蕎麦の散歩道

美味しい蕎麦と、楽しい食の道を歩む。

美登里 浅草橋  ひと降りの霜の差 

2006-09-30 22:43:11 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区

今日は特別珍しい野菜を見た。
自家栽培の野菜がどしどし出てくる。今日の野菜3点盛りを頼んだのだが、それが何であるかは分からない。
最初に来た栗が甘くておいしい。昨日ゴルフで茨城に行った帰りに買った栗をゆでて食べたのだがもうひとつだったので、この栗のうまさが際立った。


(栗の肌合いが違う。甘い、変わった付き出しだ)

冬瓜の薄味煮、これは背中の飾り棚に本物があるというので振り返るとかなりの大きさなので吃驚した。
夏に冬瓜が出来るというのも変だとそれを聞くと笑われただけだった。


(冬瓜の煮付け、オクラの梅和え)

小松菜のおひたし、ゴーヤのシーチキン和え、オクラの梅和えなど、体によいものが次々に出てきた。


(ゴーヤのシーチキン和え、苦味も程よくおいしい)

オクラの梅和えは、その強い粘りと甘みに酒がすすんだ。話が自家栽培の蕎麦の刈り入れに及んだ。もう今週が一番の咲き具合だという。


(にんにくのから揚げ。明日は歯医者なのだが・・)

今年はこのまま順調に行けば夜だけでも2か月分の蕎麦が打てる収穫量かもしれないという。
霜が1日降りたら刈り入れである。2日霜を被るともう枯れてしまうという。その加減が難しいのだという。
霜が降りるのが早すぎると実が小さいまま刈らねばならない。遅いと育ちすぎる。早くてもいけない、遅くてもいけない、蕎麦の収穫は微妙なのである。


(白いゴーヤ。沖縄にもこの種があり、味は同じだという)

お客に供するのは1月である。本当なら12月に新蕎麦は出せそうだが、美登里さんの12月の休暇は恐ろしく早い。半ばにはお休みに入る。
お孫さん達と遊ぶためにお子さん達の学校の休みに合わせるのだ。悠々自適なのである。
ゆったりと商いをするために取材も断られる。お客さんがそれで押し寄せられても困るのだ。
常連さんと自分等のペースを守られているのだ。先程からお1人「先生」と呼ばれる方が日本酒を飲まれている。


(揚げ茄子。右の黒いものが肉味噌、これがいい味なのである)

僕からひとつ席を置いてカウンターにいる。
「適当に・・」と彼が注文する。決まりごとのように肴が出てくる。次回から僕もこれで行こうと思った。


(柳カレイの干物。脂が適当にのって身が厚い)

頼んだ柳カレイが出てきた。薄塩で身がたっぷりある。細かなひれの部分もいただけた。醤油が撥ねて脂も適当にのっていてなかなかの干し魚であった。


(しかく豆、沖縄の野菜種だという、珍しい野菜だ)

途中しかく豆というこれまで見たことの無い珍味まで頂いた。これは油で揚げる以外に料理法が無いそうである。

「1月まで少し長いかな」新蕎麦の事を僕が言う
「ユックリ作りますから、まぁ、お待ちください」ご亭主が子供を諭すように言う。
蕎麦のことになると子供と変わらないのだ。


(蒸篭はこしが強く、柔和なご亭主に似合わない剛直な蕎麦)

外に出てから、1月はいつから営業かを聞くのを忘れた。しかし、まだ9月末だからあと何回かは来るだろう。
せっかちな性格だ。


(小豆が入った蒸しパン。デザートで頂く)

白い冬瓜としかく豆を帰りに頂いた。すごく欲しそうな目で見ていたのだろう。
明日土曜、たまにはこれで料理でもしようかという気になった。

美登里の前回の記事・住所など。

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花や 錦糸町  優しい蒸篭

2006-09-30 07:57:43 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区

大好きな酒があった。鳳凰美田、フルーティな酒で香りが良い。
どちらかというとあまり本格的なものよりはワインに近い酒がすきなのだ。
このような酒に合う肴は何だろうかと思って、鴨のつみれの卵とじを頼んでみた。花やさんは、お店を畳まれた「ひろ樹」さんと交友があってお休みの日などはお2人で食べ歩きをされるそうだ。
花やさん、ひろ樹さん、いまひろ樹さんがおられる「辻そば」、先日訪問した「よし房」も同じ玄庵系の卒業生だ。


(鴨のつみれの卵とじ。量が多い、2人前はある)

商売を始めると僕もそうだったがなかなか他のお蕎麦屋さんや料理屋さんに行ききれなくなってしまう。それでも、開店時に勢いのあるお蕎麦屋さんをお客さんから聞いて訪ねたものだった。丁度その頃は大島の銀杏、大塚の岩舟が開店間もない頃で、お昼にお伺いしたものだ。
花やさんは開店してもう6年だからそれらのお店よりは大分先輩格だったが、やはりお昼にランチを食べに行っている。僕が開業した頃が手打ち蕎麦屋が相当数開店したのではなかろうか、2000年くらいから今でも手打ち蕎麦屋の開店ブームは続いている。夢ハは2004年開店だがその頃は営業的にもピークで手打ち蕎麦屋は連日活況だったように皆さんから聞いているし事実そうだったように思う。
そんな話をカウンター越しに花やさんとお話をしていた。花やさんと僕は同じ業種からの脱サラ蕎麦屋である。
丁度花やさんが蕎麦屋に転向された年は、企業が弱りだした頃でこの頃から一挙に蕎麦屋に脱サラ組が向かいだしている。色んな業種がある中で何故かと思うが、それだけ手打ちが魅力的なものなのだろう。

