蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

いさと 市川  ビンテージ物の、ほのかな香り

2007-07-30 08:03:32 | 近郊・神奈川・千葉・埼玉・茨城・長野他
常陸秋蕎麦2年ビンテージ物が終わる頃ではないか。
そう思うと、気がせいて急遽小マメ太郎さんを誘って、「いさと」へ行くことにしました。鴨味噌で日本酒を飲みたいので今日は電車とタクシーを乗り継いできました。

11時過ぎに入って、開店まで待たせていただきました。鴨味噌、焼き味噌、卵焼きをオーダーして、冷酒を頂く。
11時30分頃には満席で、ひっきりなしに予約の電話が入る。木、金、土、日の営業で売り切り仕舞いだから、客としても不安で確認する事になるのでしょう。
お客さんの年齢層は比較的高く、当然ながら車での来店が多いようです。
鴨味噌が来ました。陶板焼きのようになっていてぐつぐつと鴨脂と味噌が煮立っている。

(鴨をミンチ状にして、味噌と合えてある。鴨脂の匂いが香ばしい)

酸味が利いたフルーティな冷酒にことのほか合いました。卵焼きもこの鴨味噌を巻き込んであります。トロトロの食感になっています。卵焼きは小マメさんのこれまでのものとは違う、新鮮なインパクトを与えたようです。


(鴨味噌を卵焼きにまきこんで、玉子はとろとろでした)

蕎麦は、前回のビンテージ物でした。食感に独特の歯応えがあって、舌の上を転がって千切れます。香りは強いものではなく上品な押さえたようなほのかなものです。



「まだ、2年ものあったんですか」2枚目のお代わりの時に女将さんに訊ねました。
「熟成のものは美味しいですか?」
「美味しいですね、いつまでありありますか?」
女将さんが忙しい合間に答えてくれた。それによると、来週の日曜を最後に9月まではお休みなのだそうです。ビンテージ物もこれで食べ納めになるわけです。手挽き独特の半透明の曇ガラスのような蕎麦です。



山葵を蕎麦の上にのせてちょんとつゆに漬ける。ちょうど本鮪の中トロを食べるようなぐあいにすると、これが美味しい。
多分、レモンやカボスを絞ったものにつけて食べても美味しいかもしれない。小マメさんも二枚目に挑戦中でしたが、難なくクリアしたようです。
食べ終わって大雨になって、しばらくお店で止むのを待たせてもらいました。この大雨だと残りの予約客も雨がおさまってからになるでしょう。

雨の影響でタクシーが無くて、直ぐ近くからのバスにしました。バスの中でも行きたい蕎麦屋の名前が小マメさんの口からポツリ、ポツリとでてきます。
まだ、1時30分ですから、彼女はまだこれから違う店に行くのではないかと、ふと思いました。
日曜、市川程度では、彼女の羽ばたき症候群は治まらないのではないでしょうか。

いさと
市川市国府台1-12-9 047-373-4537 11:30~売り切り仕舞い
営業日 木・金・土・日 (一日限定20食) 前回の記事

『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から発刊
ビンテージ物を業界では、「ひね」という。そのヒネを食べさせるのは
前橋の「淺川」でした。4年物や7年物のヒネを蕎麦会で食べさせてくれたのは
神田の「眠庵」でした。両店必死で蕎麦と取り組んでる。
( 取材・掲載店/前橋・淺川、神田・眠庵、浅草橋・美登里、大島・銀杏、
西麻布・たじま、大塚・岩舟)
本体価格1800円 著作・鎌 富志治(かま としはる) 詳しくは

● 前橋・淺川の営業時間などが変わりました。
11:15~14:30   18:00~21:00(LO20:30)水曜定休 (火曜日は昼だけの営業)
群馬県前橋市日吉町3-41-12 tel:027-231-7294
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たじま 西麻布  江戸富士見台にある蕎麦屋

2007-07-28 06:40:29 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

待ち合わせの時間より少し早めにお店に入る。
早い時間なので、ご亭主が仕込みの手を休めて僕の相手をしてくれる。こんな時間があると一番嬉しい。
もちろん僕が一方的に話をするのだが、相づちを打って端的に答えてくれる。今日は「こだわり蕎麦屋の始め方」の編集者の方と「たじま」の蕎麦と野菜料理を楽しむ予定です。
編集者の方は、この本の企画段階まではあまり熱心な蕎麦フアンではなかった方でした。この本に掲載した蕎麦屋さんのうち三店に立ち会われて、突然蕎麦に目覚めてしまったのです。
試食した蕎麦がこれまで経験されたものではなかったのではないでしょうか。取材では味見というのがあって、その三店の蕎麦を食べるうちに、眠っていたものに火がついたようなのです。

ご亭主としばらくお話していたら、他のお客さんも入ってきて、彼も来ました。「たじま」さんには彼は立ち会われていなかったので、本で掲載された野菜料理を楽しみにされています。



島オクラ、胡麻豆腐など前菜三品が来ました。冷たい野菜の美味しさが、夏の光を浴びた体の火照りを鎮めてくれます。
味付けは薄味の中に微妙な利かし物を使っています。生姜の香り、薬味の香りが胃に心地よく落ちてきました。


(鴨のロースのたたき。身が柔らかくて甘い)

本が出来上がりの頃、湯津上屋にも行かれていました。ご近所にも手打ち蕎麦屋が二店あったそうで、そこも行かれたのです。
もう「手打ち」の文字が目に入ると見逃せないのだそうです。
これは、蕎麦マニアが皆さん辿る通りに歩まれています。


(穴子の白焼き。口当たりのよい蕪、茗荷酢漬けが添えられている)


(鴨焼きはレアで焼いていただく。甘い)

穴子は白焼きにしてくれました。厚身の鴨焼きも出てきました。西麻布の高級住宅地が控えている場所です。今日の客層もとてもいいですね。
「もう少ししたら火がつくでしょう」
「時間の問題でしょう」先日、先輩の人気蕎麦屋の「大川や」さんと僕の会話です。
客の入るお店になるということです。そんな会話を交わした事をたじまさんに言ってはいません。


(椀物は茄子、万願寺唐辛子の揚げ浸し。おろしがたっぷり)


(のっこ汁。これは出汁だけで味をつけてあって逸品)

途中できた新潟の「のっこ」は絶品でした。編集者がこの味付けを知りたがっていて僕も聞こうかと思っていましたが、その他の料理が押し寄せてきて忘れてしまいました。蕎麦は、掻揚げと一緒に出していただきました。



掻揚げは色が綺麗で油落ちがよくてカリンと揚がっています。蕎麦はさらにかけそばを頂きました。2時間はいたのですが蕎麦の話で終始しました。
今日はカメラを確認してカバンの中に納めました。前回、酔流亭と花まきさんと来た時は手提げにカメラを入れてそれを電車の中に忘れてしまいました。

帰り大江戸線まで一緒に十番界隈を歩きながら帰りました。
「火が付くといいですね」編集者の方もそれを言います。それはそれでいいのですが、そうなるとまたヤキモキするものです。

