蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

更科堀井 麻布十番  冬篭りの蕎麦

2006-11-29 08:40:00 | 麻布・六本木・赤坂・白金周辺・千代田区

堀井で一杯となったが、夜は初めてかもしれない。
といっても、まだ時刻は5時過ぎたくらいだから、丁度2時4時と宵の口の狭間でお店ものんびりした空気がある。かといって緊張感が無いわけではない。

老舗の良さはなんと言っても目配りと対応のよさがある。席の案内も丁寧だ。ぞんざいな感じがない。お連れの方は、今日初めてここにご案内したので、僕が堀井で食べていただきたいものを選んだ。
卵焼き、小田巻き蒸し、掻揚げ、これらは堀井の人気商品だと、自分で思っている。特に掻揚げは蕎麦屋の中でもベスト3に入るのではないか。
サクサクとした食感が素晴らしいし、ゆっくりと揚げだしていて油落ちがよくて思いのほかあっさりしています。卵焼きも薄焼きを重ねた甘みを強調した出汁巻きらしい一品だ。


( 色合いが鮮やかな出汁巻き。甘みに特徴があります)


(掻揚げは海老がたっぷり入っている。色白美人で形がよい)


(小田巻き蒸し。饂飩をとぐろまきにして玉子汁を流して蒸す。横は大酒猪口)

今日の変わり蕎麦は、柿の葉切りそば。肌あいが柿の葉の色に染まっていて美しい色合い。
柿の葉自体の香りがどんなものか僕は良く知らないが、余りその葉の香りが届かなかった。これは柿の葉に染まる更科の顔色
を楽しむものかもしれない。
11月一杯までの柿の季節を惜しむ季節の移りを楽しむ蕎麦なのでしょう。


(柿の葉切りそば。柿の葉の砕いたものが飛んでいる)

12月になると渋柿で作る干し柿が出回ってくる。冬篭りの季節がもう直ぐそこに来ている。柿の葉を熱湯につけてやわらかくして砕いて、更科粉に練りこむ。そんな手間が掛かる蕎麦です。

老舗は変わり蕎麦を毎月変えて出してくれるから楽しい。
一年を蕎麦と過ごしている実感が湧いてくる。28日・火曜

更科堀井の前回の記事・住所

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週始めと、週納めのランチ

2006-11-26 22:03:07 | 今週のひと品

カレーのランチは、このところ中村屋か、モティの交互になっている。
モティのカレーは北インドのカレーで東京でも老舗にはいるのではないか。
なんといってもこの大きなナンがすごい。これまでにも完食した事はない。


(巨大ナン、カレーは、左からマトン、野菜、鶏)

ナンはソフトで油が若干強く出ているが、甘みがあります。僕は、今日は1100円の3カップのカレーがつくランチーセット。
モティでは是非ものになっているマトンカレー、野菜カレー、鶏肉カレーの3種類がきます。季節によっては海老カレーなどもセットになることもあります。
カレーは香辛料に深みがあって全て3種類とも違った味感のルーが楽しめる。20日・月曜はカレーで始まる。
モティ港区六本木6-2-35 六本木ハマビル3F 03-3479-1939

もう一品は江戸川区松本「薮」の田舎蕎麦。
10月の新蕎麦は北海道だったが、今日は茨城産新蕎麦。やっと本来の薮の蕎麦に戻った。蒸篭(江戸蕎麦)と田舎を食べた。
田舎が大変美味い。香りも味もしっかりあって噛み砕くごとに甘みが広がる。思わずもう一枚お代わりを出してしまった。


(香りが高く、噛むごとに甘みが広がる、田舎蕎麦)

産地は茨城産でも城里の方だという。久慈や金砂郷よりやや内陸に近いが常陸に隣接しているから土壌もよいのだろう。
26日、日曜の2時過ぎなのに満席。鴨鍋で一杯やる客もいてうらやましい。一度は夜に車を捨てて呑みに来たいと思っているがまだ果たせずにいる。週の終わりは蕎麦で納めた。
酒菜 
江戸川区松本2-4-4 03-3652-3249 前回の記事

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湯津上屋 銀座  365日通う客

2006-11-25 12:14:04 | 銀座・新橋・芝・築地・港区・中央区・墨田

店を仕舞うときに予想外の展開になった。
いつものように、蕎麦豆腐、醤油漬け、掻揚げ、蕎麦寿司などをやりながら昨晩は焼酎で体を温めた。とにかく、急に夜になって冷えた。始まりがもう7時半近くになっていたので飲むピッチが早い。

ラストオーダー近くになったので僕は久しぶりに地獄蕎麦でした。連れは必ず蒸篭です。このところ、彼は湯津上屋一辺倒で、前回が「流石」だったから今日はもう最初からここに来ると決めていて僕も附いていくしかない。
僕らと同じようにずっと男女の組が一席空いて飲まれていたが、何かの拍子に連れと、その女性の方が会話を交わした。
何が切っ掛けになったのか忘れたが酔っている者同士のことはよくわからない。

「そうなのよ、私は365日ここなの」
思わず僕も彼も笑った。僕はよく来る方だが平均でせいぜい3週間に1回だろうか。
「そうなんですよ、毎日来ていただいてるんです」女将も言う。
毎日来ても営業日からすると300日くらいかな、と僕は酔っている頭でぼんやり計算した。
「日に2回の時もよくあるのよ」豪快に笑う。

それだけ来たら確かに365回にはなる。それだけ来るには訳があって、鼻の先に彼女のオフィスがある。彼女はもう60歳に近いだろうか、現場にも出る設計士だという。
若い頃はカンナも削る、いわゆる大工仕事からたたきあげた店舗設計士で、当時女性は珍しかったと、彼女の連れが教えてくれた。