毎日手ずから粉をこねてのして蕎麦にする。それはまさに子供を大事に育て上げ世の中に出しているような気になる。
その美味しさに惹かれるのはもちろんだが、なんといってもその手作り技術の達成感と経営感覚が脱サラを目指す者の大きな魅力なのだろう。
厨房に入っている男をそんな目で見ると、やはり輝いているし何かを動かしているという自信が溢れている。
今日の蒸篭は、いつもより優しい味がした。初めてお伺いした時の蒸篭は男性的で直線的であった。その頃からの蕎麦とはかなり違ってきている。
亭主の中のものが変われば蕎麦も変わる。
だから蕎麦は面白い。


(こしが強く立っていない。優しい蕎麦でした)

 帰りは裏通りを行く。駅の手前に「井のなか」がある。相変わらず客が入っていた。
ここのぬる燗がおいしくなる季節になった。
蕎麦も新の文字が躍りだしている。
相変わらず秋も忙しくなる。27日・水曜

花やの前回の記事・住所など。

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俺たちの地鶏屋 芝大門  客の代替わり

2006-09-26 20:12:31 | 焼肉・焼き鳥

月曜日であることをうっかりしていた。
湯津上屋に電話を入れたが出ない。湯津上屋フアンの彼ともうこの日は行くことに決めてあったのだが、他の蕎麦屋では首を縦に振らない。
ならば彼が初めてのところはどうかと、「流石」に電話を入れたがやはり休みであった。

ここは彼のお気に入りだ。今日はさっぱりとしたもので行こうとなった。彼はこのところダイエットして7キロばかり痩せて、うらやましい限りだ。前に戻りたくないないので、僕に合わせると危険だと思ったのだろう。
焼き鳥屋でさっぱりというのも乱暴な話だが、それでも肴はあるものである。ゴマ焼海苔、しらすおろし、鳥皮のサラダ、金目の開きなど、これだとなぜ焼き鳥屋に来たのかわからない。

僕のほうは松子のつくねと焼き鳥のレバ、はらみ、ぼんぼちを注文した。このくらいはお店への礼儀である。鶏刺し三点盛はカロリーが低いだろうと注文したのだがそうだろうか、疑問が残った。 今日の鶏刺しは前回に増してうまかった。
特にハツ、ささみが甘みがあって極上であった。店主がわざわざ運んでくれる。


(左からレバ、ハツ、ささ身。この日はささ身が出色だった)

「どうなの最近は?」
「前ほどのことはありません」そういって厨房に帰る。
僕が知っているのは,6時頃には満員で電話予約したものだった。僕らが来たのは6時、ほぼ口開けだから客の出足が遅くなっているのだろう。
開店3年ほどで早い時間に客で目いっぱいになって、中2階を途中増設したくらいだ。客席は50席以上はある。


(お母さんの名前、松子のつくね)

厨房にはお母さんの松子さんのほか今日は男が5人、フロアの女性が3人いる。
「10年すると節目かな」と僕。
「贅沢な話だね、これだけ入ればいいだろう」と彼。
肴を食べながらあれこれ話しをしているうちに、続々入りだす。結果的には、僕らが帰る頃は満席で待つ客もいた。
「お店もバブルの頃があるからね」と僕。
「金目鯛美味いな、半分あげる。焼き鳥屋もこんな肴を置くのだから大変でしょう」


(金目の開き。半分彼から頂く)

彼がメニューを見渡す。客層は幅広くて男女のペアもいる。女同士の組もある。多分理想的な客層だろう。
だが、多分当時からあまり価格は上がっていないように思う。綺麗なスーツを着ている中年のおじさんがいなくなっていた。
10年して開店当時に来ていた客層に戻すのは大変である。ランクを上げることになるからだ。メニューも大胆な改革が必要だ。


(鶏皮のサラダ。たまねぎがベースだがさくさくして美味しい)

「俺なんかこのビジネス30年だ」元アートディレクターがいう。
「今は会長で俺と飲み歩いてる」
彼は息子2人に3年前総てをバトンタッチした。全くお得意さんも代替わりしたそうだ。
売り上げも倍くらいにはなっているそうである。
「順調な時に変わるのが秘訣か」僕が言う。
「客も代替わりするからな」と彼。

わんこ蕎麦の様な大きさのラーメンをそれぞれいただいた。彼はダイエットだから僕が彼の物の大半を食べるようになる。僕も危険だから残した。
ここは芝大門の裏通りである。帰り浜松町に向かうと賑わいが違う。
駅のほうが昔よりはるかに人が出ていてお店が増えた。
汐留は目と鼻の先だ。汐留ができて新橋が活気付いている。人の流れはすぐに変わってしまう。

その中で蕎麦屋はどうなのだろうか。
また、余計なことを考えてる。

俺たちの地鶏屋の前回の記事・住所など。

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香るそばとろ ちびりちびりと酒の当て

2006-09-24 10:05:12 | 今週のひと品

「そばとろ」とはどんなものだろう。
道心のご亭主と当てっこになった。僕は単純に山芋すりおろしに揚げ蕎麦の実が乗っているのではないかと言った。さびとろのアレンジだと思った。
よし房のそれまでの工夫のある料理を食べていたから、彼はもっと複雑なものを想像したらしい。
そばとろはやはり僕の方が当たっていた。ただ蕎麦の実は茹でたものであった。
顔を近づけると海苔が香る。その良い香りは、僕は最初抹茶かと思った。


(大柄の蕎麦の実である。青海苔の香りが立ってくる)

「日本産の青海苔だ」彼が嬉しそうに言う。
すりおろした山芋自体に味付けをしてあるが、薄味だから酒に丁度合う。僕は山芋が好きだけど、蕎麦屋でさびとろをまだ食べた事がない。

これは、青海苔が効いている。混ぜ合わせると蕎麦の実の食感と山芋のトロミがなんとも微妙なバランスだ。酒の当てに僕らはとうとう最後までこれをちびりちびりとすくって食べていた。
行儀の悪い食べ方だが、こういうのは目をつぶってもらいたいものだ。