通りには更科堀井、永坂更級など老舗があります。早く、この中に「たじま」の名が入ってくると嬉しい。
昔、江戸時代には「たじま」のお店あたりから富士山を見て、坂を下って蕎麦屋や茶店で一休みして帰るのが江戸っ子の無上の楽しみだったそうです。
時代は変わっても我々庶民の楽しみは変わらないのでしょう。
いい蕎麦屋酒を楽しんで、いい坂道を降りてきた夜でした。25日・水曜

 たじま 港区西麻布3-8-6 03-3445-6617                              11:30~14:30 17:30~21:30(祝20:30)       
            定休・日たじまの前回の記事


「こだわり蕎麦屋の始め方」ダイヤモンド社より発刊
僕が昨年六本木にいた頃、ふらりと入った店でした。
野菜料理の見事さにきっと人気店なるだろうと思いました。
ご亭主の考え方や人柄が好きになって、この本に出ていただきました。
(他、神田・眠庵、大島・銀杏、浅草橋・美登里、大塚・岩舟、前橋・淺川
などを取材・掲載)
全200頁 1800円(本体価格)著作・鎌 富志治(かま としはる)
詳しくは

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かとう 築地場内  秋刀魚の肝の大きさ

2007-07-24 21:00:00 | 和食
この日は、早い時間、11時前に「かとう」に入った。
毎度の事だが、人気のすし店は平日のこの時間でも客が列を成しています。


(左メジ、手前すずき、後いさき。夏は魚も一休み)

魚はこの時期ひと休みなのか、数がそろってない。それでも、すずき、大いさき、めじがあったので三点盛りにしてもらう。
「そうか、秋刀魚か」声が少し大きかったかもしれない。秋刀魚の文字を見て思わず声を出して恥ずかしいことでした。


(ご飯に塩辛の残りをまず掛けて頂く。かとうの楽しみ)

刺身がくる前にイカ塩辛でビールの中瓶をいただく。黙っていると大瓶だからご飯が食べ切れなくなる。
「新聞読む?」娘さんが暇そうな僕を見て新聞を持ってきてくれる。これまでそんなことをしてくれなかったから、多少、常連の顔になったかな、と思った。

まず最初にご飯にはイカの塩辛を乗せて食べる。だから、塩辛はあまりビールで食べ過ぎてはいけない。さて、やはり今日は秋刀魚です。まだ時期的に脂ののりが少ないが、身を開くと、内臓がたっぷり入っていて、このはらわたが苦くて旨い。



このはらわたが少ないとがっかりくるのだが、加藤は期待を裏切らない。もうしばらくすると、秋刀魚も刺身だからこれはまた楽しみになる。
この時期はうに、貝類が良いかもしれない。
お母さんが椅子にどっしり座っている。少しの間いなかったように聞いていたが、それは「こむこむさんが詳しいかもしれない。
まだまだそこにいてもらって、声を出してもらわないと困る。なにせ場内の人気者の一人なのである。
「また、いらっしゃい~」声が低くて枯れていて、相変わらず怖くて良い。

かとう 築地場内 前回の記事
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大川や 九段  一番は何よりも蕎麦  

2007-07-23 06:21:27 | 銀座・新橋・芝・築地・港区・中央区・墨田

僕のほうから、「大川や」をお願いした。この日は、花まきさん達が出版祝いのオフ会を開催してくれたのです。
場所は僕に指名させてくれるというので、いくつか候補もあげたが、食べたい料理があったので「大川や」にしていただいた。
他に酔流亭小マメ太郎さん、がじゅたん、さいとうさん、に加え、久しぶりに
なかやん」さんが来てくれた。
なかやんさんとは、昨年の春の花見酒以来ですから、久しぶりでした。彼はクラリネットの名手で7月の29日(日)NHK、BS(詳細はなかやんさん6月11日・日記)に出演します。酔流亭がやや遅れていたが、賑やかに5時からスタートした。


(地鶏のたたき。皮目をさっと炙り、肉の旨みを生かす)

酒は九平次、料理は地鶏塩焼き、地鶏たたき、蕎麦がきなどをオーダーした。蕎麦がきとお新香は偏食がじゅたんの蕎麦屋定番です。
メニューにはないが、鴨の蕎麦がきをオーダーした。これは、大川やで、今回一番食べたかったものです。
先月、酔流亭と花まきさんと西麻布「たじま」で食べた鴨焼きは絶品で、大川やでも鴨は食べようと花まきさんと話をしていた。


(万願寺唐辛子は、肉詰めにして天ぷらに、手が込んでいる)

大川さんとたじまさんは、修業時代の先輩、後輩の間柄で、たじまさんの修業の最終3年間は、大川やでのものだった。お店の構成は二店それぞれ違うが、よい素材と料理への愛情は共通で、僕はたじまさんを知るほどに「大川や」に興味を持ったのです。
「前とお店の感じが違う」花まきさんがお店を見渡す。
最初店に入って僕がフロアの方にテーブルが変わりましたかと訊ねたが同じだという。
「そう言われれば、僕もそう思う」もう一年以上来ていなかった。その変わった感じとは雰囲気なのだと思った。花まきさんと同じように店内を見渡した。お店全体に温かい雰囲気がしていた。


(鴨ロースが沢山並べられた、サラダ。鴨の旨みが口中に香る)

よいフランス料理店に居ると感じる、ゆったりした時間、オーナーの料理に対してのゆとりと自信、そのことが客に与える安心感。それと同じようなものを感じた。
大川さんがフロアの先頭に立って、客をもてなしている。オーダーの取りかたや給仕の仕方に余裕があって美しい。たじまさんはいい先輩を持ったものだとこのとき思いました。
なかやんさんが僕の本の中の項目で面白かった事を皆さんに披露してくれた。蕎麦屋開業マニュアル本が蕎麦好きの人達に読まれて、それが面白かったといわれて望外の嬉しさがありました。


(鴨の蕎麦がき。スープが蕎麦掻に移ってこれは逸品)

鴨の蕎麦がきはやはり美味しい。皆さんに悪かったが直ぐにこれをいち早く頂いた。蕎麦がきと鴨肉、浸してある汁の甘・辛のバランスがよいです。
しばらくしているとその汁が蕎麦がきに移ってこれも旨みが増します。地鶏の塩焼きの皮が塩味がしっかりしてこれもよい味わいです。


(皮目がパリパリしていて美味しい。地鶏の塩焼き)

食べ応えがあります。酒が重なると、肴もテーブルに並びます。穴子のゼリー寄せ、鴨ロースのサラダ、小海老の掻揚げなど、どれもこれも美味しい。
〆は予約していただいていた粗挽き蕎麦です。これは、前回asakoさんのオフ会の時に美味しかったので、人数分確保していました。