「若い子達に、この店の設計を見せに連れてくるのよ」
この店の手造りのよさを勉強させるのだという。現役の猛者の女性設計士がそ言うくらい湯津上屋の内装には良いものがあるのだろう。
僕も来るたびに何回もブログで設計や内装については取り上げてきた。
この店を任された大工の棟梁は幸せものだ、そんなことを2回ほど書いた。
「大工さんは幸せだったでしょうね」僕が言った。
「ここの内装、ご亭主が何もかもやったのよ!」設計士が笑い飛ばした。
「・・・・」絶句した。
内部の設計自体もご亭主がされ、材料も全部自分が調達して、自分で仕上げたそうである。
もちろん、枠組みは大工に頼んだそうだ。
「4ヶ月掛かったんですよ」
僕が女将に工期を聞いたら笑いながらそう答えた。
自分で作ろうとしたご亭主もご亭主だが、それを許した女将も立派なものだ。
女は早く商売をしたいに違いないものだと僕は思っている。
こんな話は店の閉め際にしか聞けないだろうな。常連の方がいて、予想外の話も聞けた。

YATAIBARに彼を誘った。湯津上屋のすぐ側にあるからどうも避けて通れない。しかも僕の好きな赤ワインが5タイプくらいあって、グラスで安く出してくれる。
彼にご亭主の設計内装仕上げの話をした。彼はそのときお手洗いに行ってその話しに加わっていなかった。
「感動するね、ホンモノだね」
元アートデレクターはこんな話には僕より更に弱い。コロリといかれる。
前日行った眠庵の話もした。眠庵のご亭主も大枠大工に作ってもらって自分で仕上げた。その話は彼が夢ハで友人と話をしていた時に少し聞かせてもらっていた。
彼の場合は半年は掛かったのではないか。
「蕎麦屋はいいな・・もう一杯いこう」彼の機嫌が更によくなった。

この日は、毛布のひざ掛けをしてワインを飲んだ。
もう一月したらこのオープンエアーの店で寒くて飲めないかもしれないが、どうだろうか。

津上屋の前回の記事。

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眠庵 神田  ビンテージの蕎麦が香る蕎麦会。

2006-11-24 06:47:21 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区

10人くらいのこじんまりした蕎麦会である。
もっとも8種類の蕎麦で趣向をこらすというからその程度の人数にしないと大変である。
昨日のお昼12時、眠庵のお昼の部の蕎麦会です。夕方の6時からもう一度同じ人数で会があるからご亭主も大変である。僕は初めての参加でしたが、何人かの方は常連の方のようでした。

お話を聞いているとこの会自体は久しぶりの開催なのだそうだ。それだけに皆さん、声が弾んでいてその嬉しそうなお気持ちがよく伝わってくるのでした。
お酒や肴は持ち込み自由で中央に寄せられたテーブルの前にそのお酒や肴が回ってきます。宇和島のじゃこ天や大阪土産のじゃこの佃煮など地の銘産に舌鼓を打つ。


(左はお土産のじゃこ天、作り立てのまだ温かいお豆腐)

作り立ての眠庵名物のお豆腐とおからも用意された。
最初の一時間は皆さんの持ち込まれたお酒の時間であった。僕は新潟の鶴齢のボトルを選んできた。僕の横にお座りの方が、磯自慢、喜久酔を提供してくださった。

磯自慢は2年寝かせたもの、喜久酔は3年寝かせたものだった。いわゆる、ビンテージものだが、その磯自慢が特に美味い。酒の甘みがトロンと舌に転がる。霊水が美酒に化けるとはこのことを言うのだろうか。こんなにおいしい酒を僕は飲んだことが無い。
この感想は、何かの折に眠庵のご亭主に是非聞いてください。これは2年寝かせたせいなのか、その年の酒米がよかったのか、ビンテージのよさが日本酒にもこんなにも強く出るとは知らなかった。
お隣の席の方は年齢も30代で酒のビンテージものを2本、しかも最高レベルのブランドを提供されたのだから、まだその他にも保管されているのだろう。
酒の味わい方、表現も的確で必要以外の事も言われない。宵待日記のしおんさんに匹敵されるかもしれない。


(写真は八枚の蕎麦丸ぬきです。粒を噛んでもそれぞれ若干味が違う)

酒を十分飲んだ後、一気に八枚の蕎麦が出る。一枚多分45グラムくらいだろうか、それでも八枚だから、相当な量である。普通の店でせいろ3枚と半量。
(●これは、後日ご亭主から60グラムとのご連絡を頂いた。なんと計480グラム。蒸篭4枚はあったのです)


(北海道、奈井江の新蕎麦。バランスのよいお蕎麦でスタート)

最初の一枚は、北海道の奈井江新蕎麦、バランスの良い蕎麦でスタートした。ここから一気に八枚出てくるのです。
山形、栃木、茨城、黒姫、徳島、鹿児島の順で最後が福井でした。

(産地は栃木、男性的で強い香りだが、品のあるお蕎麦でした)

僕の中で一番は栃木でした。芳香が高く、しかも品があってこしも適度なら、歯触りも豊かでした。
この中のビンテージものではやはり茨城の常陸秋そば、これは昨年の物を更に2年ほど寝かせたいと言ってるので、またそれはいつ食べれるのか楽しみです。それだけ昨年のものはよいとの評価をご亭主が持っておられるのでしょう。



(徳島の手刈り、天日干しの4年ものビンテージ蕎麦が香る)

ビンテージもので特異なものは徳島産、4年前の物でしたが、香り立ちは薫香の形容詞が相応しい気がしました。歯触りは田舎に近いが、田舎とも違う舌をくすぐる触感がよく、これは更に寝かせておくのだそうです。
徳島と聞いて個人的に敏感に反応する事があってその感じ方は僕だけかと思ったのですが斜め前の女性の方が同じような事を感じられたようでした。
最近は保管技術がよくなったせいか安心できるところで長期に預かってもらえば、その年のよい蕎麦を何年にも渡って食べられる。蕎麦好きにはよい時代になった。それをご亭主がこのような席を設けて教えてくれた。
よい技術はよいものを産んでくれる、見本ですね。お酒のビンテージものは更に美味しく転ばせるものだが、蕎麦の場合は美味しい時を持続するためのもの、時を超えてその美味しさが蘇るのだから幸せである。

お隣のまだ若い方からもお酒のことを沢山教えていただいた。まだ知らない事が沢山あることもよくわかりました。
さて、お腹もいっっぱいになって、3時。ここから上野が近いので国立博物館の仏像展にこれから行ってまた違う事を教わりに行こうと思っています。
(八枚の蕎麦の写真は全て撮ったのですが、目では違いがわかるのですが写真では その違いがよく説明しきれないので割愛しました)