(地鶏蕎麦。肉身もうまいが、汁が甘くて深い味がする)

おまけの一品は、「岩舟」の鶏そば。岩舟は温蕎麦もよい。
21日・木曜「江戸一」から、予定の行動だったが岩舟に寄った。葱蕎麦にするかどうか散々迷ったが、鶏そばはまだ食べた事が無かったのでこれにした。
一度、鶏そばのつけ蒸篭を食べたが、その時の印象が強くてこれにした。地鶏なのだが、スープに深い脂の甘みがある。つけ蕎麦のときもそうだったのだが鴨脂の味わいがある。食べながらその事を確認しようと思っていたのだが忘れてしまった。
岩舟のこしのある蕎麦がこの汁の良さに合っている。

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よし房・凛 根津  真っ直ぐな男が喜ぶ

2006-09-23 13:41:28 | 根津・大塚・文京・品川・目黒・渋谷・中野
待ち合わせに時間があったので根津遊覧をした。
夢二美術館から、21日に大祭の終えた根津神社を回って、コーヒーを飲みにいく。


(変わった入り口なので、行きかう人の足が止まる)

炭火珈琲・寺村。地元の常連さんが、2,3人入っていた。心なしか祭りが終わったあとの少し気が抜けたような空気がある。3軒ほど隣のお煎餅屋さんに立川談志さんの顔も見えた。やはり大祭の後打ち合わせなのだろう。
彼は根津の街から愛されている人だ。

豊かな香りのするブラジルを一杯飲むと、よし房の待ち合わせ時間になった。阿佐ヶ谷・道心のご主人と蕎麦屋酒を楽しむ。彼がまだよし房に行ったことが無いというので僕の方が薦めた。

先に入って間もなく下駄の音がして道心さんが入ってきた。根津の街でもあまり高下駄を履いている人も少ないだろう。そういう快活な男である。長く下積み修業して苦労の後に阿佐ヶ谷に蕎麦屋を開業した。
一本気すぎるほど一本気である。時々行き過ぎることもある。
僕が美味しいと思われる肴をオーダーした。蕎麦味噌の春巻き、自家製さつま揚げを頼む。彼はそばとろと鴨はつ焼きを注文した。


(自家製さつま揚げ。蕎麦の実がたっぷり入っている)

酒は彼に任せた。酒には相当うるさい。この機会だからと酒の事を色々教えてもらった。ブランドの講釈と言うよりは、彼の場合は舌での評価だから確かである。


(鴨はつ焼き。野菜の横の西京味噌ベースの付け合わせがよい)

蕎麦回りの肴を出す店だから彼がしきりに感激する。ポツリポツリと客が入り始めて満席になる。
なかなかよいペースで落ち着いた客が入る。根津神社の角に店舗を構えられたのは幸運だが、蕎麦も肴も丁寧で、オリジナリティのある料理を持っている。
伝統的な蕎麦屋のよさと店主の個性が溶け合っていてこの街の雰囲気を3年にして身につけてしまっている。


(中の味噌味が微妙な春巻きは、この店の定番品になっている)

途中、聞きたそうな彼の代わりに肴の食材などを女将さんに僕が質問する。蕎麦屋の亭主が店のものを聞くのはなかなか出来ないものだ。質問された事に嫌がらずこと細かく教えてくれる。
肴の合間に田舎を手繰ろうという事になる。それはそうだ、お蕎麦屋さんが来ているのだから蕎麦の研究もしなければならない。顔の表情からすると、美味しい蕎麦だったのだろう。彼とはこれで3店目だが蕎麦の評価には手厳しいところがあって、僕も及ばない。


(きざみ蕎麦。狐焼の刻み、めかぶなど、酒にも合う)

最後にきざみ蕎麦を食べた。これも考えた一品だ。飾らずストーレートに食材のよさを出してある。狐を焼いたきざみが酒に合う。酒もよし、肴もよし。大人がゆったりと過ごせる蕎麦屋ではある。
なかやん(蕎家・佳で同席)さんがたびたび来られている理由がよくわかった。

帰り地下鉄の前で彼を見送る。
僕のようなマーケティング発想をするものから見ると少し危なっかし気がしてしまう。
もう少し商売を考えてほしいのだが、それは僕の思うことで、彼には響かないのだ。
明日から彼は商売だ。
下駄の音を高く鳴らしながら真っ直ぐな男が帰る。22日・金曜夜。

よし房・凛の前回に記事・住所など。  
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江戸一 大塚  ながっ尻は野暮

2006-09-22 13:24:29 | 居酒屋

初めて江戸一に入る。
もともと、居酒屋にはあまり縁がない。呑みたいと蕎麦屋に入ってしまう。
写真などで知ってはいたもののやはり「コの字」カウンターには少々気後れした。もう満杯で席がほとんど空いてないから5時の開店と同時に埋まってしまうのだろう。
席につながると、ほとんどの客とお見合いしているようになる。待ち合わせで1人で入ったから特に落ち着かない。
写真機も野暮になるからバックの中に仕舞ったままにした。



客の4割は一人客か。この形のカウンターは多人数は向いていない。基本は居酒屋の原点の1人酒用にできている。2人くらいがいい感じだろう。
その居酒屋の1人酒は苦手ときているから、今日も急に花まきさんをお呼びした次第。迷惑だったろうがお付き合い願えることになった。
彼女が来る30分ほどの間に銚子を4本くらいと肴3品を呑んで、さらっと帰る客が3人ほどいた。と言うことはかなり回転が速い。くどくど言って飲んでいないのだ。
ここでは酒に付き物の愚痴というものが出ないのではないか。
帰る客の方に、若女将だろうか、大掛かりな算盤(昔の計算機)を持って伺う。その大きさのものは、僕が酒問屋で小学生くらいの時に見かけて以来だ。
その勘定用の算盤もきっと開闢以来使っているのだろう。黒光りしていて頼もしい限りだ。客の目の前で玉を弾いて計算して見せる。支払いを終えると客が一礼して帰る。
皆さん行儀がよい。由緒正しい居酒屋にいる気がした。酒を飲む客の見本を見ている気がした。