「香る~」花まきさんから、静かな声が上がりました。確かに箸を2,3回上げ落とすと、顔にフワフワと蕎麦の香りが届きます。
久しぶりにつゆを使わず、蕎麦だけで味わいを楽しみました。
もう一枚と思いましたが、皆さんの手前我慢してまたの日を楽しみにします。
がじゅたんは、この日2枚目の粗挽きです。彼女は酒も飲めません。蕎麦がきとお新香だけで僕らに付き合っています。蕎麦二枚目の満足度は、いつにまして高いように見えました。


(微粒な星が特徴の粗挽き)

「蕎麦、美味しかったです」花まきさんが片付けに来た大川さんに声を掛けた。
「蕎麦を誉められるのが何よりも一番です。良かったです」大川さんが返す。
どんなにシャレた蕎麦屋でも、見事な料理を出す店でも、亭主は蕎麦を誉められるのが一番嬉しいものです。
そのために蕎麦屋を続けているのです。僕もつい蕎麦以外のものばかりに目を奪われていた事を、今日のご主人の言葉から反省をしました。

帰り久しぶりに路上でオフ会の記念撮影です。料理ばかり写していたのですが今日は人物です。
今は写したものを直ぐ見られますから本当に便利です。
電車に座って、いつものように写真をコマ送りして料理の余韻を楽しみました。最後の粗挽き蕎麦のカットのあとに、暗闇にパッと咲いた皆さんの笑顔がありました。
お祝いの一番の贈り物になりました。

大川や 千代田区九段南3-4-2 03-3234-8887     
             11:00~15:00 17:30~22:00     
             土曜11:30~21:00  定休 日曜・祝日
 
『こだわり蕎麦屋の始め方』 ダイヤモンド社より発刊
定価1800円(本体価格)著作・鎌 富志治(かま としはる)
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「こだわり蕎麦屋の始め方」 あとがき②現代名店の定義

2007-07-21 14:39:12 | こだわり蕎麦屋の始め方・蕎麦本発刊

ある日柏の竹やぶを始まりにして、蕎麦屋のモダニズムの原型がスタートしました。
蕎麦の持つ原初的なスタンダード性を軸にして、柏の地に手作りのモダニズムが生まれてきました。
翁の高橋氏が、徹底したスタンダード性を追及してきたのと対極にあります。およそ日本の現代の、特に平成の蕎麦屋の進化は、この二店の足跡そのものにあり、まだその偉大な進化から呪縛されているかと思います。

この10年モダニズムの化粧をかぶって、都市部に散らばってきた竹やぶイズムと郊外に拡散した翁イズム。その面積上に手打ちの商業環境ビジネスが大変な恩恵を受けてきました。
蕎麦屋で名店といわれるワードがいつの日か定着し、その名店の定義がなんとなく曖昧なまま蕎麦好きの間に、あそこだここだといわれてきました。
蕎麦好きとして僕が名店と考えてきたのは次のような店でした。

①蕎麦が美味いこと②客が入ること③名前が知れ渡っていること④マスコミにのっていること。しかし、この一年この本を書き進めるたびにこの範囲ではもうはみ出している、よいお店が沢山あることに気づきました。
特に、2000年前後から誕生してきた蕎麦屋群です。それは、蕎麦屋が変わってきたのではなく客が変わってきて、その客を見て育ってきた蕎麦屋です。
蕎麦屋が他の飲食と競争してなお且つ、その飲食の客を奪うことを意識してきた人たち。また、手打ち蕎麦屋のカテゴリーから自由になった人たちです。

柏竹やぶの呪縛から解き離れた独自のモダニズムの旗手たちの姿があちこちに見え始めました。翁の高橋さんのスタンダード性に新しい解釈を加え始めた人たちも現れています。
僕が前職時代のマーケティングな意味で「ブランド」ということの定義は簡単にいうと、そのカテゴリーを象徴する代名詞になっていることです。
つまり、蕎麦屋=○○庵という地位を獲得したかどうかです。

一方、現代的なブランド構築には、ブランドには常に付加価値を足していかなくてはならないことも証明されてきました。
その付加価値は、新商品の創造と、新サービスの追加です。つまり、名前だけでは、いずれブランド価値は下がると現代的解釈がされてきました。
ビトンは特別なブランドですが、それでも毎年新しい商品を出します。お客の新しいサービスも追加しています。
ロレックスも、長い目でみても新商品やサービスを提供し続けています。

成熟化が始まる業種では、そのブランディングを意識した者が勝ち残ります。本の中では、このようなことは省いていて、蕎麦屋でも勝ち組と負け組の差が出てきたと簡単に書いてあります。
また、いくつか生き残る条件と、名店への足がかりになるようなことを書きました。おそらく、今後名店という曖昧な考え方でなく、ブランド店というような考え方がされてくると思います。
そこに至るまではあと5年ほど待たなければいけないと考えています。それは、まだ手打ち蕎麦屋の領域で空きスペースが存在していて、手打ち蕎麦屋の数がまだ少ないせいです。

では、手打ち蕎麦屋の数はどのくらいでピークかと言われると、統計学的にみると、饂飩・蕎麦屋全体が全国で約37000店ですから、その15%の5550店舗が限界だと思います。
これを日本で分布させると関東圏2500店、関西圏1000店、その他で2050店です。今後蕎麦生産量の多い、北海道、九州辺りも伸びてくるはずです。
現在の手打ち蕎麦屋のはっきりした実数字はありませんが、いまは限界数の20%の1110店あるかどうかです。

あるカテゴリーでブランド化がなされる条件はそのカテゴリーが無条件に認められ、そのカテゴリーのパイが大きくなることです。蕎麦マニアの中ではブランド化されても、大衆という大きな枠でそれがなされないといけないわけです。
今は、とりあえず名店と呼ばれる蕎麦屋を勝手連的に作りあげ、やがて大きなブランドまで育つようなお店を作るために、我々蕎麦好きは、せっせと蕎麦好きの輪を広げなくてはいけないでしょう。

本にも書きましたが、結果的に勝ち残る店には勝ち残る理由があり、残れない店には残れない理由があります。その勝ち残った店が、この10年で力を蓄え、さらに次の10年でブランド店の足がかりを掴みます。
名店といわれても客が来ないと意味がありません。客が来ても名店と呼ばれないとまた意味がありません。
蕎麦屋の商いは、そこが難しくて、やりがいのあるところです。
この本を書き終わって、先ほどの名店の④条件に、ひとつ新しい条件を加えます。
⑤客に影響を与える店・・今回本に登場した6店舗を見てそれを付け加えます。
「こだわり蕎麦屋の始め方」
ダイヤモンド社刊 1800円(本体価格) 著作・鎌 富志治(かま としはる)
詳しくは

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権現板そば・浅野 三好  蕎麦街道に思いが走る

2007-07-18 18:39:20 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区

商店街から奥まった住宅街。その自宅の一階を改造してお店を作ってあります。
一月ほど前の夜に探してもわからなかったのは、暖簾をしまうと普通の住宅になってしまい、夜は予約となっていますから、そのときは仮に尋ね探しても上がれなかったわけです。