眠り庵の前回の記事・住所。

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みかわ 六本木  ジューシーなステーキのよう

2006-11-22 21:04:35 | 天ぷら

六本木ヒルズの「みかわ」のランチになった。
先日深町に行って、次はオフィスの近くに来てくれたときに、「みかわ」か「竹やぶ」に行こうかという事になっていた。
やはりここは深町にも行ったし、みかわに入って、それなりのレベルの天ぷらの美味しさを体に憶えこませよう、となった。

時間も1時過ぎだ。小上がりのお座敷が空いていた。と、なるとビールくらい許されるか。
みかわのランチは、2600円くらいの刻み穴子丼と茶漬けのコース、5000円台と7000円台の天ぷらコースがある。
梅コースの5000円台のものにした。



最初は海老と、海老の頭である。2人とも、深町の天ぷらと比べている。明らかに違いは衣の厚さが違っている。油も違っていた。衣はみかわの方が厚い。油は深い。
その違いは、どちらがいいとか悪いとかではなく、天ぷらに対する考え方の違いのような気がする。



深町の天ぷらは甘いサラダのようである。みかわの天ぷらはジューシーなステーキのようである。
もちろんこんなことを言って食べていたわけでもなく、仕事の話をしながら、ところどころに感想を挟んでいた。天ぷらはキス、野菜3品と穴子、すみいかが来た。穴子はもちろん美味いが、今日の出色はすみいかであった。


(すみいか、やさしくてジューシーで芯に甘みがあった)

これは本当に美味しかった。それこそジューシーなイカの味わいがあって素晴らしい揚げ具合であった。よいすみいかを油にくぐらせて潮の香りさえ運んできたような気がした。

前回にも思ったが、みかわはやはり茶漬けだろうと思う。この茶漬けの小柱の天ぷらは壊れにくい。茶漬けの湯に負けないから溶けにくい。箸で解きほぐしながら食べる楽しみがある。最後まで、ご飯と天ぷらが上手く噛みあって豊かなご馳走になっている。


(ここにきたら天茶漬けをお薦めしたい。これとお新香でOKかも)

お昼は、僕はこれとお新香があれば満足かもしれない。
いずれにしても、次は茅場町だろうか。彼とは、そんな話になった。

みかわの前回の記事・住所。

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たき下 麻布十番  産直の汐風

2006-11-21 20:31:59 | 和食
魚は福島小名浜港、焼津小川港からの直送だそうだ。
待ち合わせより少し早く行って、カウンターの目の前のご主人から多少の事を聞いた。京都たん熊などを経て、6年前くらいにここで開店されたという。
今のたん熊は由緒のある重々しい感じはあるが、初代のたん熊の始まりは板前割烹であったという。注文を受けてから作るというそんな料理屋であったらしい。
その板前作法に当時の名だたる文人達が通い詰めたのだという。しばらく前、たまたまランチで入り、焼き魚やお刺身を食べて、魚の吟味、焼き方を見て次は夜にと決めていた。

福島や焼津からの直送なら魚はいいに決まっているし、小名浜や小川(こがわ)港は料亭魚で名の高いところである。
だが、直送も地元の仲買と相当な信頼関係がないとよいものは送られては来ないし、結局は長く続かない。
直送の限界もそこにあり理想はあってもそこで挫折する。だが、それを6年も貫いているのだ。開店前に築きあげた信頼とそれ以後の大変な努力があるのだろう。


(一人前用のすっぽん鍋。豆腐、葱に加えて餅がひとつ)

コースをお願いしてあって、すっぽん鍋が出てきた。最初からこのように鍋が出るのは初めてだ。これは初代たん熊が考案した一人前すっぽん鍋を倣ったものなのだろう。たん熊初代の考え方をそのまま麻布に創りあげたような店なのだろうか。

お連れの方がワイン好きで、赤ワインにしていたから、ちょうど良かったかもしれない。すっぽんの旨みが薄味のスープに溶け込んでいて滋養がありそうだ。一人前の鍋だから面倒が無く食べやすくてありがたい。


(左上がめじ、右がしょっこ、真ん中に天然鯛、蛸)

お造りは、メジ鮪、しょっこ(かんぱちの若魚)、天然鯛、蛸、それぞれが産地のよさがあって豊かな味わいがある。
メジも、しょっこも若魚らしくその淡白さのなかにも甘みがある。入店したときの目分量では7割くらいはほぼ予約で埋まっていた。


(めいたカレイの一夜干し。台には黒むつが隠れている)

7時を過ぎた頃には、フリー客もあってほぼ満席に近くなってきている。客の年齢は比較的若い。20代、30代の男女が8割くらいか。これは、それだけリーズナブルな価格設定になっているのと一品物でオーダーできるから料理屋とはいえ気軽なのだろう。ワインのボトル売り、日本酒の一合売りも思いのほか安い。
神亀の冷酒をワインの間に挟んで注文した。


(蕎麦の実と鱈の蒸し煮。きのこがたっぷり添えられてある)

蕎麦の実と旬の鱈の蒸し煮は初めて食べるもので、蕎麦と聞いて慎重に鱈などを解きほぐして食べました。具に銀杏なども入っており、鱈の淡白な味もあって、複雑な味わいのある美味しい逸品でした。


(笹に包んで蒸された穴子飯。甘いもち米だった)

アナゴのいい(飯)蒸しはもちろんもち米なのですがトロミのある粘りのあるもち米で、これも笹の香りが移っていて良かったですね。


(へしこの茶漬け。へしこの辛味が溶けてよい味わいでした)

〆はお茶漬けです。3種類ある中で僕はへしこの茶漬けを選んだ。このへしこの茶漬けも僕は初めて食べたが、塩味や辛味が茶漬けのスープに溶けて期待した以上のものでした。
総てに産直の魚が上手に盛り込まれて、地元の汐風が吹いているようでした。次回は、一品ものでオーダーしていろんなものを食べてみたいが、それには3人くらいがちょうど良いかもしれない。
酒も、先ほどの神亀や十四代など厳選したものばかりだった。
このあたりは、美味い焼き鳥屋、料理屋、レストランが多い。目移りがする場所だ。
10年ほど前は、若い連中に連れられて七輪の焼肉苑や釜飯のむら田などに来ていたが、今は焼肉もよっぽど覚悟を決めないと食べられなくなった。
胃がもう蕎麦や和食系に慣らされてしまっていて目が拒否してしまう。今日のたき下は気軽な会食のせいもあったが、その胃がかなり堪能しました。
たっぷり食べて飲んだのに、帰りボージョレーのあるバーが2軒あり、その前を素通りできるかどうか自信はないが。