家に帰る、または次の店に行く、必ず通過する中継地点のような存在なのだろう。多分、ここは長居は無用のお店なのだ。
そんな事を考えていたら、同じくこのお店が初めての花まきさんが来た。彼女が来ない間ぼんやりしていたわけでなくどのような肴が人気があるのか、特に常連客のオーダー品をチェックしていた。
従って彼女に人気の肴を示す事が出来た。肴は粒が揃っていて美味い。しめ鯖は甘くて酢加減がいい。枝豆も栗のような味がしてここでは是非物なのだ。
生うに、きびなご、合鴨のつみれ、これらも品質がよい。きびなごは光沢があって甘みがあった。

酒は常温と燗で6本くらい行っただろうか。蕎麦の話で盛り上がってきた。
時間は8時過ぎ、入り口付近で待つ人も多くなってきた。幸せな時間を僕らも譲ってあげなくてはいけなくなった。
スグ目の前に「岩舟」がある。
長居は江戸っ子が嫌う。
予定通り我々もここを通過点にさっと、腰を上げた。

江戸一   南大塚2-45-4 03-3945-3032         

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眠庵 神田  ハートランドを想う。

2006-09-21 08:12:25 | 神田・浅草・神保町・猿楽町周辺・新宿区

六本木ヒルズの1階にビアバー、ハートランドがある。夜外人の人達で賑わっている。
20年ほど前に、この同じ6丁目にハートランドというビアバーが数年あった。 このビールの開発者がそこの店長を務めて開店したのだ。それまでネクタイを締めたサラリーマンがこのビールのアンテナショップのためにだけ立ち上げたのだ。
当時の宣伝販促の手法としては画期的であった。その苦労話は表には出てこなかったが、ほとんどのスタッフがアマチェアだったから大変だった事は想像に難くない。
アマチェアは時にプロ達の概念のはるか向こうを見ていて実践してしまう事がある。
外観や内装は全く違うが、同じ敷地に同じ店が時を越えて今にある。その頃から僕はこのビールが好きで蕎麦屋を開業時にはハートランドにした。
今はHEARTLANDに週に一度1人で立ち寄るのが癖になっている。


(バーボン煮、山葵漬け2点、ハートランドビール)

いつもの肴とハートランドをオーダして腰を落ち着ける。カウンターにいるとご亭主とはるちゃん(男性の助手)の動きが見えるので1人で来ていても飽きない。
僕は小さい頃から厨房の中を見るのが好きで、お店に行くと空いていたら必ずカウンターに座りたいほうである。今日もこの席にいたので、はるちゃんがメニューにないものをテーブル席に運んでいるのを見つけた。

やがて僕の隣の席も塞がった。ほぼ満席に近い。その人は今日蕎麦屋が3店目といいながら、すぐに蕎麦を注文した。
どこか関東のお蕎麦屋さんのようだ。指を見てすぐに蕎麦屋さんとわかった。が、彼は自分が蕎麦屋であることまではご亭主に言わなかった。
鹿児島産と福井産の蕎麦を食べてすぐに帰った。
鹿児島産が口にあった、との感想をご亭主に言い残した。

「はるちゃん」とカウンターの中にいる彼に声を掛けた。
一瞬怪訝そうな顔をした。
「名前、ある人から聞いた」僕が言う。
「そうですか」顔が緩んだ。
「さっきのさ、野菜の何か、あれ、美味しそうだから」
「野菜のピクルスです。食べますか?」


(野菜たちのピクルス。茗荷、人参、赤ピーマンが美味しい)

カウンターに座った甲斐があった。その頃は僕はもう静岡の冷酒2杯目であった。
眠庵は、静岡の酒のPRブースのようである。静岡の主な酒造メーカーの酒のほとんどがここで飲める。それに、ビールも3銘柄もある。好きだからと言ってこれだけの酒やビールを置けるものではないし、第一管理が大変である。
プロのお店ならこんな手間のかかる発想はまずしない。
効率が悪いとはなから考えない。そこがここの亭主のすごいところだと思う。人気は単純な事では出てこない。

多分、お料理屋さんだと僕はビールに戻る。肴がピクルスだと、ワインかビールだろう。
しかしここは二色蕎麦があるからお腹をある程度空けて置かなくてはいけない。 蕎麦は鹿児島産が先に来た。いつもより0.2mmくらい細い。香りの出やすい微妙な細さだ。


(2種もりの一枚目、鹿児島産。2枚目は福井産であった)

九州も最近はよい蕎麦があるそうである。もちろん粉屋さんから聞いたのだが実際に食べるのは初めてであった。
風味があって、繊細なこしの蕎麦だった。
「今日は、やや細いか」僕が亭主に言う。
「たまたま・・気分で」そう答えた。

 福井産といい、鹿児島産といい、眠庵のご亭主はなかなか新しい事に挑戦する。この日はそのほかにも北海道産もあった。まだ蕎麦掻を食べていないが次回は注文してみよう。きっと美味いはずだ。
ご亭主も、はるちゃんも鉢巻をして頑張っている。もう2年目に入る頃だ。
夢ハのようにワインも置いて欲しいなと思うのだが、
頼んでも無理だろうな。19日・火曜夜。  