山形の板蕎麦は、最近板蕎麦を売り物にするチェーン店に入ったことがありますが、一度で懲りてしまいました。杉の強い匂いが蕎麦の前にしてしまって、半分以上残した経験があります。
昨年、六本木の「きよやす亭」で板蕎麦を食べた時には太打ちのかなり強いこしがあって、満足した覚えがあります。
その時は杉の箱船がかすかに香って、蕎麦の香りの邪魔をしなかった記憶があります。


板そばと山形地鶏蕎麦をお願いした。前菜のようなものが出てきた。酒を飲みたくなるが、オフィスへの途中です。
こんにゃくがとろとろして美味しい。すべてが田舎風の味付けで自分の故郷の味を思い出します。
蕎麦は十割と書いてありますが、十割の硬さは無く、プリンとした噛み心地と口中にざらざらした食感が残ります。
奥まった農家の方が打たれたような味わいがありました。


(これは、普通盛り、他に1.5人前と2人前がある)

できたら、その風土の中で楽しみたい蕎麦のような気がします。蕎麦は中細でこれが一人前で、その他に1.5人前、2人前があり、多分普通の客は2人前くらいを楽しまれるのでしょう。


(山形地鶏蕎麦。個性の強い味付けでした)

地鶏蕎麦ははっきりしたあじです。僕は山形は未訪で知らないから、現地ではこのような汁の味わいなのかもしれないです。
濃く、味噌味に近い田舎風に仕上がっています。丁度、けんちん汁を味噌ではなく醤油ベースでつくったようなイメージです。
地鶏は肝のような壊れやすい肉で、これも個性の強い肉でした。

新橋の奥まった場所に山形蕎麦の美良(みよし)という店があって、そこはご亭主が更科一本ですから、こことはずいぶん違います。
しかし、そこで出るこんにゃくと里芋の田舎煮の味とこの蕎麦の汁とよく似ています。
山形の蕎麦街道も行きたい。その前に飛騨のほうへも行きたくなる。京都や関西の蕎麦も食べたい。
雪の前に飛騨、東北に行って、雪の頃に京都を楽しみたいと、急に思いました。
自分の中の蕎麦街道の夢が膨らむ。

権現板そば 浅野 江東区三好2-15-7 03-3642-3053         
                  11:30~15:00 夜は前日予約

「こだわり蕎麦屋の始め方」ダイヤモンド社より発刊


最初の蕎麦屋で4年の修行。次の3年間は野菜料理屋に入る。
さらに3年間先輩の人気店で客を見てから、計10年で開店準備に入る。
沢山の引き出しを持って強豪揃いの一角に手打ちの旗を揚げた。
(写真は西麻布「たじま」取材ページ)
全200頁 1800円(本体価格)著作・鎌 富志治(かま としはる)

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「こだわり蕎麦屋の始め方」 あとがき①こだわりの定義

2007-07-16 21:35:34 | こだわり蕎麦屋の始め方・蕎麦本発刊

蕎麦屋が流行る条件を、お店側から見るとなかなか見えにくいので、客の目から見るとどうなるのだろうか?
そんなことから、この本がスタートしました。
僕たちは理屈ではなく、なんと言っても感覚的なポイントで蕎麦屋を見ます。
『流行る店』=『いいなという店』にとりあえず定義してみます。(儲かる店は色々定義が複雑なので)

そこで「いいなという蕎麦屋」を要約してみると
①新鮮な驚きがあること②記憶に残ること③もう一度来たい・・この3点がとても大事になる気がします。僕たち蕎麦ホリックは無意識のうちに、よい蕎麦屋をこんな基準で選んでいます。
もちろん、お店自体やサービスや蕎麦、料理を体験しての事ですが、それをグロス(総合的)としての体感度の言葉にしています。

本でも書いたのですが、お店に対して「まあ、まあ」という感想ほど、怖い事はない、と書きました。味にしても、雰囲気にしても、「まあ、まあ」というのでは、心にひっかかりが無かったということです。
店に行ったことは、その場や、遅くとも2,3日で忘れてしまうという事です。なかには、店を出た途端、意識的に忘れたくなる様な店もあります。
この三点を突き詰めていくと、お店からある心に残る鋭いメーセージが僕たち蕎麦好きの心に残っていないと駄目だという事になります。

お店から見ると定量的な儲ける、数字的なものを形作るのは、実は客にとっては定性的なもの、つまり極めて感性的なものなのです。ここに、本来は商いの基盤を置かないといけないのです。今回、僕の本はハウツーものにありがちな定量的なものはほとんどありません。
つまり、蕎麦の原価などを算出した、損益分岐点ではじく経営手法です。その面から見ると物足りない人もおられるかもしれません。しかし、定量的なものは結果にしか過ぎないことが、自分で蕎麦屋をやってよくわかったからです。

ただ、蕎麦屋の有利性は「こだわり」という見え方が他の飲食と全く違い、その優位性をどう自分で咀嚼して客の前に出していくのかが勝負です。それをかなりなスペースで分析しました。
その「こだわり」こそが蕎麦屋の数字上の損益分岐点なのです。しかも、蕎麦ホリックを無意識的に自店のメディアにする唯一のものです。
「こだわり」を言葉だけでお客の前に出してはいけないということで、それは多分5年ほど前の手打ち蕎麦屋の潮流で終わってしまっています。
いまは「こだわり」こそが高い技術になっていなくてはいけない。そこに、僕たち蕎麦好きが感動するのです。そして、熱心なリピーターになって、その店の勝手連手先になります。
それは実に方法論的には簡単で、しかし、大変な努力が必要です。ただ、その方法論を意識する、しないでは、商いに大きな差が出ると思います。
もちろん、本は、こんな理屈っぽいことは書いてありません。さらさらと、平明に蕎麦を楽しく手繰るようにその手法を書いてあります。①「こだわり」の定義 次回は②新時代の「名店」の定義
「こだわり蕎麦屋の始め方」
ダイヤモンド社発刊 1800円(本体価格) 著作・鎌 富志治(かま としはる)
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奈津 銀座  夫婦二人の味わい

2007-07-15 10:29:00 | 和食
約束の6時より30分ほど早く、お店に入った。
色々な話などをご主人、女将さんとしたかった。 10年ほど前は休憩の合間に何のことは無い突然の訪問をして、魚の話などを聞きに来た事もある。

昨日、湯津上屋に行って、いつものコースでワインの屋台バーに寄ったことを話した。しばらく前、その屋台バーがリニューアルをしたと女将さんから聞く。なぜ、リニューアルしのか、話題になった。


(前の日は湯津上屋から、屋台バーへ。少し雰囲気が変わった印象)

この辺りは3年前に比べれば、お店のオープンが相次ぎ様相が変わってきたようだ。それと共に競争が激しくなるのは自然です。最近開店した店でも常にテコ入れが必要なのでしょう。