たき下の前回の記事・住所。
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蕎麦屋の洒落っ気

2006-11-19 23:15:20 | 今週のひと品
恒例物だが、今年も更科堀井のあられ蕎麦。
このあられと言う名前もなにか洒落っ気があっていい名前だ。冬の雨に混ざる、みぞれ、寒空に降るあられ、ひょう、すぐに一年の終わりに近づく季節の到来の信号のような気もする。

それともあられ煎餅になぞられたものか、むしろそちらに近いのかもしれない。蕎麦屋に限らず料理などもそんな洒落っ気のあるものがあるとニヤリと客も楽しくなる。
今の時期は、他には蛤蕎麦と、きのこそばがあるのだが最初はやはりこれにした。


(大粒の小柱が沢山入っている、あられ蕎麦)

海の物は甘汁にやや塩味を落としてくれたり、その滋養を流してくれるので香りが高くなり、旨みも深くなって飲み干した後体を温めてくれる。
秋から冬にかけて温蕎麦が欲しくなるが、季節の具材が入ったものに楽しみが出てくる。このところ生牡蠣に弱くなったので牡蠣蕎麦も楽しみだし、ホタテの旬も冬だ。
あと2週で12月、今年もいよいよひと月で終わりだ。年齢を重ねると、1日々が早く過ぎてしまう。
だから大事に大事に過ごすようにはしているがが、思う通りにはならない。
流されるような生き方が好きだから、計画はあってもないようなものになることも多い。それで無くとも12月は付き合いで人に会う事になる。
会うべき人には会って、するべき事はする。後一月だから、そうしたいものだ。

更科堀井の前回の記事。
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湯津上屋 銀座  ぬる燗とヌーボー

2006-11-18 11:57:16 | 銀座・新橋・芝・築地・港区・中央区・墨田

16日、美味い蕎麦屋に連れて行ってくれ、と盛り上がってしまった。
日本橋で5時に会議が終わって蕎麦の話になってどうにも収まらなくなったのだ。湯津上屋ならタクシーで15分だから、直ぐに電話をした。

4人相乗りで東銀座に向かう。お一人とはこの半年2度ほど食事をしていたが、あとのお2人とは 2年ぶりくらいになる。
「ヌーボーでなくて良いのですか?」と僕。
「ヌーボーの日に蕎麦屋に行くのもいいかな、それも教授お薦めの店で」
彼女の一言で以後僕は、彼らの間では蕎麦の教授と呼ばれる事になった。その彼女は、インテリアと陶磁器の専門家で、自分のコーデネートした商品を紹介する1時間のテレビ番組を持っている。
彼女が湯津の器を見たらなんと言うか楽しみではあった。

「こんな蕎麦屋があるんだ」前もってタクシーの中であらかたの事は言っておいたが、皆さんその造作に静かに驚かれた。ここでは、とりあえず教授に料理を任せようとなって僕がオーダー役となった。
卵焼き、蕎麦豆腐、醤油漬け、いたわさ、途中に挟む蕎麦寿司を頼んだ。蕎麦豆腐の美味しさに皆さん相槌を打つ。
「これは、とてもよいものですね」
女将が来た時、蕎麦豆腐の受け皿を手に持って、やはり彼女が言う。
「いえ、たいしたものでは・・」
ビールを2本飲んで、ぬる燗にしていたが、そのぬる燗の酒が止らない。それは2本づつ飛ぶような注文になった。


(写真は以前に撮ったものです)

5時半過ぎから飲みだして時間は7時、客がほぼ満杯になってきた。湯津の客は余り大きな声は出さない。我々のところが一番賑やかだが、それでもいつもよりは皆さん声を落として話される。
「空気がいいよね、この店」と、もうお1人の方。
小さくて狭い店だが、穏やかな空気感が漂っている。蕎麦寿司の美味しさに、これも皆さん思わず、厨房に声を掛ける。
ご亭主が嬉しそうに笑顔で応える。必要以上のことは女将も彼も言わないのだ。

さて蕎麦である。これは、もう言葉も無く皆さん食される。
「教授はいつもこんな生活ですか?」と彼女。
「いえ、特別な時だけです」
「そんな嘘はいいから」僕を良くご存知の方。
「会津は新蕎麦はいつですか?」女将に僕が聞く。
「いえ、うちは岩手です」このところ温蕎麦だったが、今日は皆さんと同じ蒸篭にしていた。
岩手の蕎麦を食べていたわけである。前は会津のような気がしたが、産地が違っていた。
ふくよかな、香りのあるこしのほどのよい蕎麦である。



帰りは、ヌーボーと言うことになる。樽ごと注いでくれる、オープンエアーの立ちのみスタイルのワインバーが湯津からしばらくのところに、ボージョレーヌーボーの日に開店していた。
湯津に行く前に彼女が目をつけていたらしい。
湯津上屋から出ていつも寄るバーが満席で入れなかった。ヌーボーの日はみんなそうなのだろう。
また、ユーターンでここのテーブルに立ったわけである。蕎麦の話から、ワインの話になった。4人共職種が違うから、どんな話でも初めて聞くことになるので楽しい。
店はヌーボーを求める人達で混雑していた。人をよけてワインをテーブルにまで運ぶのが大変である。まだ、10時半なのに料理も樽ワインも品切れになった。
予想以上にヌーボー熱がまだ今年も持続している。湯津上屋の名刺を、1人の方がポケットにあるかどうかを確認した。
「これからは蕎麦を食べて、ワインに仕上げで飲むのもいいかな」
確かに僕もそう思った。もう、一週間はヌーボーを楽しめるが、今年のワインはよいと言うが、相当な日本酒のあとなので正直わからなかった。
ワインや、ビールの利き分けができる人がしきりに二樽目の赤ワインが美味いという。
皆さんは、今年のヌーボーはどう思われたでしょうか。

