに皮剥き
茄子の煮浸し。器の黒が気になるが、美味しい一品でした。

つめたい蕎麦で茄子のひやかけにしました。
蕎麦はしっかりしたこしがあり、蕎麦は新そばのようでした。
くろさわ 東京都港区西麻布3-2-15 前回の記事                        
 03-5775-9639    11:30~15:00・17:00~23:00火曜定休 

川むらからは3品あります。
こちらはみちのく蕎麦と名前が付いています。なめこおろし、山芋などの三つの味を楽しむものになっています。



別な日の白魚の掻き揚げ蕎麦。これは冷かけにすると美味しいのではないかと思った。メニューにはありませんがいちど頼んでみよう。



おかめ蕎麦をついでにもらったが、かわむらの蕎麦は極細なので温蕎麦にすると早く食べないとこしがなくなってしまう欠点があります

おかめ蕎麦、極細なので
直ぐこしが弱くなってしまうので、温蕎麦は早く上げなくてはならない

川むらではランチでも玉子焼きが是非ものになります。この日は二人だったので、
丁度良いシェアになりました。
川むら 前回の記事
荒川区 西日暮里3-2-1 03-3821-0730 11:30~20:00 火曜定休

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くう 大塚  記憶力は商いの元種

2008-10-02 20:30:00 | 和食

女将さんは厨房へのオーダーは名前で通す。
「○○さん、刺身の盛り合わせ」というように、僕の名前を言ってくれる。
かといって、僕がそんなに馴染みと言うわけではない。この3年間に5回ほど来ているだけで、普通の居酒屋なら前に来た方ですね、という程度でしょうか。
ここは鳳凰美田がある。これは栃木の酒ですが好きな日本酒です。
日本酒は少し人気が出始めると本数が少ないだけに酒にプレミアがついて価格が値上がりするし、店から姿を消す。

タラバ足と腹身と合わせたもの

僕はどちらかいうとブランド信仰が無いほうです。14代も八海山も田酒も追いかけたことは無いし、名前だけで呑みたいと思った事はありません。
一様に満足させる酒が僕にも旨いのかということに少し疑問があるからです。
ボリュームになった時、それは安心感とか、間違いないとか、そんな旨さとは違うキーワードに支配されているのが気になってしまいます。

自家製いか塩辛

その酒を美味くするものが沢山この店にあります。
自家製のいかの塩辛は、初めて連れてきた人が唸る。オフィスの部下でほんの少し前まではこの大塚で随分飲んでいたらしいが、「くう」は知らなかったようだ。
名前の高い居酒屋の名前を上げてそこの美味しい物を教えてくれたから大塚では僕の先輩です。

上左が首折れ鯖、右が戻り鰹
下がヒラメで縁側は僕が食べてしまった

「首折れ鯖?」
刺身の盛り合わせで鯖にそんな名前が付いていた。それは、魚を揚げたとき血抜きをすることでしょうか、と女将に訊ねるとそうだという。
魚は獲れたとき、身が濁らず鮮度を保つために首と尾の一部に包丁を入れて血を抜いて市場に運ぶ。もちろん手間が掛かるからそれはほんの一部です。
本間の鮪が有名なのは鮪そのものもありますが、1日掛けて鮪のからだから血を落として市場に運ぶ。そこに価値が出る。

京しめじと京野菜天ぷら

先週閉店した「奈津」の魚はそのような魚ばかりを築地市場からあるルートを使って仕入れていた。水槽で泳いでいるから旨いとは限らないのは魚の不思議です。
下目黒の寿司屋では「くえ」は切り身にして4日から6日目が一番美味いと言う。
この日はその鯖と戻り鰹とひらめが盛り合わせでした。僕は失敬にもヒラメは縁側から頂くので写真にはいつもそれが消えている。

松茸土瓶蒸し

季節物はやはり土瓶蒸しです。酒の猪口と土瓶蒸しの猪口とを交互に呑みながら仕事の話が滑らかに進みます。
9月の連休の京都では松茸と終わり鱧のオンパレードでした。鱧に別れを告げながら松茸の始まりを迎える。京都はそんな季節の変化を食で楽しむ風雅さがあります。
〆はおじゃです。おじゃはここは季節で色んなものを置いてありますが、この日はその中で地鶏を選びました。地鶏の甘みと脂の甘みが少し出汁に落ちていて優しいおじゃになっています。

おじゃで最後に〆る

酒は二銘柄追加しましたが、その追加の酒は好みを言って女将さんに選んでもらいます。もう、次回はこの酒の好みを彼女は憶えていると思います。
「くう」の人気の秘密のベースは彼女の記憶力と気配りによるところが大きいと思います。

ある高名なホテルの名物ドアマンは、車のナンバーで一部上場会社の社名がわかり、社長の顔を憶えていたといいます。大きな葬儀になると彼は葬儀社からその日だけ迎えられて案内係りを務めたといいます。記憶力は商売に役立つという事がよく分かります。
帰り背中から女将の御礼と僕の名前が聞こえた。彼女は次は僕の連れの顔と名前を覚えているでしょう。

和食 くう
豊島区南大塚1-48-9 03-5978-4557 
 17:30~23:00(L.O) くうの前回の記事 .

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