あおぞら日記

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医療者の目線、当事者の目線。

2014年09月22日 | 想い
私は研修会などで話しをさせていただくとき、「カレーの話」をすることがあります。

たぶん、以前、記事にしたことがあるショートステイのときの昼ご飯の話です。



自分自身が患者という当事者の立場になって、つくづく思う。

医療職と患者の目線って違うんだなって…



カレーの話とは…

昼ご飯のカレーライスが冷え固まっていて。
私はそれが気持ち悪くて手を付けれなかったんだけど…
スタッフは何の躊躇いもなく入所者たちの口に運んでた。
その光景がショックだった。


という話。


施設職員の目線では、

いかに効率よく食事介助ができるか
誤嚥しないで食べさせられるか
食事形態だったり
食事をするときの姿勢だったり
食事に使う道具の選び方だったり
食堂全体の様子だったり
大声を出したり、立ち上がってどこかへ行こうとする利用者の行動だったり

だいたいこんな所に目を向けていると思う。
私も医療職として見ると、こんなことを重視すると思う。


だけど、利用者目線では、

昼ご飯のメニューだったり
料理の見た目だったり
味だったり

そんなことに目が向いている。

「えーっ!カレーが固まってる…」
言葉は悪いが、あまりに不味そうで釘付けになった。

私の中では、カレーはアツアツが美味しいと思っている。
冷え固まったカレーなんてあり得ないと思っている。

ここの施設では、スタッフも同じメニューの昼食をとる。
炊飯器から温かいご飯をよそって、火にかけた鍋からアツアツのカレーをかける。

自分たちはそれが当たり前なのに、利用者が冷え固まったカレーを食べていることには疑問を感じない。
何のためらいもなく、スプーンを口に運ぶ。
当事者の目線で見ると、やっぱりいい気はしない。



私の場合…
OTとしては「誤嚥しないで食べられる」という安全性を考え、
当事者としては「いかにおいしく食べられるか」という食事の楽しみが重要になってくる。



他に例を挙げると…

トイレについて

医療者は、転倒のリスクを考慮してポータブルトイレを勧める。
当事者としては、友達も遊びに来る部屋にトイレなんて置きたくないと、トイレに行くことを望む。
もしもそれで転倒しても、それは仕方がないことだと思う。


嚥下について

医療者は、誤嚥の心配をして「食べるな」という。
当事者としては、何としても口から食べたい。
たとえ誤嚥して肺炎になったとしても、食べる楽しみは失いたくないと思う。



こうやって挙げてみると…

医療者としては「安全性」を重視し、当事者としては「楽しみ」を重視する。


目を向ける方向が全く違うことに気付く。


同じ出来事を共有しているのに、見えていることはまったく違うのだ。

でも、それは仕方がないことであり、必要なことだと思う。
医療者は「仕事」であり、当事者は「生活」なのだから…


自分が経験してみないと分からないことっていっぱいあるなって思う。