湯津上屋の前回の記事。

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じどりや MARU  芝大門  饂飩の賭け

2006-11-17 21:14:10 | 焼肉・焼き鳥
8時過ぎだというのに駅の周辺が賑やかだ。
5時くらいだと浜松町の向かいの放送局の広場ではミニコンサートのような事をやっていて人だかりがある。先日も笑天のレギュラーの噺家がここでデビュー曲を歌っていた。彼くらいの歌だとしばらく見ていることになるのだが、若い人のだとそのまま通り過ぎることになる。
それでも結構な人だかりになっている。放送局ひとつできるだけで人並みが全く変わってしまう。線路を挟んでまだ開発途中だから、2,3年するとさらに人が集まるところになるだろう。

そのビルの地下にも大きな焼き鳥屋ができた。この10年で飲食で目立って増えたのは焼き鳥屋だろう。飲食統計は4年に1回だから、その統計が出るのは来年だから焼き鳥屋の伸び率がかなり高くなっているかも知れない。
この界隈でも少し歩くと焼き鳥屋にぶつかる。この界隈には4時からオープンして直ぐに満席になる立ち飲みの元祖秋田屋という、別格の焼き鳥屋がある。
その他の焼き鳥屋はどうなのだろうか。
比内、蔵王、鹿児島鳥などのブームは大体一段落しているような気もする。地鶏や特定銘柄鳥が珍しくなくなってそれだけで人が呼べなくなっていることも確かだ。

バードランドのような商品作りに成功したところとそうではないところの差が大分出てきている。付加価値の高い商品作りを着々と進めてきたところが成熟した市場で生き残れる。
それは、焼き鳥屋も、蕎麦屋も同じだ。余裕がある時に先のことを考えていないと道を誤ってしまう。おかしくなってきてからでは、もう冒険もできなくなってあがきだけになってしまう。
そんな店を沢山見てきた。その時はもうアドバイスの仕様が無いのだ。人はお金が潤沢に入ってきていると、明日、明後日の事しか考えなくなる。これは仕方がないことなのだが、そんな時にはまた人のアドバイスなど耳に入らないものだ。
良い店主は3年先の店と、3年先の客をイメージできる力を持っているようだ。今の時代それがないと生き残れないことは確かだ。余計な話ばかりになった。


(上左がレバ、右がこころ、下左が砂肝、右がささ身)

お刺身をオーダーした。レバ、砂肝、ささ身、こころ、みんな美味しい。前職時代にこの店はお昼のささ身丼を食べに来たものだ。生のささ身を醤油漬けしたものを丼にのせたシンプルなものだったが当時は余り生ささ身をそんな風に出す店もなかった。それで売れきれ御免の900円程度だからお昼は満席だったような気がする。もちろん焼き鳥丼や親子丼もあったが、僕はもっぱらささ身丼だった。
焼き鳥を5,6本、鳥皮サラダなどをオーダーして今日は僕は珍しく焼酎のお湯割りだった。日本酒の種類がひとつなので仕方がない。
客は4人連れの一組と僕たちの一組だ。フロアーの女性が休みらしくて亭主一人が立ち働いている。
亭主一人だと、厨房に向かって大きな声を出さなくてはいけない。
「大変だよな~ひとりだと。客も亭主も」僕が言う。
「君なんか、商売やったから良くわかるでしょう」連れが言う。
今は恒常的に人手不足だから、一旦誰か辞めると補充が大変なのだ。まして、条件が悪いと居つかない。お金もあるが今はむしろお店の環境を彼らは重視する。


(ささ身チャーシューがのった、まるうどん。上品な味になった)

まる饂飩を頼んだ。今日の目的はこれだった。
「あっ、変わった」その饂飩を見て、僕が叫んだ。
「そうなんです、変えたんです」
前は地鶏の皮付きもも肉を焦がすように焼いてそれを饂飩に盛り付けていた。
「ささ身チャーシューにしたんです」亭主がそう言って引っ込んだ。
「もしかして、これは美味いかもしれない」僕が言う。
「だけど前のは、荒々しくてよかったな」連れが言う。
ずっと、これで行くのかどうか、聞き忘れたが、鶏肉の具を変えてそれがどう転ぶか。饂飩は塩味に工夫が出てきて食べやすくはなっていたが、前ほどのインパクトが薄れた事も事実で連れはそのような意味のことを言ったのだ。
「看板メニューを変えるのは勇気がいるな」と僕。
「賭けだね」と連れ。

焼き鳥屋の仕上げに親子丼や、鶏うどんがあると助かる。若い頃はもう1,2店梯子だから仕上げなど要らなかった。
今は蕎麦屋で蕎麦で〆るから、自然に飲み屋にもそれを求めるようになる。
〆はどこにもない味があると嬉しい。
まる饂飩をまた食べたい思うかどうか、20日ほど経ったら自分の胃に聞いてみよう。

MARUの前回の記事・住所。
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蕎麦の不思議。

2006-11-15 13:57:46 | その他

月曜のお昼は、久しぶりにくろさわでした。
目の前にあると、なかなか行かないもので、昼飯時になるとつい通り過ぎてしまう。お相手がいると、僕のほうが気を使って、天ぷら、韓国料理、カレー、寿司などの店に行ってしまう事になる。

今日はその方が蕎麦屋はどうかと言ってくださった。
聞くと新蕎麦だというので掻揚げせいろをオーダーした。ここはとにかく早い。早すぎてどうかと思うときもあるが、手を抜いているわけではない。


(澄んだ、草のような香りがした。文句無く美味かった)