「まだまだ、お店続けてよ」僕がご亭主に言うが、笑って答えない。
その激化した中でこの辺りではまだ人気店です。汐留を中心にオフィスビルが増加し、その周辺の銀座、新橋、汐留の飲食店賃貸料が高騰して、この辺りの賃貸料の値ごろ感が見直されたのでしょう。蕎麦屋で言えば、時期的には湯津上屋や流石の開店もこのあたりです。
奈津の向かいには最近、有機栽培の野菜を置くショップや、ワインバーが開店したが、今日ここに来る前に覗いてきた。


(鰹のポン酢浸し。このポン酢は飲み干したいが・・)

そう好景気ではないのになぜこんなに飲食店が開店するのか、ご主人から意見を求められた。一番の影響はビル街のテナントは資本を背景にしたチェーン展開飲食店しか入れなくなったことです。
例えばひとつの系列だけで30くらいの異業種のお店を展開してるのだから、昔のような専業チェーン店がむしろ少なくなっている。
単純に言えば蕎麦屋だろうが、焼き肉だろうが、中華だろうが、儲かると思えば何でもやるのです。中心街から押し出された小規模店はその中心から少し離れた所に衛星的に散らばる。いわば個人飲食店の衛星化現象が起きているわけです。


(刺身が10種。上の真ん中の鮪は、開店以来本鮪です)

その衛星は一瞬は光るが、一旦光を失うと闇に消えるしかないのです。景気がいいからという理由ではないのです。
連れの方が入ってきました。2年ぶりにお会いします。僕の本の事を知って、出版のお祝いを奈津でしてくれるのです。前職事代は僕の大スポンサーで未だに声を掛けてくれるのですから嬉しいものです。
いつもの通りの蛸の薄造り、活海老の刺身からはじまる。日本酒を飲みだす頃、あっという間に満席になる。カウンターまで埋まった。

客層も女性が増えて若返ったようです。予約客が僕らともう一組だけだったのだが、当日客でこれだけ埋まれば上々です。まだまだ、星の光は失っていない。それもこれもこの仲のよい夫婦に会いに来る客も多いのです。僕もまたそうです。


(今日の岩牡蠣は青森産。身がたっぷりで甘い)

今日の出色は青森から来た岩牡蠣、口の肥えた連れも思わず唸った。後の席から鯛のかま煮の声があったので、僕らは子持ち槍イカ煮を注文した。
この煮物は女将さんの仕事で甘辛い醤油の調子がよくて、冷めても美味いから長持ちする肴になります。これは、女将さんの味になっています。

(子持ち槍イカの煮付け。女将さんがさっと煮あげてくれる)

一番長くいる僕らが席を立ったが、満席状態は変わらない。料理を造り続けているご亭主に代わって女将さんが玄関まで出て送ってくれる。

「牡蠣も、トロも美味いな。こんなに美味しい店だったかな」連れの方が僕に声を掛ける。
彼から前にも同じ言葉を聞いた気がする。 13日・金曜

奈津 銀座1-20-7 03-3564-2347       
        11:30~14:00 夜6:00より11:00
       定休日 土・日・水(築地の定休日)            
        前回の記事

『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から先月発刊


ひっそりとご夫婦お二人で商いをされる蕎麦屋があります。
二度三度足を運ぶとこんな店が造れたらと思うようになります。
夫婦二人で力を合わせて生きる意味が、その蕎麦料理から教えられます。
(写真は浅草橋・美登里の取材ページ)
全200頁 1800円(本体価格)著作・鎌 富志治(かま としはる)
詳しくは
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岩舟 大塚  週末羽ばたき症候群

2007-07-14 11:03:09 | 根津・大塚・文京・品川・目黒・渋谷・中野
小マメさんを1時間以上待たせてしまった。
約束の7時過ぎが8時半になってしまった。それでも、ラストオーダーが9時半だから助かります。


(酒肴三点盛り。右のイカの沖漬けと左の鯛の腸塩辛が好みです)

お薦めの大和芋の揚げ出し、鴨焼きの陶板焼き、酒肴三点盛などを急いで注文した。酒は蛍舟を注文すると、お揃いの酒猪口が来て面白くて笑った。


(やまと芋の揚げだし)


(お揃いの猪口)


『色が綺麗で甘みと出汁のバランスがよい卵焼き』

小マメさんのオーダーで出し巻き、これは岩舟ではあまり注文を入れてないかもしれない。小マメさんはしばらく一人でいたのですが、とても居心地がよくて、一度で岩舟が気に入ったようです。

30分ほどすると岩舟のご主人が挨拶に出てくれた。アメラグをやっておられたから体はごついが、お話や雰囲気は柔らかい人柄が滲み出ます。
大和芋の揚げ出しの中に小海老が入っているのを発見して、小マメさんが喜ぶ。岩舟の料理は細かなところに神経が行き届いている。
鴨焼きの葱も鴨油でしっかり焼いてあり、甘みが移っていて美味しい。鴨はレア焼きなので鴨肉の旨みが口中に広がります。
この日は楽しみにしていた穴子が無くなっていて残念でした。


(西京味噌と葱を包んで焼き上げたキツネ)

小マメさんに週末のスケジュールを聞く。週末羽ばたき症候群(こんな言葉はありません)の彼女は休みの日は郊外や近県に飛んで行ってしまうのです。
彼女から羨ましい蕎麦屋さんの名前が出て、連れて行って欲しいくらいでした。

〆は彼女は蒸篭、僕は久しぶりの地鶏なん蕎麦。鴨脂を上手に使いこなしてありますから、つゆに深みがあって最後の一滴まで飲み干せます。


(地鶏なんは濃い目の汁で美味しい)

看板までいて最後の方の客になっていましたから、普段できないような話題をご亭主とお話できました。
もちろん、蕎麦屋のご亭主と蕎麦好きの話といえば、それは蕎麦のことになります。あけてもくれても蕎麦、蕎麦、蕎麦。11日・水曜

岩舟  東京都豊島区南大塚3-53-9 03-3987-9266       
            12:00~15:00 18:00~22:00 定休日 日曜日、第2・4月曜日
            前回の記事

『こだわり蕎麦屋の始め方』おかげさまで先月発刊しました。


岩舟の二代目のご亭主はサラリーマンも経験しています。
外から蕎麦屋を見ていたから蕎麦屋に求めるものが厳しい。
その厳しさが、客への温かいもてなしに変わる。
(岩舟・撮影、取材ページより)
ダイヤモンド社刊 1800円(本体価格)著作・鎌 富志治
詳しくは
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松翁 猿楽町  遠くて近い距離

2007-07-13 07:59:26 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区
雨が結構強かったが、神保町駅から、『松翁』に急いだ。
もう3時、お腹がペコペコだった。嫌な雨がしとしと降っています。流石に客も1人、これはゆっくりできると安心した。


(鱧天がまずひとつ、右のほおずきは中を開いて実を食べます)

天そばは三種あったがやはりここは鱧天でしょう。天ぷらは、ひとつずつ揚がり順にご亭主が持ってきてくれる。これはお弟子さんの蕎楽亭もよいところを学んでいて、同じです。鱧がひとつ上がる。その後に野菜が来る。最後にもうひとつ鱧が来る。