眠庵のこれまでの記事・住所など。

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サラダになるお蕎麦

2006-09-18 10:31:25 | 今週のひと品

夏、大根サラダがさっぱりして美味い。
ソースはマネーズをベースにしたものか、ノンオイルの和風ものがよい。出来たら青いものがさらさら掛かっていると嬉しい。



そのサラダが上に乗った蕎麦がある。ぶっかけなのだが、そのシンプルさがかえって蕎麦の良さを引き立ててくれる一品だ。
木香の白雪そば。名前から最初は更科蕎麦かと思ったが、大根の褄切りを一杯にのせたものだ。一度食べると癖になって、今ではゴルフの練習帰りはこれにしている。
別に付いてくるつゆがちょうど良い味で、サラダ感覚の蕎麦だ。
ぶっかけはつゆが意外と決め手になるようで、蒸篭のつけ汁のアレンジになるのだがその辛味や甘みの薄め具合が、この大根
の褄切りに合うようだ。

木香の蕎麦は十割でやや太打ち、歯応えで食べさせる。その蕎麦の固さと大根のさくさくした歯触りがよいコンビネーションになっている。もちろん、そば湯で薄めて残りはスプーンでいただけるようになっている。

木香さんのこれまでの記事。

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斉とう 新検見川  新蕎麦の味比べ

2006-09-17 09:05:51 | 近郊・神奈川・千葉・埼玉・茨城・長野他

新検見川駅からすこしの所にある。もう開業されて5年目という。
さらしなの里で修業された若手の会、10店舗余のグループのひとつである。そのグループは里会と言う。

蕎麦屋の業界と言うよりは、飲食業界でもこのような緩やかなネットワークを軸とした集合体は知らない。資本を同じくしたチェーン店やノウハウを共有した加盟店はよくあるケースだ。
昨日のお昼千葉の友人に会うその途中で、丁度このお店が中継地点のようにあった。20年来の大学の同期の友人に、近況報告と今後のアドバイスなどを受けに行く。
大学を卒業しても仲のよい6,7人が付かず離れず付き合っている。その中でも、一番の友で家族のような付き合いである。



お昼車で入ったのでお酒は無い。グループの中で、親元のさらしなの里と、船橋更科しか知らないが、それぞれがメニューなどの構成は違う。
11店舗のグループ、これだけのお店が情報交換していると客層の分析も確かになるだろうし食材の調達も情報が行き届くようになるだろう。
この二つの基本がシッカリしていればあとは人材確保だけになる。立地も幅広くとってあり仮にグループから新規開店が出るにしても裾野が広いから空き立地の客層分析もすぐにまとまるのではないか。
11店舗のそれぞれの立地を地図上で眺めてみると、上手く散らばっていてよく考えてある。しかし、これらはあくまでも概念上の計算であって、それらが情報として整っていても商売はまた別物である。お店はそこで愛される店になるかどうかが勝負である。

親元のさらしなの里の商いの基本を見れば、このグループ全体の考え方がよくわかる。蕎麦打ちの技術以上にそこで彼らはお客の心根を学んで自分のお店の訓是というものを組み立てて開店するのだろう。
僕もそうだったが、蕎麦屋は時にして唯我独尊に落ちいる。それを救うのが仲間であったり客であったりする。そんな仲間が回りにいるのはなんとも心強い事か。


(鬼おろし。この時期では強い辛味。二八蕎麦のこしの強さと辛味が合う)

鬼おろしの二八蕎麦と十割の田舎をオーダーした。先日さらしなの里では蕎麦は福井産だったから比べる事は出来ないが蕎麦のニュアンスが全く違う。
田舎は十割の歯応え重視の固めの打ち方である。田舎らしい蕎麦を表現している。シッカリした正統派の蕎麦作りを志向している感じだ。
北海道産の新蕎麦だ。これで3店の新蕎麦を食べたがそれぞれ蕎麦の味わいが違う。
この時期の味比べも蕎麦好きにとっては堪らないものだ。 今年の新蕎麦は、今は北海道産のものだが、この3年ほどで一番良いように思う。

11月の蕎麦の収穫時期に向けて願わくば、これからの台風が関東を襲わないでと思うばかりだ。


(田舎は固めに打ってある。十割独特の砕け歯応え感がある)

しばらく同期会をやっていないのに気づいた。5年ほど前、九州で10人くらい集まって以来だ。
集まっても他愛の無い昔話になるのだが、心底友人思いの心情が感じられて嬉しいのだ。
その思いを感じるだけでも集まる価値がある。
蕎麦屋で同期会をやりたいといったらどう返事してくるだろうか、と思った。
とりあえず、あいつを根回しするか、と。
友人の家に車で急いだ。

斉とう 千葉市花見川区花園1-10-8 043-273-6033    11:30~15:00 17:00~21:00 定休・月

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銀杏 大島  季節の変化を知る

2006-09-16 08:10:44 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区
秋のメニューになっている。
きのことか、さいまきとか、山の物、海の物も夏から秋らしくなっている。銀杏には四季があるからその時々に気持が誘われてしまう。
風景のあるお店に僕は惹かれる。風情も味のうちと僕は思っている。
コース料理の中の、白合え、さいまきの天ぷら、きのこ尽くしをオーダーした。和え物は何が出てくるか楽しみだったが、意外なものが出てきた。


(白和え。味噌とゴマのバランスがよい。パスタである)

蕎麦である。ゴマと西京味噌に合えてある。こしの強い蕎麦を手繰って食べるとなるほど美味い。なかなかの工夫だ。先にやったなという感じだ。
蕎麦を初めて食べる若い人がいたら蕎麦を大好きになるかもしれない。先入感が無かったら美味しいパスタだと思うだろう。


(活さいまきの天ぷら。さいまき、まき、車えび、海老も出世魚)

天ぷらのさいまきは頭もから揚げにして、若い車えびのよさを生かしてある。何気なく海老の台で生麩の天ぷらが添えられているが、芸が細かい。
生麩もよいものを使ってあるから甘みもやわらかさがあって、もったり舌の上を転がる。


(5種類のきのこを使ったきのこ尽くし。別名、巣篭もり)