蕎麦を2,3本箸にとって嗅ぐと、新蕎麦の良い香りが顔を包んだ。そのまま食べると美味い。くろさわでこのような美味い蕎麦を食べるとは思わなかった。
「蕎麦はいつも一人の方が打ってるんですか?」
見習い職人に訊ねた。同じ人が朝からずっと1人で50人前ほど打つ、との返事があった。
「この一年で、一番美味い蕎麦だと思うが」少し大袈裟なことを言った。
「新蕎麦のせいじゃないですか?」
助手が美味しい理由を聞く僕にそう言う。期待した答えではないような気がした。蕎麦打ち職人が変わったのではないかと思ったが、そこまで聞くのも野暮な気がした。
「伝えておきます」
帰りレジの女性に同じ感想を言ったら僕の顔を見て嬉しそうだった。
新蕎麦は、まだブレンドをしている状態で、丸ごと新蕎麦ではないと、彼女が告げる。女性の花番さんのほうがしっかりしていた。
もしかして今の蕎麦と、その新蕎麦のブレンドが一番性にあってよい蕎麦になっているのかもしれない。新蕎麦全部にしたときにはまた違ったものになるかもしれない。
蕎麦はそのあたりが不思議でありまた難しいところだ。
これは、今のブレンドのうちに食べた方がいいかもしれない。
「これまでで最高だった」
こんな言葉は職人の励みになるから直に伝えてもらいたいものだが、彼女ならこの後職人に一番に伝えるだろう。
美味いといってもらえることが蕎麦打ちの一番の練達の力になる。
そうなると、僕はいつも美味い蕎麦を食える事になる。
くろさわの前回の記事・住所。

夜は芝大門で初めての蕎麦屋に連れてきていただいた。
石臼挽き二八蕎麦、一匁の屋号があった。
大門の裏側の少しわかりづらいところにあるが、連れてきていただいた方々は、よく来られるという。
お勝手料理と銘打ってある。なるほど、居酒屋並みに肴が揃っている。もちろん蕎麦屋の定番もある。
今日はお2人のオーダーにお任せした。イクラの味噌漬け、軟骨入りの鴨のつくね焼き、鶏皮カリカリ揚げなど、変わった肴がテーブルに並んだ。


(イクラの味噌漬け。醤油漬けけよりも甘みも旨みも深い。コレは儲けものだ)

その他、甘エビの唐揚げ、鯖酢漬けなど変わった物がメニューにはあった。この辺りは強敵は居酒屋、小料理屋である。それらに負けないだけの料理に特色を出さないといけないわけだ。
お二人の方も蕎麦屋料理よりは、このような居酒屋料理を好んで食されていた。焼酎もボトルキープが基本なのだ。棚に沢山名前入りのものが並んでいた。
肴はどれもうまかった。イクラも、西京の鮭もほどのよい味噌、塩加減だった。軟骨入りの鴨つくねは、コリコリした食感が、よい。今度来た時は蕎麦料理も食べなくてはいけないと思った。


(かなりな細打ち、パスタのように弾力がある。温蕎麦で頂きたい蕎麦)

蕎麦は二八の細打ち、温蕎麦に力が出そうな蕎麦だろうか。
次回は軟骨入りつくね焼きの温蕎麦をオーダーしてみたい。
もちろんそんなメニューは無いが、コレは頼んでみよう。


石臼挽き 二八蕎麦 いち匁
港区芝大門1-11-2 03-3459-6833
定休日/土・日・祝

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若魚のありがたさ

2006-11-14 06:37:41 | 今週のひと品
今週の一品が遅れてしまいました。
お昼のランチの中の一品です。お造りにかんぱちの幼魚が出てきた。しょっこ(汐っ子)かしおごではないでしょうか。このあともう一つ大きくなって、かんぱちになり脂がのった身になる。


<しおごのお造り。かんぱちに比べて淡白な味わい)

これは、脂ののりが少なくやや淡白ですが、それだけ上品な味わいです。カボスを絞って振りかけるだけで美味しい味になりました。
ブリと同じようにかんぱちも出世魚で昔からお祝いにははまち(ブリの手前)と同じようにしおごを出したようです。
ちなみにすずきも出世魚で若魚もふっこといって旬もので喜ばれる魚です。若魚は旬を教えてくれるし、その美味しさもひとしおです。



椀にはブリのあらを大根と潮汁に仕立てあった。旬房と名をつけてあるからそれなりの旬ものを出すようです。
この他に鮪のお茶漬けが出てきたが、鮪に味噌をかけてあってこれがなかなかのアイデアで、よい茶漬けになっていました。

旬房 
港区六本木6-10-3グランドハイアット東京 
03-4333-8786
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竹やぶ 柏  美しい蕎麦屋がありました

2006-11-12 09:57:42 | 近郊・神奈川・千葉・埼玉・茨城・長野他

それぞれの思いのある竹やぶである。
懐かしい玄関がある。もう3年は来てはいない。くぐりをあけると池があり金魚を放してある。
小さな金魚である。一番手の掛かる頃の金魚だから大変だろうと思う。 この小さな空間にも少しづつ毎年毎年手を加えては、壊しては工夫を足してありました。


(くぐりの金魚が泳ぐ渡り。新奇な空間です)

竹やぶは一度に造作されたのではない積み重ねの年輪を感じる。初めて訪れた時から今日の竹やぶは同じ竹やぶだが少しづつまた違う。

今日はお部屋で5人の会食です。酔流亭花まきさんに加えて久しぶりにしおんさんが入った。そして初めてお会いする小マメさん。2ヶ月前にブログのやり取りで竹やぶの新蕎麦が出たらすぐに行こうとの切っ掛けでこのようなメンバーになりました。
小マメさんは僕の年齢の半分くらいのお歳の可愛らしい女性です。それぞれ職業も年齢も少しずつ趣味も違うけどこんな形でお会いできるのはブログの良さだと改めて思いました。



しおんさんは初めからお酒です。僕と酔流亭と花まきさんはビール、小マメさんは烏龍茶からスタートしました。
料理はまずお豆腐、にしん、卵焼きをお願いしました。今日はコースではなく竹やぶ大好きな花まきさんのおすすめでアラカルトで行こうとなったのです。
さて、にしんのおいしいこと、そのにしんに添えられてくる昆布巻きが舌にとろけます。


(2日間コトコトと煮込んだにしん。添えの昆布も煮具合が難しい)

竹やぶのにしんはうまいと酔流亭に何度も聞いていたのですがその通りでした。初めて竹やぶに来た時はコース料理でした。
それは、僕が開業する間際に仲の良い3人の方に招待していただいたのです。それまで竹やぶに来ていなかったのには理由があったのです。
ある程度商売を始めて自信がついてきたら竹やぶにこようと思っていたのです。多分開業前に訪問したら自信が打ち砕かれて蕎麦屋は開業できないのではないかと思っていたのです。

竹やぶにはきてよかったと思いました。自信が壊れるどころか勇気が出てきました。もちろん技術的には及ばないと思いましたが、少しでも阿部さんに近づきたいとの思いのほうが勝ちました。招いてくれた彼らにも感謝しました。