(上が万願寺唐辛子、横が舞茸、これを食べるともうひとつ鱧が来る)

客はその都度温かいものを味わえます。ご主人以外に職人さんは3人。ここは花番さんは置かず、フロアーは女将さんを中心に職人さんがもてなしてくれます。
築地のさらしなの里や、白金の三合庵も同じで、職人さんは蕎麦技術ばかりでなくお客の顔つきを見ながら、客あしらいも学びます。いざ独立となっても花番さんの気持ちも理解できるというわけです。
野菜は万願寺唐辛子、舞茸などきますから、結構食べがいのある量です。



今日の2色もりは、唐辛子と生粉そば(十割)、5日ぶりの蕎麦だから新鮮な気持ちで手繰り寄せます。生粉蕎麦はこちらでは並そばとメニューに書いてありますが、立派な十割そばです。唐辛子そばは、思ったより辛くはなく、色付けの風流を楽しみます。

(色のついた更科蕎麦に唐辛子の星)

今日は湿気が高く蕎麦のつながりはどうなのでしょうか。特に唐辛子そばのつながりに苦労があるのではないでしょうか。
蕎麦は適度な温度と湿度が打ちやすく、湿度が多いと蕎麦に水が入りすぎて加減が難しくなります。
「雨の日は蕎麦はどうなんでしょう?」客もいないので職人さんに訊ねた。
「雨の日は、どうしてもお客さんの入りが・・」
「いや、蕎麦のことなんだけど」蕎麦のことを聞いて客の入りのことが返って来たので、言い直した。
「あ、水の量調整します・・」
雨は蕎麦屋にとっては、客の入りにも蕎麦にも影響があるということです。特に手打ち蕎麦屋は多少足の便が悪いところにあるのが通例ですから、雨の日にどう持ちこたえるかが工夫のしどころです。
遠いという現実的な距離を縮める魅力をどれだけ持っているか、そんな引力が必要になるというわけです。特に隠れ家的なお店はさらに大変でしょう。

帰りは神保町の駅までは5分、雨も上がっています。よい蕎麦に出会ったのでその距離は近く感じました。
夜も出来たら蕎麦を食べられたらと、この4日間の空白(大袈裟ですが)を早く埋めたいと気がはやります。11日・水曜

手打蕎麦切 松翁 東京都千代田区猿楽町2-1-7 03-3291-3529 
                  11:30~16:30 17:00~20:00(土)11:30~16:00
                  定休日/日・祝  前回の記事

『こだわり蕎麦屋の始め方』おかげさまで先月発刊

神田須田町に最初行くと5分は迷う蕎麦屋があります。
客が感じる遠い距離感を亭主の「こだわり」が縮めてしまう。
彼はこの場所を探し当てるまでに6年間かけた。
ダイヤモンド社刊 1800円(本体価格)著作・鎌 富志治
(写真は神田・眠庵の取材ページ)
詳しくは
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176 練馬  蕎麦打ちを楽しむ

2007-07-12 08:09:22 | 世田谷・杉並・練馬・北・荒川・豊島



練馬は、僕のオフィスからは心理的に遠い。
めったにない機会だから、思い切ってお昼にいこうと考えた。予想よりも大きい店でした。入り口にカウンターがあり、奥に入ると、広々としたテーブル席と小上がりの席も用意されている。

一人だからカウンター席に案内された。カウンター席の目の前は、そのまま打ち場になっていて、ご亭主の蕎麦打ちが見れる。
今日は梅酒です。イカの沖漬けに、卵焼きを貰うことに。お昼だが、久しぶりに会議のない週末で、のんびりさせてもらうことにした。
人の蕎麦打ちをゆっくり見るのは久しぶりです。淺川で50人前の蕎麦を打つのを見学させてもらって以来ですが、そうこれまでにも何回も見たわけではない。



イカの沖漬けと梅酒は我ながらなかなか良い組み合わせになったと思いました。イカのもったりした味わいと梅酒の甘みはちょうど良かったですね。



卵焼きは甘みが強めで、このような卵焼きフアンは確実にいます。油は強くなく、食べやすくなっています。



ご亭主の粉のひきまわしは、ゆっくりした感じで慎重な手さばきです。水入れも蕎麦の顔色をみながら、考えながら足していく。蕎麦打ちをこうやって眺めるのもいいものです。それこそ、延しは、僕の目の前ですから、ほんの些細な動作も見ることが出来ます。


(旬もの鱧天、衣がカリンとしていました)

その蕎麦がきました。今日の天ぷら蕎麦は鱧だというのでそれにしました。天ぷらは衣がカリンとしてしっかりしています。鱧が食べられたのは幸運でした。ご亭主が蕎麦を打っている間に卵焼きも天ぷらもレベルの高い物が上がってくるのだから、よいアシストをする方が厨房におられるのでしょう。
練馬まではなかなか来る機会がないでしょうが、お昼のんびり梅酒が飲めて鱧の収穫があったのでよしとします。6日・金曜

176そば 練馬区練馬1-7-6 03-5999-1765     
             11:30~15:00 17:00~24:00

『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から発刊しました。


前橋・淺川さんは、50人前を1時間余で打つ技術を得た。
「こだわりとは」、高い技術に昇華してはじめて意味があります。
全200頁 1800円(本体価格) 著作・鎌 富志治
(写真は前橋・淺川の取材ページ) 
詳しくは

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更科堀井 麻布十番  ご夫人の居心地

2007-07-10 20:25:59 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

土曜日から、火曜まで蕎麦を食べる機会がなくなるから、
いまのうちと思うのですが、そんな時に限って用事ができてしまう。
駆け足で堀井に飛び込んだ。時間は12時過ぎだったが真ん中の10人席の大テーブルが空いていた。太打ちと笹切りそばを頼む。

待っている間になんとなく隣の女性二人の会話が聞こえた。どうも2人は知り合いではなく、この日にたまたま隣りあわせただけのようです。
70歳代の品のよい女性は堀井が初めてのようで、注文では堀井の八代目に色々聞いている。この蕎麦は硬くないか?歯が強くないから噛めるだろうか?