いつもだと、ぬる燗になるのだけど、きのこ尽くしを見て気が変わった。この肴には冷酒がよいのではと思った。


(冷酒にはやはり焼味噌だ。大葉、胡桃、蕎麦の実入り)

冷おろし、別名秋おろしとも言うが、この時期しかない酒を頂く事にした。舌にさわやかに響く東北のお酒だった。
きのこの複雑な味わいと冷おろしの透明感のある感じが微妙にマッチングしていた。

さて、田舎である。今日はこれが目的だったから、あまり肴を食べ過ぎて満腹になれない。が、もう充分腹ごしらえをしてしまっているが。



見た目が美しくて繊細な顔をした蕎麦だ。僕には何系と言う蕎麦の風味までは嗅ぎ分けられなかったが微妙な風合いがあった。
品があって、しかもその品を邪魔しないこしがあった。このようなかすかな風合いを醸す蕎麦が、ほどのよいこしをもつのは難しいとおもうが上手く両立していた。
蕎麦にご亭主の性格が出ている。
前もって電話して田舎を残しておいてもらった甲斐があった。

玄関の前庭にも秋の風情がある。
来月あたりから長野の新蕎麦の声が聞こえてくる。
季節の変わり目が蕎麦屋にある。

銀杏の前回の記事。
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道心 阿佐ヶ谷  勝負を賭けた男

2006-09-15 07:58:32 | 世田谷・杉並・練馬・北・荒川・豊島

調べてみると、4ヶ月来ていなかった。
道心さんが、水漏れ事故で、2ヶ月休んでいたが、その間を差し引いてもかなりのご無沙汰だ。
休みの間も飲みに行きましょうと誘われていたのだが、なぜかスケジュールが合わなかった。

僕の顔を見て、一気に溜まったものを吐き出すようにご亭主がしゃべりだす。大変だったんだ、休むということは。
2ヶ月休んで蕎麦打ちは大丈夫だったのだろうか。僕はゴルフを2年間やめて最初に回ったときは110近く打ってしまったが、蕎麦もきっと100を切れない初心者のようになっているのだろう。理屈が立っても体が動かないとしょうがないのだ。

いつものように肴を頼む。
5時30分に入って、先客が帰ったので、亭主に色々質問した。肴はそうでもなかったが、メニューがあっさりしてしまっていた。
うどんが無くなった。温蕎麦が無くなった。ランチメニューも消えた。
当然お昼の客が減ったという。夜もうどんや温蕎麦目当てで来た客が帰ると言う。
それでもいいのだと、勝負を賭けたいと言う。
「日本一の蒸篭をつくりたい」
まじめな顔で言う。蕎麦は冷たい蒸篭を軸に、いくつかバリエーションはある。
温蕎麦くらいは置いたらどうか?僕が言ってもなかなか首を縦に振らない。
「僕は温蕎麦も好きだよ」そう諭しても、もう決めたと言う。
来週僕が推薦した蕎麦屋に一緒に行く事になった。そこのお店を見せたいのもあるが、客を見せてみたいのだ。
メニューは亭主が作るが、ある時期客がメニューを決めて行く時期がある。
店は亭主の窺い知れないものに動かされていく時がある。それは世の中の空気と客の物言わぬ声だ。


(秋刀魚の押し寿司。表面をひと炙りして食べやすくしてある)

話している間は、もちろん肴を楽しんだ。秋刀魚の押し寿司がよい加減である。出すときにひと炙りしてあるので青もの魚が嫌いな人にも食べられるようにしてある。
新蕎麦の蒸篭は気合が入っている。綺麗な粗挽きそばである。蒸篭に賭けている気持が伝わってきた。


(新蕎麦で気合をこめて打ってある。星が綺麗に飛んでいる)

客が一組入ってきてワインも一本空けたので席を立った。久しぶりに来たが、店内の様子は変わっていない。
隅々まで清掃が行き届いていた。
店は蕎麦好きを待っていた。
蕎麦屋狂いの男と、蕎麦に勝負をかけた男とは来週はどんな話になるのだろう。



玄関から出て、しばらく大きな暖簾を見ていた。
よい新蕎麦を食べたと思った。

道心の前回の記事は。

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大天門 浜松町  長雨の腹ごしらえ

2006-09-14 08:13:14 | 中華・エスニック・欧
今日も大天門になった。
2人とも、僕が先週行ってるのは知らないから、当然のように足がそこに向いていた。
今日は店長が1階にいる。フロアは、金曜に続いて僕が来たから愛想がよい。
餃子と鳥蒸しのオーダーを入れる。店長が来て餅豚の釜焼を薦める。ココの一番のメインだが、先週はそれを僕が取らなかった。久しぶりの来た人が、一人前頼む。 餅豚の感じがすこし変わっていたので、すぐに口に入れた。


(肉がレアになっていて、口当たりがよくて旨みがある)

最初に食べた時とは全く変わっていた。歯応えの感じが違っていて、とろける様な口当たりになっている。
肉自体がレアになっているのだ。最初の時は旨かったが焼加減がミデアムでやや固い印象があって、2回目からはオーダーを入れなかったのだ。店長が粘ってオーダーを入れさせた理由が分かった。
これはかなり旨い。同席の2人も唸る。店長を呼んで肉が美味くなった旨を告げる。
調理場と色々話し合って肉の焼き加減を変えてきたという。



(餃子は餅豚がぎっしり詰まっている。肉の旨みで味わう餃子だ)

今日は、ワインと紹興酒の熱燗のロックと交互で飲む。8年ものと3年ものの紹興酒と飲み比べると味も香りも大分違うものだ。8年ものは品がある。
これも飲み比べると分かるが、3年ものがそれほど美味くないというものでもない。


(紋ごうイカの揚げもの。塩の味付けであっさりしている)