(多層に巻き込まれた卵焼き。だしと甘みとの調和の技術)

追加の卵焼きが出てきました。とても素晴らしいとすぐに思いました。蕎麦屋を辞めてから蕎麦屋の料理の深さがこのところ少しづつわかるようになって今が一番楽しいのかもしれません。
このように薄く何枚にも重ねた卵焼きは火加減が難しいのです。うまく焼きあがると薄い卵焼きの重ねた中に微妙な空気が入っていて口当たりがくすぐられて不思議なほど甘く感じられるのです。
ケーキ菓子の重ねと同じ考え方です。フワフワにその秘密があるのです。
だし巻きの醍醐味は砂糖や味醂の甘さではないだしの甘みと口や舌が感じる甘みをどれだけ引き出すかにあると思います。それが卵焼きの巻き技術だと思います。
技術は何気ないところに隠れては顔を出してきます。それが竹やぶの考え方なのだと思います。


(お豆腐はやや水出しして甘みを作ってある。湯葉をのせてありました)

にしん自体のうまさに、添えられた昆布の隠れている美味しさもそうです。豆腐の上に何気なく乗っている湯葉もそうです。お醤油も豆腐用のもの、卵焼き用のもの、後で来る蕎麦掻用のものがそれぞれ違います。こだわり、工夫がさりげなくあらゆるところにあります。

子供のような悪戯心が玄関に入った時から縦横に張りめぐらせてあり、お客を楽しめさせては試しているのです。
鋭い感性が突き刺すような事はなく、全体にその鋭さが客を包み込みます。建物もそうですが、店内の空間に無駄なところが少しもないのです。一つ一つ見ていけばその細工が考えに考えたものだとわかります。


(店内に入る壁に悪戯のような盃絵がある。こんな遊びがいいです)

酒がはかどって仕方がありません。お銚子の声が何回も襖に向かって飛びます。そのたびに可愛らしい、勘のよい花番さんが笑みを浮かべて入ってきます。
可愛らしいけどプロの仕事をしておりました。表面だけ取り繕ったプロ仕様の蕎麦屋が多い中で、竹やぶは全てが徹底されています。

しおんさんは酒の利き分けができます。酒は天狗舞の山廃の熱燗、常温を交互に飲んで酒の表情を利いていました。僕は最初に飲んだ菊姫のにごりがすごく美味しかったです。
甘みや酸味のバランスが良くにしんやお豆腐の肴に合いました。


(ふわふわ、トロトロの蕎麦掻。新蕎麦、手挽きのご馳走)

今日の最高の物は蕎麦掻でした。新蕎麦の粉も良かったのでしょうが、その表面の肌合いの滑らかさは絶妙でした。粉の挽きは手挽きだろうと思いました。
微粒なきめの細かい挽きなのですが手挽きの微妙な凹凸が舌に残ります。感覚的にいうと、とろとろ、ふわふわ、極甘、という感じでしょうか。
一同が唸りながら絶賛していました。
「こんな風に蕎麦屋さんで食べた事がないのです」と、小マメさん。女性お1人だと、色々なお料理を数沢山食べるわけには行かないですから、そうでしょう。
僕などは、大食漢だからこの程度の料理はペロリです。しかも蕎麦を食べるお腹も残せます。
これからもお付き合いしますよ、とは言わなかったですが。


(今日のお目当ての新蕎麦。ほどのよい微妙なこし、豊かな食感)

〆の蕎麦は僕は蒸篭とかけを頼みました。どうしてもかけも食べたかったのです。 かけの甘汁が素晴らしいです。
もうこれは分析などできません。蕎麦もおいしいからあっという間に平らげました。後から考えると、皆さん十分に味わって食べておられるのに、僕の食べようは大人気なく恥じ入るばかりです。


(だしは複雑微妙。何が立ちすぎるという事もなく,美味い)

スッカリ温かくなった体と楽しいおしゃべりを持って帰ろうと思いました。
外は小雨があって霧が玄関に覆っていました。
着物のお女将さんがその小雨に濡れて頭を下げて僕らを見送っていました。
タクシーの窓からそこを見ると、そこは美しい蕎麦屋でした。



竹やぶ
千葉県柏市柏1144-2 04-7163-9838
AM11:45~PM7:45 定休日/毎週木曜日

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福茶 麻布十番  坊やのお代わり

2006-11-11 10:10:58 | その他
麻布十番商店街通りから、裏道を一本入る。
鯛焼きの浪花屋に入ろうかと思って、気が変わった。前から気になっている店があったのを思い出した。
普段からお客さんがポチポチ絶えまなく入るそんな店です。オープンエアーの店で、抹茶をはじめ健康茶まで沢山揃えてある。
それも魅力なのだが甘みも更に魅力がある。しかも薬膳だから普段節操のない生活をしているので、そのワードは魅力的に輝く。
3時とか、4時とか、なるべく人がいない時間を見計らって入ろうと思っていた。


(思った以上にビッグサイズだった。食べきれるか不安だった)

抹茶と、薬膳あんみつのセットをオーダーした。
これは、大きかった。あんみつの具材の上に、くこ、くるみ、イチジク、松の実、なつめ、あずきなどがもりつけされている。餡は優しい味がして、寒天は固めでこれまで食べた事がない澄んだ味がした。
余りにも大盛りなので流石に持て余した。ユックリ食べる事にした。



抹茶がまた美味い。どうしてこんなに美味しいのだろうか。お代わりを所望したかったが、初回と思って我慢した。
ふと見ると全体の作りが木材であった。その穏やかな空間が心地よい。床はきめの細かい杉板木材張りで、足元の踏み返りがよい。カウンターは一枚板である。


(抹茶もさらに上級なものなど、色々あるが、この抹茶で十分美味しい)

この辺りのどこの居酒屋にも負けような寝かし杉板材でこれは相当な大きな木から切り出したものでしょう。時間が無かったが、急いでメニューの店主のプロフィールを斜め読みした。
まだ若そうだが、元は飲食店経営のコンサルティングのプロなのだ。お茶のほか夜は軽食もできて、お酒も飲める店になる。