そのことに八代目が丁寧に答えている。昼時の忙しい合間に面倒な態度ひとつ出さず、ゆっくりと彼女が聞き取れるように説明していた。
「ここは美味しいらしいですね」隣の女性との会話に戻る。
「いいお蕎麦屋さんですよ。私は週に一度は来てるんですよ」常連の女性が答える。
ご夫人たちは互いに居心地が良さそうでした。


(太打ちも、洗練された綺麗な姿です)

太打ちが来た。僕も歯が丈夫なうちにこのような噛み応えのあるそばをせっせと食べなくてはいけない。
知らない同士が隣り合わせて会話が弾むのも蕎麦屋ならではでいいですね。噛み応えが合って剛直な蕎麦です。
強い弾力、香りも立ちながら喉に消える。薬味が要らない蕎麦でした。
右隣に親子連れが3人、掻き揚げそばの注文を花番さんに出す。追加で卵焼きも頼む。ここの卵焼きはどうだったかな・・と考えていた。確か、甘みが強い、薄い焼き布を重ねたしっとりした出し巻きだった。

「今日は、○○じゃ無くていいの?」女将がその3人の親子連れのところに挨拶に来て、花番の書いた伝票を見直して、声を掛ける。
「珍しいのね?」どうやら、この常連さんは掻揚げではないものをいつも頼むようだ。何気なく声を掛けたようだが、花番に聞き間違えが無かったのか、念のために確認に来たのでしょう。
何気ない目配りだがさすが老舗だと思った。ただ流行っているだけの大店で機械的に客をこなしてるわけではないのです。

蕎麦屋でおよそ大変なのは、オペレーションと客への配慮です。花番さんもにわか仕立てのパート、アルバイトさんが主流ですから、全部が全部管理する余裕がありません。実は客が一番気になるのはその対応です。
亭主が美味しい蕎麦を作っても、客が実際に言葉を交わし、触れるのは花番さんであり、女将さんです。
手打ち蕎麦屋は、その人間味のある接し方の差が決定的なポイントになるから、手打ち蕎麦屋は実にやっかいで神経を使います。

しかし、客がそれを求めに来るのですから、そこをクリアしておかないと、いい印象を客に残さないわけです。


(笹の葉の香りが顔に届きます。端麗な切り口)

笹切りが来た。花番が薬味の追加を聞く。僕はほとんど山葵などは後回しだから、それは要らないと断る。
見て黙っているのと、念のために聞くのとでは客の心理に大きな差が生まれるものです。
「蕎麦湯は下に沈んでいるからこう揺すって注ぐと・・」横では隣りあわせのご婦人に教えている。なかなかよい光景です。
僕もつられて蕎麦湯をゆすって全部飲み干しました。堀井の蕎麦湯桶は一人だろうが3人だろうが同じでとても大きいので、お腹が蕎麦湯でいっぱいになりました。

先日、たじまの帰りに落とした豆源のお土産を買いなおして、今日は電車に忘れないで帰らないといけません。
ただ、このお土産は家ではなく途中下車の可能性もありますが。5日木曜・お昼

更科堀井
港区元麻布3-11-4 03-3403-3401
               11:30~20:30 定休日 水   
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『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から発刊

蕎麦屋の良し悪は、花番と女将で左右されますね。
お客は気にしていないようで、一番そこをよく観ている。

全200頁 1800円(本体価格) 著作 鎌 富志治(かま としはる)
写真は大塚・岩舟の取材ページ。

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大天門 浜松町  点数は厳しくなる

2007-07-04 21:52:09 | 中華・エスニック・欧

相変わらず盛況です。メニューも今月から変わったとのことで楽しみです。

時間はいつに無く遅く、もう8時30、それだから、少し飲んで、ラーメンを食べようと3人で入った。


(すずきの中華風ソース掛け。辛みをうまく効かせてある)

ここは旬ものをうまく中華にアレンジする。まずはすずきの中華ソース掛け、とうがんとタラバガニのあんかけ、それにぜひものの餅豚の釜焼きをオーダーした。



「今日の餅豚は
60点かな」60点と言ってもまずいというわけではない。完成度が高くなってきたから、点数が辛くなってきているのです。肉の真ん中にレアの部分が今日は無い。

やはり、釜焼きはその日でかなり違ってくるのでしょう。

蕎麦もそれは毎日微妙に違います。だから、理想的な仕上がりの基準を持っていないと、何処にぶれて行っているのかがわからなくなります。

その理想を高く上げて行かないと、やがて妥協が始まり、一番先に客が気付きあっという間に人気が逃げていく。継続こそが客商売の基本だと僕も先達によく言われました。


(冬瓜のタラバガニソース掛け。塩味ベースでたっぷりしている)

「支配人に言わないのですか?」連れが僕をけしかける。

今日はどうも彼は休みのようだ。もしかして、2階の団体客にてこずっているのかもしれない。前に2階が満席のとき、とうとう下りてこなかったことがあった。

餅豚などの採点は支配人にしか勿論言わない、それは聞かれたから言うので、聞かれなかったらわざわざ言わないし、余計な事をして腹を立てるお店もあるから、無難です。

とうがんとタラバガニのあんかけはこれはなかなかの一品でした。ここは味が全体的に醤油が強くなくて薄味だから食べやすい。それにしても冬瓜が今の時期だというのも名前からして解せないです。

僕は田舎だったから、そう言えば冬の頃まで夏の冬瓜を蔵などにおいてあったことを思い出す。

その他、青ザーサイと干し豆腐とニンニクの芽の炒め物などを取って駆け足で、主食物をオーダーした。

酸麺、坦坦麺、海鮮焼き蕎麦、3人だと色々食べられる。


酸麺


海鮮焼き蕎麦


坦坦麺

とうとう最後まで支配人が出てこなかった。もしかして休みかもしれない。客を一番気にしている人が居ないと寂しい気がする。

点数は次回に持ち越しにした。

大天門
 港区浜松町1-24-7 03-3437-7211 
   
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『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から発刊

 

よい蕎麦屋から出てくると、よい後味が残る。その後味の良さとは

何処から来るのでしょうか。それは創れるものだと思います。

全200頁 1800円(本体価格) 
著作・鎌 富志治(かま としはる)
詳しくは

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素朴庵 矢川  一番になる亭主の夢

2007-07-03 08:17:48 | 近郊・神奈川・千葉・埼玉・茨城・長野他



「素朴庵」では我々のような客は珍しいかもしれなかった。

11時20分くらいからビールと日本酒、客数は16席の店だから目立つのです。

お客さんは次から次とよく入ります。しかし、蕎麦前の客は余り居ないから客の回転が速い。蕎麦を食べて入れ代わっていく客の中で我々は日本酒のお代わりを遠慮しながら追加していく。

『撮影会ですね・・』女将さんだろうか、少し含み笑いをした。肴が来るたびに4人がそれぞれカメラを差し出すので、なんとも可笑しいグループに見えたのでしょう。

小マメ太郎さんなどは宮本武蔵のように二刀流です。アップ用のカメラ、ノーマルアングル用のカメラをしっかりと腕がぶれないで、二台自在に扱う様はなかなかのものです。僕は新しいデジカメを買ったから、そのグレードアップした性能を楽しみながらシューティングしておりました。


(イクラの醤油漬けとぬか漬けの盛り合わせ)

出汁がたっぷり入った卵焼き、ぬか漬けの盛り合わせ、いくらのしょうゆ漬けなどをいただいて日本酒をそろりそろりとやっていました。



今日は4人、花まきさん小マメさんのいつものメンバーに、久しぶりのエルムさん、寒い時期に「きょうや」さんの鴨鍋に参加していただきました。

きょうやさんはここから一駅、従って夏の鴨鍋もどうかという話題にもなりました。

蕎麦屋にいて蕎麦屋の話題も不謹慎ですが、これだけ蕎麦好きが集まると自分の行ってない蕎麦屋のことを聞きたいし、お互い行ってきた蕎麦屋の情報交換もしたいのです。


(出汁がたっぷり入り、さらりと攪拌して焼いたしっとりタイプ)