今夜はお酒がすすみすぎて、料理が少なめであった。最後に辛味の酢湯麺をとりわけしてもらって食べたが、外気温度も低いのでこれは帰り際のご馳走としては最適だった。


(辛味と酸味があってお腹を温める)

外は雨だ。秋は雨も連れてきているが、美味しい物も運んできてくれているから我慢しなけれならない。
秋雨前線と新蕎麦前線とはこれはおあいこだ。
蕎麦屋の亭主の顔を色々思い浮かべながら、地下鉄に潜った。

大天門の前回の記事。 
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藪 松本町  新蕎麦前線きたる

2006-09-11 20:37:54 | 江戸川・江東・葛飾・新宿・大田区・足立区

もう新蕎麦が出ていた。
特にその情報を知っていたわけではないが、顔がほころぶ。今年の蕎麦はどうなのだろうかそんな興味の方が先にたつ。
藪はそれまでは茨城産のはずである。新蕎麦は、当然北海道産である。



今日は葛西のほうの初めての店を訪ねたのだが、どうも閉店されたようだ。それとも長いお休みなのだろうか。
西葛西の「いわな屋」という店だが、間違っていたら困るので、ご存知の方がいたら教えて欲しい。

急遽久しぶりにそこから藪の方に廻った。
お昼、車なので酒は呑めない。前回の坦坦麺のような蕎麦は今日は無い。いつもなら張り紙があって季節蕎麦や特別蕎麦があるのだが端境期なのだろう。
藪の名物と張り紙にある。それを注文した。鴨汁おじやともりのセットになっている。メニューを見ると鴨汁おじやはお昼だけの限定メニューのようだ。



「おじや」がうまい。もう少し小さめの椀かと思ったが予想外の大きさだ。野菜がたっぷり入っている。
なめこ、えのき、葱、ごぼうがどっさり。鴨肉もシッカリ入っている。柳川風になっていてこれは儲けものの昼食である。
柳川風だからごぼうが効いていた。やはり柳川には何は無くてもごぼうの土の味わいですね。



もちろん、おじやより新蕎麦のほうを先に頂いた。
確かに美味い。が、もっと美味くなるのではないか。なんとも欲張りな事を言っている男がいる。
蕎麦の評価は難しい。一般的にいうと新蕎麦だから美味いということはないのである。あくまでもその年の蕎麦の出来具合に左右される。
打つほうも、まだ多分手探りなのである。聞くと昨日から新蕎麦であるという。これまでの蕎麦とは全く水入れの状態が違うから、水の量や加水のタイミングで蕎麦自体が別物になってしまう。



ひとつだけ言えるのは、新蕎麦は水分が多いから簡単につながるのである。簡単につながるから、それだけこねが足らなくなる可能性も出てくる。
楽をして打っても蕎麦はその個性が出ないときもある。その年の、その時の蕎麦の按配を見つける作業は多分3日ほどかかるのではないか。
茨城産の蕎麦から、水をたっぷり含んだ北海道上田産の蕎麦は亭主も2日ではまだ掴んでいないのではないか。
僕はこれまでの藪の茨城産の蕎麦のフアンである。新蕎麦で早くあれに負けない蕎麦を打って欲しいのだ。
来週に訪問すれば、もっとこの蕎麦は美味くなっているはずだ。

あちこちで新蕎麦の幟や張り紙が出る季節だ。お蕎麦屋さんの声が大きくなってくる。
9月は北海道、10月は東北の会津あたり、11月は茨城、栃木の関東周辺、福井を中心に北陸道、そこから九州に下っていく。桜前線とは逆になる。
蕎麦前線は蕎麦屋の亭主の期待と不安を連れて下ってくる。
僕ら客はそれをよそに大いに喜んで舌鼓を打つ。

藪の前回の記事。

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竹やぶ  蕎麦のDNA

2006-09-10 09:00:38 | 今週のひと品

今週は水曜に体調を崩した。
風邪のようだったが、蕎麦屋酒と睡眠で治した。このところ珍しく忙しくて、ブログは更新する素材があったのだが、サボってしまった。
今週、蕎麦屋はお昼に六本木「くろさわ」とヒルズ内の「増田屋」、夜にヒルズの「竹やぶ」などの3店でした。
竹やぶでは夜のコースは酒の肴コースと蕎麦のコースと二つある。木曜になって体調が回復しつつあったので肴コースにした。

相手は前職の部下の間柄だが、彼は業界でも事業コンサルが出来る数少ないマーケッターだ。その彼から意見を聞くので、今夜は僕が接待する立場である。
肴コースは、蕎麦掻、肴の前菜、天ぷら、帆立と塩辛の鉄板焼、もずく酢、デザートである。帆立と塩辛の鉄板焼きは、柏の竹やぶの改定版である。これは夢ハ開店時にイカの刀工焼の参考にさせてもらった。
今日の一品で取り上げるのは、肴の前菜である。



左前方は、ふき味噌、焼味噌、蕎麦味噌の3点。蕎麦味噌がなんとも旨い。手前左の列は鰊の味噌漬け、ぜんまい。
中央は珍味5点、わかりづらいが右にある鯨の脂身の味噌漬けは初めて食べた。豆腐ようもあり、あとのものは失念。
3列目の上の海老は味噌漬けである。あと2点はすり身関係である。

 この配列は、やはり美しい。これだけの珍味を出せるのは竹やぶだけかもしれない。器も見たことが無い。
テーブルの上の受け盆も手作りなのだろう。人を驚かそうとする、阿部さんの遊び心が見える。

金曜、浜松町の大天門で食事した時に、クリエイターを目指している新人に、柏の竹やぶに行くことをすすめた。
そこで「かけ」を一杯を食べて、表玄関、裏の入り口を見てくれば創造力の種が解ると言った。
クリエイティブの基本態度について質問されたので、そう答えた。言葉で語るよりも竹やぶを実際に見て、その創造力を見れば、彼の今後に生きると思った。
彼のジャンルとは違うが、目指すものはそんなには違わないと思った。