あんみつを食べ切って、水を飲んだ。この水の美味しさにも驚いた。お客は結構大人が入ってきている。小さな坊やを連れた若い夫婦も入ってきている。
坊やが水のお代わりをしている。
彼にもその美味しさがわかるのだろうか。抹茶がおいしいのも、寒天が澄んだ味がするのも、その謎が解けた。帰りレジで奥さんなのだろうか、水のことを訊ねた。
かなりな高品質な浄水機を使っているとのことだった。綺麗で、臭いのない水を作る機械はたくさんあるが、このような美味しい水をつくる機械は余りないかもしれない。 5度目くらいの来訪にはそれを聞こうと思っている。

ダイエットのために間食をやめたのが2週間前、その禁を破ってしまったが、こんなに美味しい物に出会えたのだから、これは致し方ないでしょう。

美味しいお茶の店 福茶
港区元麻布3-11-10 03-3475-1280
定休日・火曜
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銀杏 大島  二人でつくる店

2006-11-10 08:25:08 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区

今日は接待で蕎麦好きの方をお連れした。
ゆるゆるとお話を聞くと、ほとんどの蕎麦屋さんに行かれている。僕がまだ行った事のない「古拙」などにも行かれており、まだ若いのに相当な蕎麦履歴がある。


(さらしなの白い肌にけしの微粒が飛んで、香りが立っていた)

コースで最初に出てきたのは芥子(けし)切り。これは初めてのようで、けしの香りをまずは嗅いでおられました。
2階は満席、1階も全席埋まっていました。1階は半分が女性客で人気の程がうかがえます。
お肉が好きだと言うことで、コースの中一品を鶏わさに変えていただき、追加で僕も前から食べたかった鶏焼きをオーダーした。


(茨城産紅鶏もも肉に千寿ねぎがたっぷり掛かっている。右上は蕎麦の白和え)

銀杏はコースの中からもチョイスできたり、一品ものに差し替えてもらえたりの融通がきくようになっている。酒は飛露喜がある。香りの立つ好きな酒です。
胡麻豆腐、そばとろ、さいまきの天ぷらなどの合間に蕎麦の白和えなどが来た。


(味付けもしてあるそばとろ。蕎麦の実をゆであげて、山芋をすりおろしてある)

蕎麦をパスタのように扱ってあるので若い方も喜ばれる。今日は忙しいのでご亭主もほとんど厨房である。普段はフロアーでの応接だが料理の手配で忙しそうだ。

「花やさん閉めたんですよ」途中それだけを僕に囁いた。
花やさんとご亭主とは親密なお付き合いをされていてそれだけに彼もショックだったろう。
今日は看板までいた。入店したのが7時30くらいだったので遅くなってしまった。女将さんが丁寧な挨拶をされる。
「夫婦円満が繁盛の秘訣だから」僕が言う。
「それが無いとやっていけないです」と、ご亭主。
「なによりです」
玄関での立ち話になった。
蕎麦屋はできたら夫婦2人でつくりあげるのがよいのでしょう。
銀杏のお2人を見ていると、いつもそう思う。

銀杏の前回に記事・住所。

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天ぷら・深町 京橋  理屈が役に立たない夜

2006-11-09 08:23:43 | 天ぷら

やっと、深町の天ぷらにありついた。
今日は若い経営者の方と、延びに延びていた約束の店である。
深町は前職の頃2度ほど美味い店があると昼食に連れて行ってもらっていた。その深町の事を詳しく知ったのは酔流亭のホームページからである(行きつけの店・好きな店)。
深町さんが御茶ノ水の山の上ホテルの天ぷら料理のレストランから独立した方であることや池波正太郎との関わり合いがあることなどは、その時までは知らなかった。
カウンターは8時30分しか空きがないというので、テーブルで6時からにしてもらった。


(干しくちこの天ぷら。これは珍味で、意外性があった)

コースの始まりは、くちこの天ぷらです。これは意外でした。滑り出しとしては意外性があってなかなかよかった。
くちこはなまこの卵巣で、これはもちろん干しくちこをてんぷらにしたものだ。今は干しくちこのほうが高価なのではないか。


(海老の肉身の甘さ、ジューシーさが衣に包まれてくる)

海老はジューシーで、ほんわかしている。天ぷらが美味いという概念は、カリカリ、さくさくと言うことで語られるが、そうではないと、深町では感じる。衣に包まれた中味の豊かさや、旨みを味わうことが本来の天ぷらであると改めて感じる。衣が出しゃばってはいけないのだ。

衣は白い。衣の黄色みになれた者にはむしろ違和感があるかもしれない。ふぐの卵巣がきた。これは写真を忘れて喰い意地が先行して腹の中に収めてしまった。これは僕にとっては年に一度いただけるかどうかの貴重品です。


(大葉に包まれたウニは、生のうまさを倍加して揚がってくる)

大葉に包まれた雲丹は、なんという甘さであろうか。衣の中で少し蒸した程度の揚げ方なのだが、その揚げ方ができない。生の甘さを上回ってしまっている。酒で言えば、よい酒のぬる燗の美味さであろうか。

きすもメゴチも素材がよいから、モノも言わず僕らは食べた。本来ならもっと色々な話をしながらユックリ食べたかったのですが、美味しい物の前では口数が減ってしまう。


(すみいかはやわらかく、椎茸は野菜の美味しさを再確認させる)

野菜の美味しさも筆舌に尽くしがたい。特にしいたけは旨みといい、ジューシーさといい噛み心地といい、久しぶりに野菜の美味しさを認識しました。
いつもなら、僕の能書きや理屈が先行するのですが、この天ぷらの前ではそんなものが役に立つとは思えなかった。


(穴子の天ぷら。程々の肉厚で旨みだけが引き出されている)

これだけの天ぷらを食べてくどいという事がない。
最後は小柱の掻揚げのお茶漬けでした。これもさらさらと、腹に入りました。


(小柱の天ぷら茶漬け。あっさりしているから不思議だ)

若い経営者とは、次回は六本木の天ぷら「みかわ」の約束になりました。
それだけ今日の天ぷらが美味しかった証拠でしょう。

天ぷら 深町
東京都中央区京橋2-5-2 03-5250-8777
平日・11:30~14:00、17:00~21:00
土日祝日・12:00~20:00  定休日・月曜日

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