蕎麦屋の感想ほど細かい話になると好みが出るものです。みんなが同じ評価が出る蕎麦屋はそれだけ稀れだということにもなります。

しかし、その評価の基に、現実的には流行る蕎麦屋と商いの薄い蕎麦屋が出るのはなぜなのでしょう?そんなことも今回の出版の大きなテーマでした。人気や魅力は意識的に作れるものだろうか?そのことにも大胆に切り込んでみました。

途中、蕎麦を食べることになりました。「素朴庵」さんのメニューには蕎麦が三種類があります。

更科、田舎、蒸篭、これだけの蕎麦を打つのは大変です。しかも、朝は10時開店、もちろん客が入りだすのは11時過ぎでしょうが、蕎麦以外の仕込みも大変です。


(真っ白な更科蕎麦。思いのほか量がたっぷり)

最初に4人で更科を二人前注文しました。つゆは4人分がありがたい事に出てきました。更科蕎麦は思ったより、量が多くて二人で十分でした。

小さな甘みのデザートが出てきました。きっと、これが〆のお蕎麦と思われたのでしょう。ところが客は普通の客ではないのです。これからが酒も本番で、肴も掻き揚げを注文しました。



(低温でじっくり揚げた掻揚げ。玉ねぎの甘みが美味しい)

田舎と蒸篭の2種盛りをやはり4人で2人前注文しました。


(せいろも田舎蕎麦に近い肌をしています)

蒸篭は普通のお蕎麦屋さんの田舎蕎麦のような黒みが入っていました。湯で捏ね上げた蕎麦をいただきました。最近の手打ち技術マニュアルでは水捏ねが主流です。水捏ねを基本とした蕎麦打ち技術で現代技術が完成されてきました。

その中で開店以来湯捏ねを通してこられています。それは、はっきりと他の蕎麦とは違うとのお店からのメッセージです。湯捏ねが蕎麦に与える影響はまだ科学的に解析されていません。
どうしたら上手く蕎麦がまとまるかということと、どうしたら美味しい蕎麦が生まれるかということは同じではないからです。あと
45年でそれが科学的、技術的に解明される日が来るとは思います。

蕎麦の美味いか、好きかを判断するのはお客です。もちろん、そのことのひとつだけが今はお客の判断基準ではありません。客の求めるものが複雑になって、多様性を持ってきたからです。


(田舎は透明感があり、湯捏ねの特徴が出ているかもしれない)

田舎蕎麦はかなりの細打ちです。田舎の細打ちは、銀座「流石」がさらに細いですが、この粗引きをまとめるのは並大抵の力技ではないかもしれません。湯捏ねだからできる蕎麦かもしれません。

お客が多様な興味を持ってきたから、蕎麦屋にも多様な蕎麦が出てきました。その中で一番魅力的な蕎麦屋になりたいのが亭主の夢です。
そんな亭主の夢を我々が見られるのはなんと幸せな時代なのでしょう。

日曜ここまで、電車を乗り継いで、湯捏ねの力技を見に来た甲斐がありました。

素朴庵 国立市谷保6721-1 042-571-1

      10:00~1500  17:00~20:00

     定休・第1,3月曜

 

『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社から発刊

蕎麦屋の人気や魅力は、意識的に創れるのだろうか。

現代手打ちに新しいセオリーを提案

全200頁 1800円(本体) 著作・鎌 富志治(かま としはる)

詳しくは

 

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三合庵 白金  ゆっくり喉を歩く蕎麦

2007-07-01 08:38:00 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

三合庵の雰囲気がどことなく違う。
玄関の横に同じような格子の白壁が二つ並んでいる。こんな大きな店だったのだろうか。
カメラに全体が収まらないから、そのままシャッターを切った。
玄関をくぐって、店内に入ると、前とは景色が違っていました。
1人だから10人席の大テーブルに案内された。前にはもちろんこのような席が
なかった。座って眺めると、そうか、お店が倍くらいに広がった。
横を広げたようです。

正面からお店を撮ろうとしたときに感じた違和感はお店の拡張だったのです。
しかし、玄関は改装せずそのまま、内装も前の感じをそのまま残してあります。

席数が増えて30席、センターに今流行の給仕ボックス兼レジカウンターが
あります。単純に坪数が倍になってもゆったり寛げる空間を確保しています。
時間は1時半頃、お客さんが切れてはいない。この場所は大きな病院の横にあって駅が遠い割には人通りも多い。
聞くと、お店の拡張は昨年の3月だそうです。だとすると、相当三合庵には来て
いない事になる。
メニューは比較的最近のお店としては品数が少ない。蒸篭は決めてあったが、あと一品が迷う。外の暑さに温蕎麦の決心がつかない。多分汗が吹き出るのではないでしょうか。


(端麗で姿が美しい。ふくよかな味わいです)

せいろがきました。その前につゆを飲みます。美味しいつゆでした。
醤油のふくらみがあって、甘みは味醂と出汁でつくってあり、必要以上の砂糖が入っていません。
これだとお酒のあてにいただきたくなります。
蕎麦がくるまでになくならないよう少しづつ口に含みました。
横のお客さん達は4人連れで、ビール、いたわさ、出汁がたっぷりの卵焼き、
天ぷらでビールでした。
3時から人に会う約束でしたから酒を我慢しました。


(星が平均して回っています。丁寧な粉挽き)

蕎麦はふくよかな味わいが広がって、喉をゆったり歩きます。
細打ちで品のあるそばです。
粉の引き回しがいいから、星の散らばりが均一になっています。

温かい蕎麦は九条葱の蕎麦をお願いしました。出汁の旨みが強く出ていて
醤油は薄味、蕎麦の風味が生きていて、九条葱、白葱の微妙な味わいとよい
バランスが取れています。


(澄んだ汁。蕎麦の味わい、具のバランスがいい)

外の暑さも考えず一気に食べて、汁も一滴残さず飲み干しました。



僕は7年前に初訪問した時から、三合庵の玄関が好きです。この渡りをくぐる時、蕎麦を食べに来たんだな、そんな思いにさせます。
しっくり、長い間お客さんに愛される佇まいです。
今回の改装にも
そのままであったようでホッとしました。
新しい三合庵は、
お昼に蕎麦だけでも食べに来て満足できるお店になっていました。

 
   三合庵  港区白金5-10-10 ℡ 03-3444-3570
        営業時間 11:30-14:30 17:30-21:30
        定休日 水曜・第3木曜   

『こだわり蕎麦屋の始め方』ダイヤモンド社発刊

今回初めての蕎麦本を出させていただきました。
全200頁 1800円(本体価格) 著作・鎌 富志治(かま としはる)
詳しくは               

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