その柏の竹やぶの表現性をあらわすものは、花まきさんの最近のブログにもある。柏の竹やぶには人を驚かす装置が縦横無人に張り巡っていて、それだけで別世界の不思議な感性に出会うことになる。
その点、ヒルズは店内だけがその装置になるから、最初から不利である。一定の空間とテーブルや椅子などにその柏の装置分を負担させなければいけない。
その細かな仕掛けも楽しいものがある。

1時間ほどしたら、3歳くらいの女の子と赤ん坊を連れた夫婦が入店した。当然お店は賑やかになる。黄色い声もする。近くの住人のようだ。3歳のころから竹やぶのかけそばを食べられるのはなんと幸せなことだろう。小さな子供の入店をいやがらない店主に拍手しよう。
蕎麦好きになるDNAは子供の頃から刺激を与えてあげなくてはいけない。
物を創る人間は、皆子供の心を持っているではないか。竹やぶや蕎麦屋自体がそうだ。
子供達が蕎麦屋に遊びに来るのを拒まないでほしいと思う。
きっと息子さんも、偉大な父親の陰からそのうち出てくるのでしょう。
竹やぶのDNAが動き出さないわけは無い。7日・木曜夜

ヒルズ 竹やぶの前回の記事・住所。

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大天門 浜松町 店の懐の深さ

2006-09-09 09:22:27 | 中華・エスニック・欧

夕方青物横丁で打ち合わせがあって、浜松町に入った。
がらんどうというお化けサイト(アクセス数がすごいという意味)を運営する友人と大卒の新人との3人。若い人がいるので中華になった。
8時過ぎ、金曜、店内に入ると、1階も2階も満席。フロアの申し訳ない顔を見た。が、すぐに一組がお勘定にたって、席が空いた。
鳥蒸しのゴマかけ、燻製肉とエリンゲ、麻婆豆腐、餃子などを頼み、紹興酒は熱燗のロックで頂く。


(豚の耳などの燻製,干したけのこ、炒めエリンゲなど)

餃子は、前回に引き続き食べたかった一品。群馬産の餅豚で作られていて、野菜などが少なめで、どこにも無いブレンドで特色がある。前回よりやわらかみがでて、美味くなっている。


(餃子の中に餅豚がぎゅっと詰まっている。大分食べた後)

前回は、店長が一品々感想を聞きに来る。特に、餅豚が店の売りだからそれを使った料理には神経を使っていたのだろう。もち豚は、この20年ほど掛けて関東を中心に和豚の高品質化をテーマに生まれたものだ。最近では、老舗のトンカツ屋にいくと、お目に掛かる。独特の旨みがあって、ここの料理の深みに生かされていて、特に麺類の美味しさはその肉の旨みがベースになっている。
ほとんど餅豚で出来上がっている餃子には、最初客は違和感があったのかもしれない。僕はその違和感を大事にしたらどうだろう、と言うような感想を彼に言った覚えがある。
餃子はこのところ宇都宮の影響でジューシーさと、焼きのカリカリ感の競争になっている。その中で独自路線を歩いてきたのが「はしご」のチェーン店の餃子だ。
しかし、その美味しさはチェーン展開をしていくにしたがってその個性がやや薄れてきているように感じる。
大天門の餃子は餅豚の特性を生かしながら、どこにもない個性のある餃子に仕上がっていた。
今日は忙しいせいか店長は2階から降りてこない。感想は次回にしよう。


(麻婆豆腐もこの餅豚の旨みが出ている)

客が押し寄せる。きっとこの月あたりから評判を聞いて来ているのだろう。浜松町駅の真向かいにラジオ局のビルが建ってからこのあたりの夜の人並みが一変した。
すぐそばにそれを当て込んだ飲み屋、居酒屋、手打ち蕎麦屋がこの2ヶ月で続々と新規開店している。手打ち蕎麦屋は見逃せないので一度訪問したが、これは全くの期待はずれであった。夜を期待して揃えられた料理の出来が悪くて蕎麦までは食べなかった。こんな事は初めてであった。
この近くのオフィスに友人がいるので時々評判を聞くが、客の入りがひどいと言う。蕎麦屋応援人間としては、蕎麦屋の悪評を創られるのはいたって残念である。手打ち蕎麦屋自体の価値を落とされる事がイヤなのである。


(わたり蟹と米煎餅もあっさりしていて美味い)

店は客が作る。それは店を取り囲む環境がいかに大事かを伝えている真理である。環境や客との融和が店を進歩させていく。それに適応していけるかどうか。
店の懐の深さも試されるわけである。
文句ばかり並べるのもイヤなので来月あたりはその蕎麦屋に行って、きちんと蕎麦を食べに行こうと思っている。

最後にそれぞれが麺類をオーダーした。僕は坦坦麺にした。肉の味わいを生かしたこれは正統派の坦坦麺である。
野菜の細かいサイコロ切りが食感によくて、辛さを和らげる工夫をしてある。辛味が強く出てこないのはそのせいである。
厨房を見た。5人の調理人が動いている。料理長は若い中国の人である。日本人の好みによくココまで料理を仕立て上げたものだ。

(坦坦麺は肉の旨みをシッカリ出してあるから辛味は後から舌に絡んできた)

この1年、がらんどうには、蕎麦屋や和食ばかりを付き合わせていた。彼は沖縄の血が流れていて、本来このような料理がすきなのであるが、これまで彼の好みをほとんど無視していたような気がした。
それはあまり彼に聞かないようにして、今後も僕の好きな蕎麦屋に付き合ってもらわなくてはいけない。

帰り、若い人に料理の感想を聞いた。
「これまでに食べた事のない味でした」
よい感想であった。

大天門の前回の記事・住所など。

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